ドル円 26日未明安値からの上昇続く、変化攻防(6/29)

6月28日は米GDP確報値の発表があり、改定値の2.2%から2.0%へ下方修正され、個人消費も同1.0%から0.9%へ下方修正されたことでドル安反応も見られ、

ドル円 26日未明安値からの上昇続く、変化攻防(6/29)

【概況】

6月27日深夜に110.48円まで戻してからいったん110円割れとなったものの切り返し、29日未明には110.64円まで上昇している。米中貿易戦争全面化への懸念がドル円にとっては大きなリスク回避的な圧迫要因であるが、先行き不透明感からの投資手控え、ポジション調整がドルの買い戻しを助長するためにドル高が進行している。貿易戦争激化の報道があるとクロス円での円買い戻しにより円高に振れるものの、報道が落ち着くとドルストレートでのドル高が優勢となり、ドル円も上昇するという反応がみられる。

6月28日は米GDP確報値の発表があり、改定値の2.2%から2.0%へ下方修正され、個人消費も同1.0%から0.9%へ下方修正されたことでドル安反応も見られ、ドル円も110.06円まで下げたが110円割れを回避、28日午前安値から底上げとなって29日未明へ高値を更新している。

ドル指数は26日から3連騰。中国人民元は対ドルで続落6日目、上海総合株価指数も人民元安と同調して6日続落となった。6月15日以降は米中貿易戦争全面化への懸念が人民元安と中国株安を発生させているが、人民元及び上海株の下落は深刻さを増している。2015年6月及び2017年1月の上海株暴落が日経平均の暴落及び世界連鎖株安を発生させたことも踏まえ、要注意な状況に入っていると思われる。

貿易戦争問題では29日に新たな動きは見られず。中国資本による米国企業買収への規制が強化される動きでは、27日に既存の対米外国投資委員会(CFIUS)による審査で対応可能とのトランプ大統領の姿勢が報じられてやや安堵感をもたらしたが、一方ではクドロー米国家経済会議(NEC)委員長が「大統領の中国に対する態度の軟化を示すものではない」と発言して懸念を蒸し返している。NYダウは27日に165ドル安と下落したが、28日は安値を更新してから戻して98.46ドル高となり、やや落ち着いた。米ナスダック総合指数も前日に116.54ポイント安と大幅下落したがこの日は58.59ポイント高と戻した。
来週は7月4日の米独立記念日を挟んで重要な米経済指標の発表も相次ぐ。来週末には米雇用統計の発表もある。週末から週明けににかけては米トランプ大統領や米政府当局者の発言等で情勢変化をもたらすことも繰り返しているので、まだしばらくは落ち着かない日々が続くと思われる。

【6月15日からの高値切り下げパターンを脱却できるか?】

ドル円は5月30日から上昇してきたが、6月14日未明のFOMC、14日夜のECB理事会、15日の日銀金融政策を通過しつつ貿易戦争全面化へのリスクを背景に15日高値110.90円をピークに下落した。6月21日の戻り高値は15日高値に届かず、安値は14日の109.90円、19日の109.54円、26日の109.36円と切り下がりが続いた。
26日未明安値からは再びリバウンドに入り、途中に小反落を入れつつも戻り高値を切り上げ、27日深夜高値で110.48円を付けてからいったん110円を割り込む小反落となったものの切り返して29日未明には110.64円まで高値を更新している。
6月21日高値110.75円を超えずに反落するならば、6月15日からの戻り高値切り下がりの継続として次の下落では6月26日未明安値を割り込む可能性が出てくるが、21日高値を上抜く場合は逆に6月15日からの二段下げ調整を終了し、新たな上昇期に入る可能性が出てくるため、テクニカル的にも市場心理的にも重要な岐路に来ている。

6月15日高値から19日への下落は2日間で1.36円幅。21日への反発は2日間で1.21円幅。26日未明への下落は3日間で1.35円幅と1円強の騰落が繰り返されている。26日未明安値から29日未明高値への上昇は今のところ3日間で1.28円幅であり、これまでの騰落リズムの範囲にあるが、さらに続伸してくるとこれまでの騰落リズムを超えた上昇の本格化という見方もできるようになるのではないかと思われる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成のサイクルでは、6月26日未明安値で目先の底を付けて反騰入りした。今回の高値形成期は26日から28日にかけての間と想定されたが、21日高値からすでに5日を経過しており、サイクルトップ形成が延長している可能性と、27日深夜高値を直近のサイクルトップとしてすでに高値更新により新たな強気サイクル入りしている可能性も考えられる。
29日未明高値110.64円を超えずに28日夜安値110.06円を割り込む場合は29日未明高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして29日夜から7月3日朝にかけての間への下落を想定する。29日の日中へさらに高値を更新する場合は新たな強気サイクル入りの可能性ありとし、29日夜から週明けへの続伸で5月30日以降の高値更新を試す可能性を考える。

60分足の一目均衡表では27日未明への上昇で先行スパンを上抜き、27日午後の反落でも転落を免れて先行スパンを上抜いた状況を維持してきている。先行スパンを上抜いた状況を維持するうちは高値更新余地ありとするが、既に丸3日間の上昇となっているため、26本基準線(110.30円)割れを弱気転換注意とし、遅行スパン悪化からは先行スパン転落の可能性を警戒、先行スパン転落からは弱気サイクル入りとして安値試し優先の流れへ進みやすいと考える。

60分足の相対力指数は27日未明高値形成時と27日深夜高値形成期との間では70ポイント前後でほぼフラットとなり、29日未明への高値更新時には指数のピークが切り下がる弱気逆行型となっているので、50ポイント割れからは下落再開注意とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、下値支持線を110.30円、次いで28日夜安値110.06円とし、29日未明高値110.64円を抵抗線とみておく。
(2)110.30円割れを弱気転換注意として28日夜安値試しとし、28日夜安値割れからは弱気サイクル入りとして109.75円前後への下落を想定する。さらに29日深夜から週明けにかけては109.50円ないしは6月26日安値109.36円試しまで円高が進む可能性ありとみる。貿易戦争関連報道で下落の場合は急落注意とする。
(3)28日夜安値割れ回避のうちは26日未明安値からの底上げパターン継続のためにさらに高値更新へ進む可能性がある。29日未明高値越えからは21日高値110.75円、15日高値110.90円試しとし、それらを超える場合は111円乗せへ向かうとみる。また28日夜安値割れに至らないうちは週明けへ上昇基調がさらに継続する可能性ありとみる。(了)

【当面の主な予定】

6/29(金)
16:55 (独) 6月 失業率 (5月 5.2%、予想 5.2%)
17:30 (英) 1-3月期 四半期GDP、確定値 前期比 (改定値 0.1%、予想 0.1%)
17:30 (英) 1-3月期 四半期GDP、確定値 前年同期比 (改定値 1.2%、予想 1.2%)
18:00 (欧) 6月 消費者物価指数(HICP、速報 前年比 (5月 1.9%、予想 2.0%)
21:30 (米) 5月 個人消費 前月比 (4月 0.6%、予想 0.4%)
21:30 (米) 5月 個人所得 前月比 (4月 0.3%、予想 0.4%)
21:30 (米) 5月 PCEコア・デフレーター 前月比 (4月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 5月 PCEコア・デフレーター 前年比 (4月 1.8%、予想 1.9%)
22:45 (米) 6月 シカゴPMI(5月 62.7、予想 60.5)
23:00 (米) 6月 ミシガン大学消費者態度指数・確報 (速報 99.3、予想 99.2)

6/30(土)
10:00 (中国) 6月製造業PMI (5月 51.9、予想 51.8)
10:00 (中国) 6月非製造業PMI (5月 54.9 )

オーダー/ポジション状況

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