ドル円 5/21-29下落の3分の2戻しから失速気配(6/8)

7日は週間失業保険申請件数のほかは主要な経済指標発表はなかったが、8日からのG7を前にして日米首脳会談が行われ、

ドル円 5/21-29下落の3分の2戻しから失速気配(6/8)

【概況】

5月29日安値で108.11円まで下落した後はリバウンドに入り、6月1日の米雇用統計を強気で通過、週明けの4日、5日、6日と戻り高値を切り上げてきた。5月21日高値から30日への下落幅は3.27円幅であり、半値戻しの109.745円をクリアして7日早朝には3分の2戻しとなる110.29円に迫る110.26円まで上昇したが、その後は上値が重くなり、7日午前に反落してからは110円を挟んだ揉み合いとなった。7日深夜には日中の安値を割り込んだところからテクニカルに売られて109.48円まで下落、5日深夜安値109.47円割れに迫ったが、その後も安値圏にとどまっている。

7日は週間失業保険申請件数のほかは主要な経済指標発表はなかったが、8日からのG7を前にして日米首脳会談が行われ、日米貿易収支不均衡の是正要求姿勢を改めて示されたこと、8日から始まるG7での米国保護主義と他メンバーの対立懸念、来週の米朝首脳会談、FOMC、ECB理事会と重要イベントが続くことを前にして30日からの上昇にブレーキがかかり、ポジション調整的に下げたという印象だ。

米労働省が発表した週間新規失業保険申請は22万2000件となり前週比1000件減少。市場予想の22万5000件を下回った。失業保険受給者総数は174万1000人で前週比2万1000人増加、市場予想の173万8000人をやや上回ったが、良好な状況が続いている。5月30日の米GDP改定値が下方修正された以外は6月1日の雇用統計を含めて米経済指標の良好さを示すものが続いている。6月14日未明のFOMC金融政策では利上げが確実視されているが、それは市場も織り込み済であり、問題は年内の利上げが後1回か2回へ増えるのかということに尽きる。今年12月に4回目の利上げが決定されるであろうという市場の確率予想はまだ50%を超えていないので、12月の利上げ確率が上昇するような内容ならドル高へ進む可能性も考えられるが、あいまいな状況ならその判断は9月へ引き延ばされるため、ドル円にとってはこの件からの上昇圧力が後退する可能性もある。

【G7、日米通商協議】

6月8日、9日にG7サミットが行われる。6月1日から米国は鉄鋼・アルミへの関税強化と輸入制限措置を取り始め、EU、カナダ、メキシコにへの適用除外を外した。これら3カ国地域は報復措置を表明し世界貿易機関(WTO)に提訴したりし始めている。G7で米国保護主義への対立感が強まれば先行きの貿易戦争リスクとして金融市場全般へリスク回避的な影響を与え、ドル円には売り圧力がかかりやすくなる。
G7に先立つ日米首脳会談トランプ米大統領は共同記者会見にて「日米2国間の貿易協定が必要」と強調し、「貿易の不均衡はかなりの額に上る。なんとか対応しなければならない」「数十億ドルのさらなる製品を購入してもらうことになる」と述べた。さらにその後のツイッターでも「日本との間で公正で相互的な原則に基づく2国間協定を求めていく」と投稿している。
鉄鋼・アルミへの関税強化問題でも日本ははなから適用猶予対象とされなかった。今後は一層の圧力をかけてくると思われ、米朝首脳会談実現以降には米中間、米日間、また欧米間等での貿易摩擦問題が今以上にクローズアップされてくると思われ、ドル円にとっては潜在的なブレーキとなりはじめると思われる。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

60分足の一目均衡表では6月1日の上昇で先行スパンを突破し、その後も先行スパン突破状況を維持してきたが、7日深夜の下落で5日ぶりに先行スパンから転落した。遅行スパンも悪化し、1日以降は切り上がりが続いていた基準線も切り下がりに転じている。これらは30日からのリバウンドがひとまず一巡して下落期入りしている印象を与えるため、先行スパンを上抜き返せないうちは一段安警戒が優先されると思う。

60分足の相対力指数は1日夜高値と5日午前高値との間では指数ピークが切り下がる弱気逆行となり、6日夜から7日未明への高値更新に際しても逆行が続いていたが、7日深夜の下落で50ポイントを割り込んで30ポイント台序盤まで急落している。このため50ポイント以上を回復、維持へと切り返せないうちはさらに一段安へ進みやすいとみる。

概ね3日から5日周期のサイクルでは7日深夜の下落で5日深夜安値へ迫り、その後も安値圏での横ばいに留まっていることから7日早朝高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしたと思われる。5日深夜安値109.47円割れからは次の安値形成期となる8日深夜から13日未明にかけての間への下落を想定する。110円以下での推移中は一段安警戒とし、110円台回復、維持からは強気転換注意とするが、新たな強気サイクル入りは7日早朝高値越えからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)109.75円から110.00円までを戻り抵抗とし、110円を超えて続伸に入れないうちは109.00円前後試しへの下落を想定する。109円割れではいったん押し目買いも入りやすいと思うが、109.50円以下での推移が続く場合は8日夜、週明けへ続落しやすいとみる。また週明けも続落の意場合は108円台中盤まで下値目途を引き下げる。
(2)109.75円越えの場合は110円試しとするが、越えないうちは109.50円割れから下げ再開とみる。110円越えの場合は強気転換注意として110.26円試しとし、当初はその前後でのダブル天井形成からの反落警戒とするが高値更新の場合は110.50円越えを目指す上昇入りと考える。
(3)60分足レベルでは、109.50円前後の安値から110円前後まで戻してもその後に109.50円を割り込む場合は三尊天井型形成による下落入りが考えられる。また5月30日以降の上昇の半値となる109.185円割れれからは戻り一巡による下げ再開とし、5月21日高値を起点とする下落波動が二段下げに入る可能性が高まると思われる。(了)<9:40執筆>

【当面の主な予定】

6/8(金)
G7首脳会談(カナダ、〜9日)
未 定 (中) 5月 貿易収支(米ドル) (4月 287.8億ドル、予想 324.5億ドル)
08:50 (日) 4月 国際収支・経常収支 (3月 3兆1223億円、予想 2兆1478億円)
08:50 (日) 4月 国際収支・貿易収支 (3月 1兆1907億円、予想 7464億円)
08:50 (日) 1-3月期 四半期GDP、改定値 前期比 (速報 -0.2%、予想 -0.2%)
08:50 (日) 1-3月期 四半期GDP、改定値 年率換算 (速報 -0.6%、予想 -0.5%)
15:00 (独) 4月 貿易収支 (3月 252億ユーロ、予想 201億ユーロ)
15:00 (独) 4月 経常収支 (3月 291億ユーロ、予想 197億ユーロ)
15:00 (独) 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 1.0%、予想 0.3%)
23:00 (米) 4月 卸売売上高 前月比 (3月 0.3%、予想 0.0%)

6/9(土)
10:30 (中) 5月消費者物価指数 前年比 (4月 +1.8%、予想 +1.9%)
10:30 (中) 5月生産者物価指数 前年比 (4月 +3.4%、予想 +3.9%)

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