ドル円テクニカルに水準を切り下げやすい週(6月第4週)

先週のドル円は、トランプ大統領による対中貿易摩擦懸念によるリスクオフのドル売り、そしてパウエルFRB議長のタカ派発言によるドル買いと

ドル円テクニカルに水準を切り下げやすい週(6月第4週)

今週の週間見通し

先週のドル円は、トランプ大統領による対中貿易摩擦懸念によるリスクオフのドル売り、そしてパウエルFRB議長のタカ派発言によるドル買いとドル円に影響を与えた材料もこの2つ程度で週間レンジも109.55〜110.76と1円強に収まりました。ここに至るまで5月のレンジ(108.11〜111.40)を抜け出せない流れが続いています。しかも5月レンジの半値は109.755と最近のレンジにも近く需給的にもどちらかに偏るといった様子も見られない状態です。

今週は材料面では日々細かい経済指標はあるものの、流れを決定づけるような重要指標もありませんし、イベント的にも重要イベントが一通り終わった後で来週までは動きが出にくいと考えざるを得ません。そこで今週はテクニカルな観点から現在のドル円の立ち位置を長期から短期まで追っていくことにします。

まずは、次の週足チャートをご覧ください。

今週の週間見通し

約3年間の週足チャートですが、2015年6月高値125.86を含むように表示してあります。この125.86よりもドル高・円安の水準は2002年6月まで遡る必要があり、それ以降でもっとも重要な高値として機能しています。どうように最も重要な安値は2011年11月安値75.56ですが、今回の説明には関係ないので知識としてだけ。

上のチャートでは、2015年6月高値よりも後の8月高値125.28から同年12月高値と2017年1月高値を通るようにレジスタンスライン(ピンクの太線)を引いていますが、長期のチャートですから多少の誤差は許容範囲で125円台からの重要なレジスタンスラインという押さえでいてください。そしてそのレジスタンスラインと平行に引いた下降チャンネル(ピンクの太線)と、2016年安値3点と2018年安値を通るように引いたサポートライン(ピンクの細線)が引いてあります。

この中で最も重要なレジスタンスラインは、現在112円を割り込み111円台後半を緩やかに下降中です。5月高値が111円台前半とやや距離(当時のラインは112円台前半)を残しつつも反落に転じていて、今後もこのレジスタンスラインを抜けない限りはドル安・円高トレンドを継続しやすいと考えることが出来ます。長期的には平行チャンネル、中期的にはサポートライン(現在105円台半ばを上昇中)を意識する流れとなっています。

次に短期的な動きをいつもの日足チャートから見てみましょう。

週足チャートに示した重要なレジスタンスラインとサポートラインが見えるように上下を調節していますが、短期的には青いサポートラインとそれに平行に引いたラインが重要であることが見て取れます。ます、ベースとなるサポートラインはピンクのサポートが通過している安値でもある3月安値104.64です。そして、その安値と5月安値108.11を結んだサポートラインとなっています。このサポートラインは今週109円台半ばから110円の大台に向かって上昇中です。また平行チャンネルのラインとの補助線として引いてある半値のライン(薄紫)は5月下旬以降しっかりと上値を抑えてきていることがわかります。

現状の相場をドル高と見るならば、この補助線とで構成される平行上昇チャンネルと見ることも出来ますが、5月高値と6月高値を結んだレジスタンスライン(青緑)のほうが、より影響が大きい(上値を抑えやすい)ラインと考えています。そして、5月安値から続いているサポートラインを下抜け、短期的には青緑のレジスタンスラインと平行に引いた平行下降チャンネル(青緑)の中を緩やかに下降し、均衡表の雲の中へと入って行くイメージです。

今週は純粋にテクニカルな観点から、108.75レベル(青緑のチャンネル下限)をサポートに110.25レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

6月25日(月)
08:50 日銀会合(15日)主な意見公表
17:00 ドイツ6月ifo景況感指数
21:30 米国5月シカゴ連銀全米活動指数
23:00 米国5月新築住宅販売件数
23:30 米国6月ダラス連銀製造業活動指数

6月26日(火)
19:00 英国6月CBI流通調査
22:00 米国4月ケースシラー住宅価格指数
23:00 米国6月消費者信頼感指数
23:00 米国6月リッチモンド連銀製造業指数
26:00 アトランタ連銀総裁講演
26:45 (ダラス連銀総裁講演)

6月27日(水)
07:45 NZ5月貿易収支
10:00 NZ6月ANZ企業信頼感
15:45 フランス6月消費者信頼感指数
17:30 英中銀総裁講演
**:** プラートECB理事がオランダ議会出席
21:30 米国5月耐久財受注
21:30 米国5月卸売在庫
23:00 米国5月中古住宅販売保留件数指数
23:30 米国週間原油在庫
25:15 (ボストン連銀総裁講演)
28:00 カナダ中銀総裁講演

6月28日(木)
06:00 NZ政策金利発表
15:00 ドイツ7月GFK消費者信頼感
17:00 ECB経済報告
18:00 ユーロ圏6月消費者信頼感確報値
18:30 南ア5月PPI
21:00 ドイツ6月CPI速報値
21:30 米国1〜3月期GDP確報値
21:30 米国新規失業保険申請件数
23:45 (セントルイス連銀総裁講演)
**:** EU首脳会議(〜29日)

6月29日(金)
07:45 NZ5月住宅許可
08:01 英国6月GFK消費者信頼感
08:30 本邦6月東京区部CPI
08:30 本邦5月失業率・有効求人倍率
16:55 ドイツ6月失業率
17:30 英国1〜3月期GDP確報値
18:00 ユーロ圏6月CPI速報値
21:00 南ア5月貿易収支
21:30 米国5月個人所得・消費支出
22:45 米国6月シカゴ購買部協会景気指数
23:00 米国6月ミシガン大消費者信頼感確報値

6月30日(土)
 10:00 中国6月製造業・非製造業PMI

前週の主要レート(週間レンジ)

       始値  高値  安値   終値

ドル円  110.64 110.76 109.55 110.00
ユーロ円 128.28 128.60 126.65 128.22
ユーロドル 1.1593 1.1675 1.1508 1.1657
日経平均 22806.57 22806.89 22167.16 22516.83

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

6月18日(月)
東京前場のドル円は、米国の関税に対し中国が報復関税に反応して一時的に円高に動いたものの、その後は買い戻しも出て海外市場ではややじり高という展開が進み、比較的穏やかな週初となりました。

6月19日(火)
トランプ大統領が対中国で新たな報復関税を指示とのヘッドラインに急速にリスクオフの円買いが先行しました。内容は2000億ドル規模でUSTRに特定を指示と大規模なものとなり、米中間のこれまでの合意に暗雲が立ち込めました。ドル円はNY引けの110円台半ばから後場には109.55レベルまで1円ほど水準を切り下げましたが、欧州市場序盤には下げ止まりその後は落ち着きを取り戻しました。NY市場では日計り組の利食いも出てドル円は110円の大台を回復して引けました。

6月20日(水)
ドル円は米中間の貿易摩擦懸念は残るものの、日経平均株価の上昇も重なってリスクオフの巻き返しが続きました。海外市場に移ってからも若干の押しを挟みながら底堅い展開が続き、パウエルFRB議長が利上げ継続に肯定的な発言をしたことや日中高値を超えた水準でストップオーダーが出たこともあって110.45レベルまで買われ高値圏での引けとなりました。

6月21日(木)
ドル円は前日のパウエルFRB議長のタカ派発言の影響が残る中、日経平均が上昇する動きからドル買いの動きが先行しました。東京後場には110.76レベルまで高値を切り上げたものの先週高値はトライしきれず、まだ110円台後半から上ではドル売りオーダーが残っている様子でした。高値圏で一進一退を続ける中NY市場の朝方に発表された経済指標が予想外に弱かったことがきっかけとなり日計り組のストップも巻き込んで109.84レベルまで水準を下げ大台を回復しないままに引けとなりました。

6月22日(金)
週末のドル円は110円の大台を挟み米金利の上下で動く程度で終日方向感のはっきりしない展開が続きました。株価は強い動きとなっていたものの米国による対中、対EUの貿易問題もあってリスクオンの動きにはつながりませんでした。

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