ドル円上下とも見て次の動きを模索する週(6月第1週)

先週のドル円は、イタリア政局の騒動が一段落し、当初のコンテ首相を軸とした5つ星と同盟による連立政権スタートの目途がついたことで

ドル円上下とも見て次の動きを模索する週(6月第1週)

今週の週間見通し

先週のドル円は、イタリア政局の騒動が一段落し、当初のコンテ首相を軸とした5つ星と同盟による連立政権スタートの目途がついたことでイタリア発のリスクオフの流れが一段落し、ユーロドル、ユーロ円とともに29日に底打ちの動きとなりました。

ドル円の場合、イタリアは相場材料から落ちましたので、現在の材料としては今週の日米首脳会談、来週の米朝首脳会談、そしてその次の大きなテーマとして日米通商交渉が6月中に本格的にスタートする予定です。来週13日にはFOMCもありますが、こちらは利上げが織り込み済みで材料としては大きくは無いと言えるでしょう。やはり週末のG7でも非難された米国の保護主義がどのように発展していくのかが日本にとってもドル円にとっても中長期的に大きなテーマとなってきそうです。

今週は日米首脳会談よりもまず本日の米中通商交渉が最初の材料です。すでに前回の交渉で大枠は固まっているものの、具体的な対中赤字削減については本日以降のテーマとなっていますし、貿易だけでなく中国とは知的財産権の問題もあり、すでに大枠で固まっている部分を織り込んでいると考えれば、ドル売りにつながる悪材料に反応しやすい可能性があります。

また日米首脳会談後の今週末にはG7サミットがあります。すでにG7財務相会議では米国の保護主義に対する遺憾のコメントが出ている中で、サミット(首脳会議)でも同様の展開が予想されますが、トランプ大統領が保護主義を緩めるとは思えませんし、ほとんどのサミット参加国が追加関税対象となった6月、こちらもドル売り材料に繋がりやすいイベントとなるかもしれません。

他にも日々材料はあるものの方向性が出て来るほどのインパクトもありませんので、今回は雇用統計当日にドルが高値をつけた可能性も含めてここまでの流れ、今後考えられる流れをチャートで見てみましょう。日足チャートをご覧ください。

まず、年初来安値から続いた上昇チャンネル(ピンクの平行線)を下抜けたことで、111.40が当面の高値として確定しました。そしてその後の下げは、年初来安値104.63と111.40の半値押しにあたる108.01(赤のターゲット)と重なる108.11で先週反転しています。短期的には安値も確定したのが現在の状況です。

すると、高値111.40と108.11から計算される戻しは半値戻し(青のターゲット)が109.75、同様に61.8%戻しが110.14とほぼ110円の大台に重なります。雇用統計アノマリー(雇用統計前後でドルが高値をつけやすい事象)を重視すると、雇用統計後高値109.73が半値戻しと一致しますが、週初の段階ではまだ高値からの距離も少なく、ある程度の幅を考えて61.8%戻しを上値の目途と考えることとなります。

いっぽう下値については先週安値が大きなサポートとなりますが、その後雇用統計までもみあいの中心水準となっていた108.80レベルが最初の目安となりそうです。今週は108.80レベルをサポートに、110.10レベルをレジスタンスとする一週間を見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

6月4日(月)
**:** NZ市場休場
**:** 米中通商交渉
10:30 豪州4月小売売上高
16:00 トルコ5月CPI
17:30 英国5月建設業PMI
18:00 ユーロ圏4月PPI
20:30 オーストリア中銀総裁講演
23:00 米国4月製造業受注指数

6月5日(火)
10:30 豪州1〜3月期経常収支
10:45 中国5月MarkItサービス業PMI
13:30 豪中銀政策金利発表
16:50 フランス5月サービス業PMI確報値
16:55 ドイツ5月サービス業PMI確報値
17:00 ユーロ圏5月サービス業PMI確報値
17:30 英国5月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏4月小売売上高
18:30 南ア1〜3月期GDP
18:30 オーストリア中銀総裁講演
22:45 米国5月MarkItサービス業PMI確報値
23:00 米国5月ISM非製造業景況指数

6月6日(水)
10:30 豪州1〜3月期GDP
20:30 ドイツ財務相講演
21:30 米国4月貿易収支
21:30 米国1〜3月期単位労働コスト確報値
23:30 米国週間原油在庫

6月7日(木)
10:30 豪州4月貿易収支
15:00 ドイツ4月製造業受注
17:00 メルケル首相講演
18:00 ユーロ圏1〜3月期GDP確報値
20:00 トルコ中銀政策金利発表
20:00 南ア4月製造業生産
21:30 米国新規失業保険申請件数
**:** 日米首脳会談

6月8日(金)
08:50 本邦1〜3月期GDP改定値
08:50 本邦4月国際収支(貿易収支)
15:00 ドイツ4月鉱工業生産
22:30 ドイツ財務相講演
23:00 米国4月卸売在庫・売上高
**:** G7サミット(〜9日)

6月9日(土)
 10:30 中国5月CPI、PPI

前週の主要レート(週間レンジ)

      始値  高値   安値  終値

ドル円  109.61 109.75 108.11 109.53
ユーロ円 128.12 128.54 124.62 127.70
ユーロドル 1.1689 1.1728 1.1510 1.1660
日経平均 22488.95 22547.67 21931.65 22171.35

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

5月28日(月)
 週明けの東京市場では米朝首脳会談が再びテーブルに乗ったことを好感し、ドル円は株式市場とともにリスクオンで円売りが先行しました。しかし、為替市場におけるリスクオンは限定的となり仲値過ぎには週末クローズを下回る水準、その後はLDN、NY市場とも休場となることから週末クローズ近辺での小動きに終始しました。

5月29日(火)
 イタリアの政局を主因としたリスクオフの動きから東京市場では株安、円高が先行しましたが、欧州市場に入り7月再選挙が濃厚となり、ユーロ円の下げがリードする形でドル円も一段安、その後も株式市場の下げと歩調を合わせながらNY後場には108.11レベルまで安値を切り下げ、その後108.77まで戻して引けました。

5月30日(水)
 前日のリスク回避巻き返しの一日となりました。東京前場から株式市場とともにドル円は買いが目立ち、NY市場で一時109.08レベルの高値をつけ、その後やや押しての引けとなりました。東京後場以降の買いはドル円単体での材料よりイタリア政局の混乱が落ち着きを取り戻しつつあることによるものでした。

5月31日(木)
ドル円は108円台後半を中心として方向感にはっきりしない展開が続きましたが、東京市場では月末の実需売りが、またNY市場ではトランプ大統領が追加関税適用を猶予していたEUとNAFTAにも6月から適用するとしたことからダウが下げ円買いの動きとなりました。

6月1日(金)
東京市場では夜間取引で水準を下げていた日経平均が買われる動きとともにリスクオンが先行し109円台に乗せる動きとなりました。その後は米国雇用統計を前に109円台前半で様子見が続きましたが、米国雇用統計はすべての項目でコンセンサスよりも強い数字となり、109.73レベルまで上値を切り上げました。その後も底堅い動きを続け109円台半ばでの週末クローズとなりました。

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