ドル円 下値リスク再燃か、ドル続落に注意(5/29夕)

29日の東京市場は、ドル安・円高。それも「寄り付き高・大引け安」に近い値動きで、終日を通して円の強さばかりが目についた。

ドル円 下値リスク再燃か、ドル続落に注意(5/29夕)

<< 東京市場の動き >>

29日の東京市場は、ドル安・円高。それも「寄り付き高・大引け安」に近い値動きで、終日を通して円の強さばかりが目についた。

ドル/円相場は、109.35-40円で寄り付いたのち、109.45-50円の日中高値を記録したが続かず。前日比49円安で寄り付いた日経平均株価が下げ幅を拡大させたことなどを嫌気し、リスク回避の円買いが優勢となった。
途中ストップロスを巻き込むと、直近安値の108.95円を更新。いったんは持ち直すも再び崩れ、終盤には108.85円レベルまで値を下げている。16時時点でもほぼ同レベル、日中最安値圏で推移し、欧米時間を迎えていた。

一方、材料的に注視されていたものは、本日もまずは「北朝鮮情勢」。前日に「米国と北朝鮮の当局者が首脳会談に向けた協議再開へ」と報じられるなか、NHK「金委員長の『執事』、北高官がシンガポールに到着」、聯合ニュース「米朝首脳会談の実務協議、29日にも板門店で再開」、JNN「北朝鮮の金朝鮮労働党副委員長、30日に訪米へ」−−などといった関連報道が相次ぎ観測されていた。
そうしたなか、米セントルイス連銀総裁から「追加利上げ回避を、景気下降につながる恐れ」「政策正常化のペースを緩めるのが合理的」といった内容の発言が報じられている。

<< 欧米市場の見通し >>

足もとの為替市場はドル高の調整局面入りしている感を否めないが、ドル下押しの初動・第一波も一服、しばらくは中段保ち合いの様相を呈する公算が大きいと考えていた。具体的には「4月末から5月初旬にかけて推移した108.65-110.05円といったレンジでの揉み合い」−−のようなイメージになる。
しかし、本日の東京タイムに目先の安値を更新するなど、再びドル安が進行し始めた感もあり、予断を許さない。株価次第といった面もあるものの、ドルの続落にも一応要注意。108.80円や108.65円など近いレベルにサポートは多いが、それらを割り込むようだとなし崩し的なドル安の進行も否定出来なくなるだろう。材料的にも、トルコやイタリアなど欧州を中心とした政治情勢、米中や米欧、北米自由貿易協定(NAFTA)をはじめとする貿易問題など気掛かりな要因が多い。

テクニカルに見た場合、本日の東京タイムに直近安値の108.95円をわずかに下回ったものの、3月26日に記録した安値104.58円を起点とした上げ幅のフィボナッチ38.2%押しに当たる108.80円を前に一応下げ止まった格好にある。このあとは、先で指摘した108.80円、あるいは今月4日安値である108.65円をめぐる攻防に注目したい。
それに対するレジスタンスは一目均衡表の基準線が位置する109円半ば、抜ければ移動平均の25日線(109.70円レベル)がターゲットに。

一方、材料的に見た場合、5月の消費者信頼感指数や同ダラス連銀製造業活動指数といった幾つかの米経済指標の発表が予定されている。今週もっとも注視されている米経済指標は週末に発表される5月の雇用統計だろうが、本日発表分についても「金利上昇や資源相場の上昇、世界減速懸念などが悪材料になりかねない」といった観点から、数字の下振れを懸念する声も聞かれていた。
また、先で指摘した欧州を中心とした政治情勢のほか、北朝鮮をめぐる動き、6月1日に期限切れとなる「米鉄鋼関税」に関し、30日に担当者を中心に米欧の要人が会談する予定とされることなどにも注意を払いたい。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、108.20-109.40円。ドル高・円安方向は、109.10-15円に弱い抵抗が位置しており、まずはその攻防に注目。抜けると、一目均衡表の基準線が位置する109円半ばがターゲットとなりそうだ。
対するドル安・円高方向は、フィボナッチで見たテクニカルポイントにあたる108.80円や4日安値108.65円などが最初のサポート。割り込むようだと108円前後が視界内に入ってくる。(了)

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