方向性を示せるか、米貿易戦争問題など注視(6月第4週)

先週のドル/円相場は、再びドル安・円高。週間を通した変動は1.2円ほどと決して広くなかったが、連日トレンドが変わるような猫の目相場で、

方向性を示せるか、米貿易戦争問題など注視(6月第4週)

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、再びドル安・円高。週間を通した変動は1.2円ほどと決して広くなかったが、連日トレンドが変わるような猫の目相場で、激しい上下動をたどる荒っぽい相場付きだった。

久しぶりに平穏な週初め、月曜日の寄り付きとなり、前週末のNYクローズと大差ない110.65円レベルで取引開始。その直後、「大阪府北部を震源地とした震度6弱の地震発生」−−との報道が観測されたが、幸か不幸か為替市場への影響は軽微だった。
ただ、トランプ米大統領の発言を受けた米中貿易戦争懸念が再燃したことで、週の半ばにかけて一時ドルが急落。週間安値の109.55円を記録している。そののち、ドルは持ち直すとVの字型に回復し、週間高値の110.75円を示現するも勢いは続かず。週末にかけて、再び値を崩すとNYは110円前後で取引を終えるなど、上下に大きく振れる荒っぽい展開をたどるなかの越週となった。

一方、週間を通して注目された材料は、米中を中心とした「貿易戦争懸念」について。先で指摘した最初のドル急落を招いたトランプ発言とは、「米通商代表部(USTR)に関税で2000億ドルの中国製品を確認するよう指示した」で、この発言を受けてドルは1円以上も一時値を下げた。その後も、ナバロ米通商製造政策局長は「米中通商協議に進展はない」、ロス米商務長官からも中国を念頭に「貿易めぐり一段と厳しい環境構築が必要」といった発言が聞かれている。
また、「ノルウェーが米を世界貿易機関(WTO)提訴へ、合計で6ヵ国・地域目」、「EUが週末22日に米製品への報復関税を発動」−−といった報道が観測されるなど、米中だけでなくNAFTA再交渉を含め、米国と世界各国で貿易をめぐる小競り合いが露呈、週間を通したドルの弱材料となっていた感を否めない。

<< 今週の見通し >>

過去2週間程度の相場を結果だけでみると、109.55-110.90円という1円強のボックス圏での変動にとどまっており、明確な方向性は喪失している状況だ。しかし、先でも記したように、連日トレンドが変わるような猫の目相場が多く、激しい上下動をたどる荒っぽい相場付きになることが少なくない。そうした意味では、一筋縄でいかない、難しい局面を迎えていると言えるだろう。今週も基本的には109-110円台を中心としたレンジ内で次の方向性を探る展開、場合によっては引き続き激しい乱高下をたどるような値動きにも注意を払いたい。

そうしたなか、マーケットを取り巻く環境に目を向けると、米国と日本などとの金利差拡大観測はドル高の支援要因だが、米貿易戦争懸念を中心にややドル安要因と思しきものが増えてきている感があることは気掛かり。その最たるものは米株で、先週末の動きを見てもNYダウが上昇した反面、ナスダックは下落と結果はマチマチだった。強気一辺倒という基調に変化がみられているようだ。

テクニカルに見た場合、おおむね110.20-25円に位置する移動平均の200日線に絡む値動きで、「しっかり」上回ることも、「しっかり」下回ることも出来ていない。ともかく、今週も200日線をめぐる攻防にまずは注視。
そうしたなか、新たなポイントとして注目されているのは、日足・一目均衡表の先行帯の雲をめぐる動きになる。先行帯の雲の上限は先月末から上昇をたどってきたが、それが先週末段階で109円半ば、今週には109.70円台までレベルを切り上げてくることから、ドルのサポートになるのかどうかを警戒する向きも少なくない。一連の過程で、雲の上限を下回り雲間の中に埋没するようだと、ドルの下値リスクが今後高まる可能性もある。

一方、材料的に見た場合、6月の消費者信頼感指数や1-3月期のGDP確報をはじめ、注目の米経済指標発表が相次ぐ。原油高や貿易戦争懸念を受けた米経済指標の悪化観測もジワリと取り沙汰され始めていることから、内容次第では為替市場がドル売りで反応するような展開をたどらないとも限らないだろう。
また、各国政治情勢が注目を集めるなか、昨24日に実施されたトルコ大統領選ならびに、今週末の7月1日に実施されるメキシコ大統領選の結果には一応要注意。

そんな今週のドル/円予想レンジは、109.00-111.00円。ドル高・円安については、先週高値110.75円が最初の抵抗。抜けても、直近高値110.90円や5月高値111.39円など上方向にテクニカルポイントは多い。
対するドル安・円高方向は、今週109.70円台まで値を上げてくる一目の雲の上限や、先週安値109.55円の攻防にまずは注意を払いたい。底堅いイメージもなくはないが、それらを下回ると下値は一時的に波乱含みとなる可能性もある。(了)

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