ドル切り下がりパターン破り21日高値攻防?(7月第1週)

7月第1週は週末に米雇用統計があり、その前哨戦となる米主要経済指標の発表も相次ぐ。

ドル切り下がりパターン破り21日高値攻防?(7月第1週)

【概況】

6月13日の米FOMC声明発表時に110.84円の高値を付け、いったん材料消化で下落した後、14日夜のECB金融政策発表からのユーロ急落とドル高により反騰、15日の日銀金融政策現状維持での円安により15日午後に110.90円の高値を付けた。米欧日の金融政策発表を一通り通過して6月15日に5月29日以降の上昇のピークを付け、その後は貿易戦争問題等に左右されつつ6月19日へ下落、21日の反騰では戻り高値切り下がりとなって失速した。

6月最終週は週初25日朝の米ウォールストリートジャーナル紙報道による米国の対中買収規制報道から下落開始となり、109.37円まで下落、いったん戻すも26日午前には109.36円までわずかに安値を更新した。この時点では109.30円台での底固さを示す一方で貿易戦争リスクによる円高の継続が懸念されたが、その後は過度の警戒感が緩み、ドルが一段高へ進む中でドル円も上昇に入った。27日午前、27日深夜、29日未明と小刻みに上昇、さらに29日夜の上昇では6月21日高値を超えて6月15日からの高値切り下がりパターンから脱却、さらに30日未明には110.94円を付けて6月15日高値も上抜いて週を終えた。

【米経済指標に注目】

7月第1週は週末に米雇用統計があり、その前哨戦となる米主要経済指標の発表も相次ぐ。また中国の知的財産権侵害を根拠とした米国による500億ドル規模の対中貿易制裁の発動が7月6日に迫っている。6月末時点では明確な発動が示されていないため、まだ水面下での米中協議が行われていると思われるが、妥協なき発動となれば中国側からの対抗措置の発表等で貿易戦争全面化への懸念が一段と強まることになる。逆に妥協的な結末となる場合にはこれまでの懸念が過剰反応だったとして市場は楽観を取り戻すかもしれない。
EUとの貿易摩擦問題でもトランプ米大統領は29日にEU等からの輸入車に対する追加関税の是非を判断する調査が3〜4週間内に終わるとの見通しを示しており、さらに対決姿勢を強める発言が繰り返される可能性もある。

6月29日に米商務省が発表した5月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比2.3%上昇となり、2012年3月の2.4%以来6年2か月ぶりの伸びとなった。米連銀が目標とする2%超を3か月連続で維持しており、年内あと2回の利上げ可能性も高まっている。7月6日の米雇用統計が強い内容になるなら米連銀利上げ姿勢を理由としたドル高の可能性も考えられる。
ドル円にとっては貿易戦争問題への懸念が強まれば、ドル・ストレートでのドル高の一方で、リスク回避によるクロス円の円高、その結果としてのドル円における円高ドル安という可能性がある。逆に貿易戦争問題への楽観が強まり、米連銀の利上げペース加速感が強まる場合には米長期金利上昇による日米金利差からのドル高円安がさらに進む可能性がある。

【5月21日高値を上抜くか?】

【5月21日高値を上抜くか?】

3月26日安値104.63円から5月21日高値111.39円へ上昇したが、この2か月間の上昇は概ね5か月から6か月周期のサイクルによるリバウンドとして、昨年9月8日から11月6日にかけての間への上昇並みと想定してきた。また5月29日へ反落した後に戻し始めたことについては、昨年11月27日から12月にかけて戻したところと同レベルとし、高値更新できずに次の下落期に入るのではないかと考えてきた。しかし、6月29日の上昇により5月21日高値に迫っており、7月第1週の展開次第では5月21日高値を超えてくる可能性も出てきた印象だ。

5月21日高値を上抜く場合、日足レベルでは5月21日高値と5月29日安値を起点とした三角持ち合いからの上放れとなる。昨年12月へ戻した時には同様の三角持ち合いを上抜けずに下放れとなり2017年1月から大崩れに入った。今回も三角持ち合い上放れに失敗の場合は同様の下落を想定するが、上放れの場合は2016年12月天井と2017年11月天井を結ぶ長期の抵抗線が来る111.50円から112円を試す可能性、あるいはそれ以上への上昇へと発展する可能性も出てくると思われる。
6月26日安値を割り込む場合、5月29日と6月26日を結ぶ三角持ち合いの支持線割れとなるため円高再開と考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)7月第1週序盤において、110.50円を割り込んでも切り返すうちは上昇継続性ありとし、30日未明高値越えの場合は111円乗せ、さらに5月21日高値試しを想定する。5月21日高値も上抜く場合は111円台後半を目指す上昇を想定する。
(2)5月21日高値を上抜けないか、わずかに上抜いてから反落し、110.50円以下での推移が続き始める場合は下落再開注意とし、110円割れから続落の場合は6月26日安値109.36円試しへ向かいやすいとみる。(了)<1日18:50執筆>

【当面の主な予定】

7/2(月)
香港市場 休場(特別行政区設立記念日の振替休日)
トロント市場 休場(建国記念日の振替休日)
08:50 (日) 日銀短観大企業製造業業況判断DI (前期 24、予想 22)
08:50 (日) 日銀短観大企業非製造業業況判断DI (前期 23、予想 23)
08:50 (日) 日銀短観大企業設備投資 (前年比) (前期 +2.3%、予想 +9.2%)
10:45 (中) 6月財新/製造業PMI (5月 51.1、予想 51.1)
17:30 (英) 6月製造業PMI (5月 54.4、予想 54.0)
18:00 (欧) 5月失業率 (4月 8.5%、予想 8.5%)
18:00 (欧) 5月生産者物価指数 前年比 (4月 +2.0%、予想 +2.8%)
23:00 (米) 6月ISM製造業景況指数 (5月 58.7、予想 58.2)
23:00 (米) 5月建設支出 前月比 (4月 +1.8%、予想 +0.5%)

7/3(火)
NY市場 米株式・債券市場は短縮取引 (独立記念日前日)
10:30 (豪) 5月住宅建設許可 前月比 (4月 -5.0%、予想 1.0%)
13:30 (豪) RBAキャッシュターゲット (現行 1.50%、予想 現状維持)
18:00 (欧) 5月小売売上高 前月比 (4月 +0.1%、予想 +0.3%)
23:00 (米) 5月製造業受注 前月比 (4月 -0.8%、予想 -0.2%)

7/4(水)
NY市場 休場(独立記念日)
10:30 (豪) 5月貿易収支 (4月 +9.77億豪ドル、予想 10.00憶豪ドル)
10:30 (豪) 5月小売売上高 前月比 (4月 +0.4%、予想 0.0%)
16:55 (独) 6月サービス業PMI改定値 (速報値 53.9、予想 53.9) 
17:00 (欧) 6月サービス業PMI改定値 (速報値 55.0、予想 55.0) 
17:30 (英) 6月サービス業PMI (5月 54.0、予想 53.9))

7/5(木)
15:00 (独) 5月製造業受注 前月比 (4月 -2.5%、予想 1.0%)
19:00 (英) カーニー・イングランド銀行(BOE)総裁、講演
19:30 (欧) メルシュ欧州中銀(ECB)専務理事、ノボトニー・オーストリア中銀総裁、講演
21:15 (米) 6月ADP全国雇用者増加数 (5月 +17.8万人、予想 +19.0万人)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数  (前週 22.7万件)
23:00 (米) 6月ISM非製造業景況指数 (5月 58.6、予想 58.0)
27:00 (米) FOMC議事録(6月12・13日分)

7/6(金)
15:00 (独) 5月鉱工業生産 前月比 (4月 -1.0%、予想 0.2%)
21:30 (米) 6月非農業部門雇用者増加数 (5月 +22.3万人、予想 +19.8万人)
21:30 (米) 6月失業率 (5月 3.8%、予想 3.8%)
21:30 (米) 6月平均時給 前月比 (5月 +0.3%、予想 +0.3%)
21:30 (米) 5月貿易収支 (4月 -462億ドル、予想 -454億ドル)
 

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