<< 東京市場の動き >>
15日の東京市場は、再びドル高・円安。一時は13日に記録した戻り高値110.85円を更新するなど、ドルの強さが目に付いた。
ドル/円相場は、110.65円レベルで寄り付いたのち、値を崩すも下値は110.45円程度まで。安値を示現後は、日経平均など株価や時間外で取引されている米長期金利動きをにらみつつ、ドルの買い戻しが優勢となり、上値を試す展開となった。
13日高値を更新する110.90円レベルまで値を上げ、16時時点でも、110.75-80円の日中高値圏で推移し、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「米貿易戦争」懸念について。「トランプ米大統領が中国製品500億ドル相当への関税を承認」との報道が聞かれるなど、米中を中心とした貿易問題の先行き、あるいは落とし所が話題となっていた感を否めない。
また、日銀による金融政策会合について「8対1で、現状維持を決定」との発表がなされたほか、その後の黒田総裁会見で「モメンタムを維持するために必要な政策の調整を行う」、「物価の鈍化は7月に向け、さらに議論を深める必要がある」−−との発言が聞かれ、思惑を呼んでいたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
昨日の東京時間まではドル安傾向で一時110円を割り込んだものの、以降は一貫してのドル高・円安。前述安値からは1円程度も値を上げてきた。その過程で、移動平均の200日線(110.20-25円)をしっかりと回復するなど、リスクは再びドル高方向にバイアスか。すでに間近に迫っている111円を超え、5月高値である111.39円に接近、あるいは更新する局面があっても不思議はないかもしれない。
なお、マーケットを取り巻く環境を見ると、米国と他国、例えば日本や欧州との金利差を考えると当然米国有利でドルの買い要因なのだが、「米中」を中心とした米貿易戦争懸念が再燃していることなどは依然として気掛かり。また、週末ということで調整の入りやすい地合いであるため、本日のところは上値も重く、本格的な高値トライは来週に持ち越しとの声も聞かれていた。
テクニカルに見た場合、目先安値108.12円を記録後のドルは、綺麗な上昇チャンネルラインを形成しているようだ。昨日、110円を一時割り込んだ際には、下限割れの危機を迎えたが切り返すと今度は上限超えを視野に入れた値動きとなっている。そんなドルの抵抗は、まず111円レベルで、抜ければ5月高値の111.39円がターゲットに。
対するサポートは、再び上回ってきた移動平均の200日線(110.20-25円)。ただ、割り込んでも、109円後半には一目均衡表や移動平均など複数のテクニカルポイントが位置しているほか、一目均衡表の先行帯の雲が現在緩やかな上昇をたどっており、来週にかけては上限が109円台まで達してくる。一目の雲がドルの強いサポートになる可能性も。
一方、材料的に見た場合、6月のNY連銀製造業景況指数や同ミシガン大学消費者信頼感指数、5月の鉱工業生産といった米経済指標が発表される予定で、それらの内容は要注意。地合いから考えて、好数字が出た場合には素直にドル買いで反応する公算が大きいのかもしれない。
また、それとは別に、「トランプ米大統領が中国製品500億ドル相当への関税を承認」や「EU、米追加関税への対抗措置案を可決」との報道が聞かれるなど、米貿易問題をめぐる動きにも注意が必要だろう。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、110.20-111.20円。ドル高・円安方向は、東京高値の110.90円レベル、そして111円などが最初のターゲット。上抜ければ、5月高値111.39円が視界内に。
対するドル安・円高方向は、再び移動平均の200日線(110.20-25円)をめぐる攻防に注視。ザラ場ベースはもちろん、NYクローズで「しっかり」と超えられるか否かを注視する向きは少なくない。割り込んだ場合には、移動平均の25日線が位置する109.95円レベルなど、110円前後が意識されそうだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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