<< 東京市場の動き >>
8日の東京市場は、ドルが小安い。109円後半における一進一退で明確方向性は乏しかったが、終盤にかけてじり安、やや値を崩す局面が観測されていた。
ドル/円相場は、109.65-70円で寄り付いたものの、積極的な動意は乏しい。実際、終日を通した変動も30ポイント程度にとどまり、大きな変動は見送られている。
ただ、そうしたなか実質的なゴトー日ということで、午前10時の仲値決定にかけてドルが一時買い進まれるも、その後は若干値を崩し、じり安推移に。16時時点では、109.50-55円の日中安値圏で推移し、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、本日も「北朝鮮情勢」と「週末G7ならびに米貿易問題」について。
前者については、「日米首脳が会談、非核化まで北朝鮮の制裁解除しないとの認識で合意」と報じられるなか、米国務長官「金委員長みずから非核化の用意があると伝達」、駐日米大使「大統領は拉致問題に明確な支援表明」との発言も観測されている。対して後者は、トランプ米大統領「仏加は米国に巨大な非関税障壁を設けている」、マクロン仏大統領「G7サミットで米国抜きの合意ありうる」−−などといった発言のほか、ブルームバーグは「米大統領がG7会議を9日午前で退席し、シンガポールに直行する」と報じ、物議を醸していた。
<< 欧米市場の見通し >>
大きな流れは依然としてドル高方向にバイアスがかかるものの、短期的には上値が重くなってきた感を否めない。6日にはNYクローズでも一時上抜けた感があったが、110円レベルあるいは移動平均の200日線が位置する110.15-20円などが引き続き抵抗として意識されそうだ。
一方、これまでドル高の原動力となっていた米株価や金利高だが、昨日の米株はNYダウが上昇した反面、ハイテク株中心のナスダックは下落するなど、値動きマチマチ。これまでのような強気一辺倒の雰囲気でもなくなってきたことは、ドルの強気派にとってやや気掛かりだろう。また、「米貿易戦争懸念は織り込み済み」などといった指摘も聞かれるが、それでも週末に予定されるG7サミットはドル安材料か。ドルの上昇を阻む要因となりかねないかもしれない。
テクニカルに見た場合、6日に110円レベルを超え、さらに移動平均の200日線を一時上回る展開も見られたものの、その後の展開をみるとドルの高値トライは早くも失速している感を否めない。目先のサポートなるかも、と期待されていた移動平均の25日線(109.75円レベル)などを本稿執筆時に割り込むなど、少なくともドルの上値はかなり重そうな雰囲気がうかがえる。
それに対する、ドルのサポートは、108.12円を起点とした直近上げ幅の半値戻しに当たるほか、一目均衡表の転換線も位置する109.20円レベル。割り込むようだと109円割れも否定出来ない。
一方、材料的に見た場合、4月の卸売売上高など幾つかの米経済指標が発表されるものの、マーケットの関心はそれほど高くない。基本的に影響は限定的か。
それによりむしろ、実施されるG7サミットや、来週12日に実施される米朝首脳会談に向けた動きなど政治要因を注視する声が多い。なお、それらファクターは本日欧米市場においてももちろん要注意だが、一部の影響については来週へ持ち越しとなり、週明けのオセアニア市場が荒れ模様でスタートする展開などにも注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、108.90-109.90円。ドル高・円安方向は、移動平均の25日線などが位置する109.75円レベル、あるいは本日東京高値の109.85円レベルなどの攻防にまず注視。抜ければ110円台回復がみえてくる。
対するドル安・円高方向は、前回のドル安値108.12円を起点とした直近上げ幅の半値戻しに当たるほか、一目均衡表の転換線も位置する109.20円レベルが最初のサポート。割り込むようだと109円割れが視界内に。(了)
オーダー/ポジション状況
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