ドル円見通し 急落一服だが、戻りも鈍い(5/29)

28日はロンドン市場がスプリングバンクホリデー、米国市場がメモリアルデーの祝日だったためドル円の値動きは限定的だった。

ドル円見通し 急落一服だが、戻りも鈍い(5/29)

【概況・ポイント】

28日はロンドン市場がスプリングバンクホリデー、米国市場がメモリアルデーの祝日だったためドル円の値動きは限定的だった。しかし、日中戻していたユーロドルが夜間で急落、週末の安値を割り込んで一段安したことがドル高要因になったものの、その一方でユーロ円も同様に25日夜安値を割り込む一段安となり、豪ドル、NZドルに対しても円高となったため、クロス円での円高がドル円の上昇も抑えられて109円台前半での持合いとなっている。
イタリアが3月総選挙後の組閣で混乱しており、ポピュリスト政党とEU離脱派の組閣を大統領が拒否したため、再度総選挙となって政治情勢が混乱する可能性が強まっている。米連銀の利上げペース加速観測がある一方でECBの利上げ開始への積極姿勢が昨年後半レベルからはかなり後退してきたことがユーロ安ドル高の背景だったが、ここにきてのイタリア政局、あるいはスペイン政局等への不安感がユーロ安を助長している。

またNY原油がOPECによる協調減産が緩んで増産へ向かうのではないかとの懸念から暴落的に下げたため、資源通貨への下落感も強まっている。これらはドル高要因だが、クロス円の円高要因でもあり、週明けの動きをみる限りは先週のドル円急落に対するリバウンドの勢いを削いでいる印象だ。

米朝首脳会談については当初予定の6月12日開催で進み始めており、この問題は市場テーマとしては一歩後退。ただしトランプ大統領の事だからドタキャンもあり得ると警戒心は怠れないか。
市場の関心は週末の米雇用統計、その内容次第では米連銀の利上げペース加速感が強まるかどうかにシフトしてきていると思う。6月12-13日のFOMCでは利上げがほぼ確実とみられているが、声明文や議長会見で年3回ペースから年4回ペースへとよりタカ派的になるかどうかが注目される。それによってはドル円も戻しに入る可能性があるが、米中等の通商摩擦問題や米朝会談の内容次第ではリスク回避感が強まる可能性もあるため、戻りはやや限定的と思われる。

【5月21日からの急落を解消できない内は一段安警戒】

5月21日高値111.39円で昨年11月からの下落に対する3分の2戻しを実現した。その翌日から日足は3日連続陰線、特に23日、24日と大幅続落して21日からの下落幅は2.43円幅となった。11月から3月への下落時でも3円に満たない戻しは調整的な反発レベルに止まって一段安を繰り返したので、今回も3円を超える下落でなければ同様の調整的な動きの範囲という見方もできるかもしれないが、11月からの下落途中における調整的反発との違いはその当時は超えられなかった26日移動平均、一目均衡表の26日基準線を今回は割り込んでいることだ。そのため質的には中勢レベルの上昇トレンドから転落し始めた印象が強いと思われる。26日移動平均を割り込んだ時の安値をさらに更新せずに切り返して来れば上昇再開の可能性も浮上するが、当面、110円台回復維持、さらに続伸という流れが出来てこない内は24日安値108.95円割れから中勢レベルの下落期入りという印象がさらに強まってこの2か月間の上昇に対する半値押しとして108.00円、さらに先行きは概ね5か月から6か月周期による下落の長期化へ進む可能性を警戒すべきかと思う。

【60分足 一目均衡表 サイクル分析】

【60分足 一目均衡表 サイクル分析】

60分足の一目均衡表では5月28日の下落で先行スパンから転落し、その後も転落状況が続いている。25日以降は109.50円を挟んだ揉み合いのために遅行スパンは実線と交錯を繰り返している。このため、先行スパンを上抜き返せない内は28日夜安値割れからの下落再開を警戒、両スパン揃って悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜いた状況を維持し始める場合は28日朝高値試しとするが、高値更新できない内はその後の先行スパン転落から下げ再開とし、高値更新ならリバウンド試しとして遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は23日夜から指数のボトムが3日連続で切り上がっているものの、相場は横ばいの揉み合いにとどまっているため方向感に欠ける。60ポイント超えへ進むならリバウンドの高値試し優先とするが、40ポイント割れからは下げ再開の可能性を優先する。

概ね3日から5日周期の短期サイクルでは、5月24日深夜安値からは新たな安値更新を回避しているため、まず24日深夜安値を直近のサイクルボトムとする。新たな底割れ回避の内は29日から30日にかけての間への上昇余地ありとする。ただし、既に28日午前高値でサイクルトップをつけてしまっている可能性があるので、28日夜安値109.23円割れからは新たな弱気サイクル入りと仮定して次のボトム形成期となる29日夜から31日深夜にかけての間への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、28日夜安値109.23円を支持線、109.50円を抵抗線とみておく。
(2)109.50円を超えないうちは28日夜安値割れからの弱気サイクル入り警戒とし、安値更新からはまず24日深夜安値108.95円試し、底割れなら108.50円台への下落を想定する。108.75円以下は突っ込み警戒、反発注意とするが、109.35円以下での推移中は30日も安値を試しやすいとみる。
(3)109.50円超えからは28日午前高値109.80円試しとするが、その手前からの反落警戒とし、109.50円割れからは下げ再開とみる。28日午前高値超えの場合は110円前後試しを想定する。110円到達では戻り売りにつかまりやすいとみるが109.50円以上を維持して終了なら30日も戻り高値を試す可能性は残るとみる。(了)<9:05執筆>

【当面の主な予定】

5/29(火)
13:40 (米) ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
22:00 (米) 3月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年比 (2月 6.8% )
23:00 (米) 5月 コンファレンスボード消費者信頼感指数 (4月 128.7、予想 128.0)

5/30(水)
07:45 (NZ) 4月 住宅建設許可件数 前月比 (3月 14.7%)
10:30 (豪) 4月 住宅建設許可件数 前月比 (3月 2.6%、予想 -3.0%)
16:55 (独) 5月 失業者数 前月比 (4月 -0.7万人、予想 -0.5万人)
16:55 (独) 5月 失業率 (4月 5.3%、予想 5.3%)
18:00 (欧) 5月 消費者信頼感 確定値 (速報 0.2、予想 0.2)
21:00 (独) 5月 消費者物価指数 速報値 前月比 (4月 1.6%、予想 1.96%)
21:15 (米) 5月 ADP民間雇用者数 前月比 (4月 20.4万人、予想 18.5万人)
21:30 (米) 1-3月期 四半期GDP、改定値 前期比年率 (速報 2.3%、予想 2.3%)
23:00 (加) カナダ銀行(BOC)政策金利 (現行 1.25%、予想 据え置き)
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

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