今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、トランプ大統領の対中報復関税のニュースによるリスクオフの動きがユーロ円の売りとなってユーロドルに波及した売りと、イタリアの議会で反EUの議員が委員長の要職に就いたことによる今後のイタリアの対EU政策の懸念によるユーロ売りとの2つが大きな材料となりました。ユーロドルは週初の1.16レベルから一時1.1508レベルと5月安値を更新する動きとなりましたが、週末に向け1.16台後半へと短期的に底打ち感が出た週となりました。
今週はいくつか重要な経済指標はあるものの、一気に流れを変えるような材料も少ないこと、またロシアワールドカップで欧州のトレーダーはおそらくサッカーに夢中でトレードどころでは無いと思われ(これは事実で、4年に1度なので自国チーム応援のため休暇にする人もいます)、今週は日程的にはやや動きにくい一週間になると考えられます。ドル円の週報同様に、今週は純粋にテクニカルな観点からのみユーロドルの立ち位置を考えてみましょう。
まず、長期的に週足から見ます。
ユーロドル週足
ユーロドルは2017年1月に1.0351の安値をつけていますが、これは2003年1月以来の重要な安値となりました。その後はピンクの平行上昇チャンネルで示したチャンネル内での上昇トレンドを今年4月まで継続していましたが、この上昇チャンネルの行方を遮っていたのがピンクの太線で示したレジスタンスラインです。このレジスタンスは2008年高値1.6037を起点に2014年高値1.3993を通る重要なラインとなっています。
今年年初のユーロドルは同水準まで距離はあったものの、2008年高値1.3993と2017年安値1.0351の61.8%戻しにあたる1.2602とも一致し、結局は今年1月後半から4月後半まで続いた高値圏でのもみあいを下抜けたこととなります。こちらは、いつもの日足チャートで確認できるように、トライアングル(ピンクのライン)の下抜けとラウンドトップにも近い高値もみあいのサポート(赤の水平線)の下抜けと、テクニカルの教科書にも使えそうなきれいな反転パターンを描きました。
*日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
その後の急激な下落は5月下旬まで続き、その後いったん買い戻しが入った後に先週のトライ失敗と短期的にはいったんダブルボトムに繋がりそうな値動きとなっているのが現状です。材料的には米国によるEUへの関税、イタリアの政治とどちらかと言えばユーロ売り材料が目立ちますが、テクニカルには底堅い流れへと転換する可能性のある状況と言えます。
ユーロの水準は6月高値1.1852と6月安値1.1508とで当面のレンジを形成し、現在はその半値戻しにあたる1.1680(青のターゲット)近辺に位置していることがわかります。上値の目途としては61.8%戻しの1.1721(青のターゲット)、また下値の押しの水準としては先週レンジの半値にあたる1.1576水準が妥当です。
今週は1.1575レベルをサポートに1.1725レベルをレジスタンスと1.16台を中心とした値動きを考えておきます。
今週のコラム
今週はテクニカル一本なのでコラムもテクニカルにしますが、ポンドドルを見てみます。
先週は英中銀のMPCで金融政策の現状維持が決定されましたが、利上げに賛成する委員が前回の2人から3人に増えたということから早ければこの夏にも利上げするのではないかとの思惑からポンド買いの動きとなりました。しかし、長期的にはブレグジットの交渉期限も来年3月と、気づけばあと9月しかなく不透明な要素から素直に利上げと見ていいのかどうかは悩ましいところです。
そこで中期的なポンドドルの立ち位置を日足チャートから考えてみましょう。
ポンドドル
ポンドドルも2017年は上昇トレンドを維持していましたが、4月に最初のサポートライン(ピンク)を下抜け、今年5月1日により長いサポートライン(ピンク)とダブルトップのネックライン(上の赤の水平線)の2つのポイントを同時に下抜けました。その後は下降トレンドへと入り現状は青の平行チャンネルで示したチャンネル内を下降中という流れにあります。
より長くはダブルトップのネックライン(上の赤の水平線)と昨年10〜11月の安値圏(下の赤の水平線)とに挟まれたレンジの中で現在の下降チャンネルがあると見ておけばよいでしょう。短期的には直近高値1.3472と安値1.3102の半値戻し1.3287水準をニュートラルな水準として考えています。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
6月25日(月)
17:00 ドイツ6月ifo景況感指数
6月26日(火)
19:00 英国6月CBI流通調査
6月27日(水)
15:45 フランス6月消費者信頼感指数
17:30 英中銀総裁講演
**:** プラートECB理事がオランダ議会出席
6月28日(木)
15:00 ドイツ7月GFK消費者信頼感
17:00 ECB経済報告
18:00 ユーロ圏6月消費者信頼感確報値
21:00 ドイツ6月CPI速報値
**:** EU首脳会議(〜29日)
6月29日(金)
08:01 英国6月GFK消費者信頼感
16:55 ドイツ6月失業率
17:30 英国1〜3月期GDP確報値
18:00 ユーロ圏6月CPI速報値
前週のユーロレンジ
始値 高値 安値 終値
ユーロドル 1.1593 1.1675 1.1508 1.1657
ユーロ円 128.28 128.60 126.65 128.22
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週のユーロ
6月18日(月)
週明けのユーロドルは金曜安値がいったん目先の安値となったこと、また目立った材料は無かったもののポジション調整による買い戻しを中心にじり高の展開となり、比較的静かな値動きの中高値圏でのクローズとなりました。
6月19日(火)
トランプ大統領による対中国報復関税の話からユーロ円でのリスクオフの下げが効いてユーロドルも売りが先行しました。ユーロ円は金曜安値を割り込み126.65レベルとNY引けから2円近い下げを演じましたが、ドル円同様ユーロ円でも買い戻しが出たことがユーロドルにも波及、ユーロドルでも買い戻しが見られ、1.16近くに戻して引けました。
6月20日(水)
ユーロドルは、1.15台後半の狭いレンジでのもみあいに終始しました。欧州時間にオーストリア中銀総裁がユーロドルは下がると発言したことから一時的に1.1537レベルへと押す動きも見られましたが、すぐに後半へと戻し動きにくい流れが続いていました。
6月21日(木)
ユーロドルは、上値の重たい展開が続きイタリアの反ユーロの立場を取る議員が議会の要職についたことも嫌気され欧州市場で一時1.1508レベルとわずかではありますが5月安値を下回る動きとなりました。その後NY市場に入ってからはドル円同様ドルが売られる展開となったことで1.1634へと水準を切り上げ1.16台での引けとなりました。
6月22日(金)
週末のユーロドルは小動き、東京後場に週間高値を上抜けたことからユーロ買いが先行する動きはあったものの、その後の海外市場では1.16台半ばでこう着状態のまま一週間を終えました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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