<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドル高・円安。週末にかけてドルは110.94円まで値を上げ、わずかながら6月の月間高値を更新する局面も観測されていた。
前日に行われたトルコ大統領選の結果が伝えられたものの、「現職のエルドアン氏勝利濃厚」との内容だったことから、それほど目立った影響は見られなかった。週明けのドル/円相場は、前週末のNYクローズより、やや円高の109.85円レベルで寄り付いている。
そののち、日米株価の動きなどをにらみつつ、若干のドル安・円高が進行するも、下値は109.37円まで。攻め切れずにドルは反発に転じると、週末にかけては週間高値である110.94円まで右肩上がりの展開をたどっている。NYの大引けにかけては、やや値を崩したが底堅く、110.70円レベルと週間を通しての高値圏で越週となった。
一方、週間を通して注目された材料は、「米貿易戦争懸念」について。
たとえば、「米オートバイ製造大手ハーレー・ダビッドソンが、EUによる報復関税を回避するため、欧州向けバイク生産を米国から海外に移す方針を示した」ことについて、トランプ米大統領が「ハーレーには高額の税金を課す」と噛み付くなど連日の話題に。また、WSJ紙は「米中貿易摩擦、習氏は徹底抗戦の構え」と報じ、米中間の抗争本格化が懸念されるなか、ルメール仏経済相は「米国が自動車関税引き上げなら報復」と発言する欧州との亀裂も拡大、また週末の7月1日にはカナダが「対米報復関税を発動させる」など、全方位的な争いが鮮明化している。
<< 今週の見通し >>
先週末のNYタイム、ドルは月間最高値である110.90円を更新したものの、わずかに上回ったに過ぎなかった。そのため、週末の「日報」でレポートしたように、6月相場の月間変動幅は2.21円にとどまり、これは今年最小変動幅であるだけでなく、2014年7月以来、4年ぶりの膠着相場−−という不名誉な記録を残している。
いずれにしても、6月相場は明確な方向に乏しかったと言えるわけで、名実ともに月が替わる今週以降、しっかりとした次の方向性が示されるのか否かに、まずは注目だ。改めて指摘するまでもなく、6月は膠着相場で動意も鈍かったが、それでも月末にかけての動きを参考にすればドル高・円安方向のリスクがやや高いのかも知れない。まずは、先週記録した6月高値110.94円の攻防が注目され、抜ければ5月高値111.39円がターゲットに。
ただ、材料的には引き続き米貿易戦争懸念が注視されており、最大のヤマ場とされる「対中制裁関税を発動」を週末6日に控え、ドルはやや上げ渋る展開となる可能性もある。
テクニカルに見た場合、先週は週の初めにザラ場ベースで、日足が一目均衡表の先行帯の雲の上限を割り込むも、結果としてサポートとなった感を否めず、ドルは底堅く推移した。そんな一目の雲の上限は、今週109.70-85円程度で推移をすることから、今週も引き続きサポートとして寄与する可能性も取り沙汰されている。
なお、先週末に月間高値を若干とはいえ更新したことで、リスクはドル高方向ながら、過去の経験則からすると「サッカーのワールドカップ開催期間中の為替市場は小動きにとどまる」−−とのジンクスが存在することは多少気掛かりだ。一時111円を超えたりする局面があったりしても、最終的には「行って来い」、109-111円に押し戻されてしまうような展開をたどらないとも限らない。
一方、材料的に見た場合、週末に発表される6月の雇用統計をメインに、同ISM製造業景況指数など、週間を通して重要な米経済指標の発表が相次ぐ。原油高や貿易戦争懸念を受け、先週などは発表される米経済指標も斑模様だっただけに、今週発表される指標も予断は許さず。内容次第では失望のドル売りなどをもたらす可能性もある。
また、先で指摘したように、引き続き米貿易戦争の動静が注視されており、最大のヤマ場とされる週末6日の「対中制裁関税を発動」をにらんだ米中間の駆け引きなどにも注意を払いたい。牽制の応酬が続けばドル安要因だが、上手い落とし所が示されるようだと、逆にドルの大きな買い要因となりそうだ。
そんな今週のドル/円予想レンジは、109.40-111.70円。ドル高・円安については、先週高値110.94円が最初の抵抗。抜ければ111円台回復で、5月高値111.39円などがターゲットに。ちなみに、週足・一目均衡表の先行帯の雲は、今週以降、急速に薄くなり111.45-70円に位置することになる。
対するドル安・円高方向は110円挟み、109円後半から110円前半にかけて集中している移動平均や一目均衡表など複数テクニカルポイントをめぐる攻防を注視。かなり底堅いイメージもなくはない。(了)
オーダー/ポジション状況
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