<< 東京市場の動き >>
29日の東京市場は、ドルが小高い。緩やかに下値を切り上げる展開で、一時110.80円近くまで値を上げ、直近の戻り高値を更新する局面も観測されていた。
ドル/円相場は、110.45-50円で寄り付いたものの、当初は揉み合い。110.35-60円での一進一退をたどったが、上抜けすると、そのまま日中高値の110.80円近くまで値を上げている。週末に加え、月末最終営業日ということで、駆け込み的な需給要因も取り沙汰されていたようだ。
しかし、ドル買い基調は続かず、夕方にかけてはやや軟化。16時時点では、110.55-60円で推移し、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、欧州ファクターである「EUの難民問題」。EU首脳会議で合意と報じられ、ユーロの買い要因に。ドル/円についても、間接的にドル高で反応していた感がある。
そのほか、「日米防衛相が会談実施、北の完全非核化へ協力で一致」、「パウエルFRB議長、上院銀行委員会での議会証言は7月17日」、「ポンペオ国務長官初来日へ、北朝鮮訪問後の来月上旬」−−などといった報道が観測され、一部で話題となっていた。
<< 欧米市場の見通し >>
本日の東京時間にドルは110.80円近くまで値を上げ、21日の高値110.75円に面合わせをしてきた。テクニカルには6月高値の110.90円も、完全に視界内へと捉えられた感を否めない。再三再四指摘してきたように、「足もとの6月は月初め1日を除くと、109.20-110.90円の値動きで形成レンジは2円にも満たない」が、今週だけを考えると「週初安の週末高」で下値を切り上げつつ上値を試す様相をみせていることがうかがえる。レンジの上抜け、そして111円台回復についての期待も高い。
ただ、材料的には引き続き米貿易戦争懸念が注視されており、最大のヤマ場とされる「対中制裁関税を発動」は来週7日、NAFTA再交渉に影響を及ぼしかねない「メキシコ大統領選」は今週末の7月1日に実施される予定となっている。そうした意味で油断は禁物か。動静如何では、一気に流れが代わるリスクがないでもない。
テクニカルに見た場合、先月から続くイスラムの断食月「ラマダン」が月の半ばまで、終了したと思ったら今度は「サッカーのワールドカップ開幕」ということもあり、足もとの6月はかなりの小変動で終わる公算が高まっている。ちなみに、ここまでの月間変動幅は約2.2円で、これは今年最小変動幅であるだけでなく、2014年7月以来、4年ぶりの膠着相場だったことを意味する。6月の営業日も本日一日を残すのみだが、「今年の月間最小変動幅」という不名誉な記録を払しょくできるのかどうかにまずは注目してみたい。
一方、材料的に見た場合、5月のPCEデフレーターや6月のシカゴ購買部協会景気指数など、幾つか米経済指標が発表される予定となっている。ここ最近発表される米経済指標は斑模様なだけに、本日も内容について警戒感を抱く向きは少なくないようだ。
また、前述したように本日ではなく、週末の要因だが「メキシコ大統領選」の結果如何によっては、またぞろ来週はじめの東京市場が荒っぽい変動で寄り付く可能性も取り沙汰、警戒感を醸していた感がある。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、110.00-111.00円。ドル高・円安方向は、本日の東京高値である110.75-80円が最初の抵抗で、抜ければ今月高値110.90円や5月高値111.40円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、200日線が位置する110.20-25円をはじめ、同25日線(109.90-95円)、一目均衡表の先行帯の雲の上限(109.75-80円)など110円挟みはテクニカルサポートが多い。いずれにしても、底堅いイメージだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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