ドル円 先週のレンジ内でもみあいの週(5月第5週)

先週のドル円は米中通商交渉のまとまりを受けリスクオンでスタート、その後は米朝首脳会談中止の報道にリスクオフでの週末クローズと、

ドル円 先週のレンジ内でもみあいの週(5月第5週)

今週の週間見通し

先週のドル円は米中通商交渉のまとまりを受けリスクオンでスタート、その後は米朝首脳会談中止の報道にリスクオフでの週末クローズと、米国というよりもトランプ大統領に振り回される一週間となりました。

まず対中問題ですが、通商交渉はまとまったものの細かい詰めは残っていること、また知的財産権侵害についての問題がより大きいと米国が考えていることもあって、この材料だけで買えるのは先週の高値がせいぜいと言うところだったと思います。また週初の段階では米朝首脳会談も予定通りだったわけで、それを織り込んでの水準です。そして、通商交渉はトランプ大統領の公約の中でも税制改革と並んで大きなもので、中間選挙に向け次は日本という動きを考えると、その場合にはダウは上がっても日経は下げ、為替は円高という動きも十分に予想されます。いまは米朝首脳会談に向けて忙しいでしょうから、6月中旬以降の大きなテーマです。

次に米朝首脳会談ですが、さすがの北朝鮮もこれまでのような押したり引いたりの卑怯な作戦はトランプ大統領には通じないと再考したのでしょう。トランプ大統領があっさりと米朝首脳会談中止と言うとは思わず、慌てた様子が目に浮かびます。週末には緊急で2度目の南北首脳会談を開き韓国に助けを求める形で米朝首脳会談への道を繋げました。トランプ大統領も予定通り6月12日に開催予定と、再び元の路線に戻りました。

首脳会談でも米国側は一歩も譲る姿勢は見せないであろうことは予想がつきますので、北朝鮮ももはや後が無いところまで追いつめられているということでしょう。話はそれますが、髪型がおかしな人は何を考えているのかわからないケースが多いという話を聞いたことがありますが、この二人にはあてはまっているとしか言えません。引き続き6月12日までは、注意深く進行状況を見守りたいところです。

さて、今週ですが本日はLDN、NYとも休場、そして金曜には今となってはあまり大きな材料とはなり得ないものの米国雇用統計の発表があります。良い数字でも悪い数字でも反応は一時的なものですし、6月FOMCでの利上げは既に織り込み済みで、単月の雇用統計が悪い程度でその方針が変わることもないでしょう。そうした意味では大きくは動きにくいという心理的な圧迫材料程度です。それよりは雇用統計アノマリーとしてドルが前後に高値をつけやすいという動きの方が気になります。今回も米朝首脳会談の予定が元に戻ったことで週初から買いが先行する動きです。ここから、雇用統計に向けて上がる動きが出れば、そこが高値となりやすいということは気になるところです。

そうなると、既に先週のレンジで目先の高値も安値も見たという前提でチャートを見て行くことが妥当だと思われます。日足チャートをご覧ください。

重要な点は年初来安値から続いていた上昇チャンネルを先週の米朝首脳会談中止のニュース時点で下抜いていることです。この2か月にわたって続いた上昇チャンネルを下抜いたということは無視できず、現状は下降トレンド入りしていると見ることとなります。その中での先週の動きということを考えると、中期的に高値を見た可能性が高く雇用統計アノマリーで先週の高値を超えられない場合、改めて下降トレンドを継続する動きに戻りやすいというのがテクニカルな観点です。

また短期的には安値も見た可能性が高く、今週に関しては先週の米朝首脳会談中止のニュースが引っくり返ったことから先週安値を下回らないという前提で考えて良いでしょう。そうなると、下値は109円水準、高値は110円台前半となり、いかにもというところでしょうか。今週は109.00レベルをサポートに、110.20レベルをレジスタンスとするもみあいの一週間を見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

5月28日(月)
**:** LDN、NY市場休場
16:00 フランス中銀総裁講演
22:00 メルケル首相講演

5月29日(火)
**:** シンガポール市場休場
08:30 本邦4月失業率・有効求人倍率
13:40 (セントルイス連銀総裁講演)
15:45 フランス5月消費者信頼感指数
16:45 フランス中銀総裁講演
17:30 イタリア中銀総裁講演
18:30 メルシュECB理事講演
22:00 米国3月ケースシラー住宅価格指数
23:00 米国5月消費者信頼感指数
23:30 米国5月ダラス連銀製造業活動指数
24:30 ラウテンシュレーガーECB理事講演
25:00 クーレECB理事講演

5月30日(水)
07:45 NZ4月住宅建設許可
09:00 黒田日銀総裁挨拶
10:30 豪州4月住宅建設許可
15:45 フランス1〜3月期GDP速報値
15:55 ドイツ5月失業率
18:00 OECD経済見通し
18:00 ユーロ圏5月消費者信頼感確報値
21:00 ドイツ5月CPI速報値
21:15 米国5月ADP全国雇用者数
21:30 米国1〜3月期GDP改定値
21:30 米国4月卸売在庫
23:00 カナダ中銀政策金利発表
23:45 スイス中銀総裁講演
27:00 ベージュブック

5月31日(木)
08:01 英国5月GFK消費者信頼感
10:00 中国5月製造業・非製造業PMI
10:00 NZ5月ANZ企業信頼感
14:45 スイス1〜3月期GDP
16:00 スペイン1〜3月期GDP確報値
18:00 ユーロ圏4月失業率
19:00 (セントルイス連銀総裁講演)
20:30 米国5月チャレンジャー人員削減予定数
21:00 南ア4月貿易収支
21:30 米国4月個人所得・消費支出
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 カナダ1〜3月期GDP
22:45 米国5月シカゴ購買部協会景気指数
23:00 米国4月中古住宅販売保留件数指数
24:00 米国週間原油在庫
25:30 アトランタ連銀総裁講演
26:00 ブレイナードFRB理事講演
**:** G7(〜2日@カナダ)

5月25日(金)
10:45 中国5月MarkIt製造業PMI
16:50 フランス5月製造業PMI確報値
16:55 ドイツ5月製造業PMI確報値
17:00 ユーロ圏5月製造業PMI確報値
17:30 英国5月製造業PMI
21:30 米国5月雇用統計
22:45 米国5月MarkIt製造業PMI確報値
23:00 米国5月ISM製造業景況指数
23:00 米国4月建設支出

前週の主要レート(週間レンジ)

       始値   高値  安値   終値
 
ドル円  110.89 111.40 108.96 109.38
ユーロ円 130.47 131.35 127.15 127.42
ユーロドル 1.1765 1.1830 1.1647 1.1648
日経平均 22937.58 23050.39 22318.15 22450.79

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

5月21日(月)
 週末に米中通商交渉がまとまったこと受け、週明けの株式市場は早朝の先物市場で大幅高となり、その流れを受け東京市場は株高、ドル高のリスクオン相場となりました。ドル円は111円台に乗せ金曜高値を超えると欧州市場序盤には111.40レベルの高値をつけました。海外市場では当面の値幅観測ターゲットを達成したことで利食いも目立ち、引けにかけては111円近辺に押しての引けとなりました。

5月22日(火)
 ドル円は111円前後でのもみあいに終始しました。週初にいったん目先の高値をつけた感が強く短期筋を中心とした利食い、また積極的に売りから入る向きも見られました。材料的には強弱あったものの、それぞれの影響は限定的で、NY市場でのダウ反落にも反応は見られませんでした。

5月23日(水)
 激しい動きの一日となりました。すでにNY市場の後場に話は出ていたものの、米朝首脳会談延期の可能性が出てきたことから、株式市場は大幅安、為替市場は円高と朝からリスクオフ旋風が吹き荒れてのスタートとなりました。ドル円は110円の大台を割り込み、欧州市場前場には109.56レベルの安値をつけ前日までと様変わりの状況。その後はFOMC議事録発表を控え買い戻しも出たことから110.33レベルまで戻したものの、議事録の内容は利上げ回数を増やす方向性には触れられず、引けにかけては110円大台に近づいてのクローズとなりました。

5月24日(木)
ドル円は朝からリスクオフの円買いが再開しました。前日NY市場ではいったん戻す動きとなっていたところに、新たにトランプ大統領が自動車関税に言及したことから円買い材料とされ、東京後場には早くも前日安値を下抜けました。欧州市場ではいったん買い戻しが見られたもののNY市場に入り米朝首脳会談が正式に中止となったことを受け円買いが強まり、ダウの下げとともに一時108.96レベルの安値を示現しました。引けにかけてはダウが急反発する動きからドル円も109.25レベルまで戻しました。

5月25日(金)
東京市場のドル円は北朝鮮がトランプ大統領の揺さぶりに姿勢を軟化させたことからリスクオフの巻き戻しが先行、仲値過ぎには109.75レベルの高値をつけました。しかし、110円の大台手前では売りが出て来たことに加え、ユーロ円が安値を広げてきたこともあり、上値が重たい地合いのままの週末クローズとなりました。

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