材料豊富な一週間、ただ基本は揉み合いか!?(5月第5週)

先週のドル/円相場は、久しぶりにドル安・円高。週のザラ場ベースでは一時111.39円まで値を上げ、ドルは戻り高値を更新する局面も見られたが続かず。

材料豊富な一週間、ただ基本は揉み合いか!?(5月第5週)

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先週のドル/円相場は、久しぶりにドル安・円高。週のザラ場ベースでは一時111.39円まで値を上げ、ドルは戻り高値を更新する局面も見られたが続かず。週足は9週間ぶりの陰線引けとなった。

週明けのドル/円相場は、先週末のNYクローズよりやや円安レベルとなる110.80-85円で寄り付いた。これは、前週末にかけて実施されていた米中貿易協議は玉虫色の決着だったが、それでも米財務長官から「中国との貿易戦争を当面保留する」との発言が聞かれたことが好感されていたようだ。その後も、しばらくはドル買いが優勢で、111.39円の週間高値を示現している。

しかし、FOXニュースがペンス米副大統領の発言として「トランプ氏は、北朝鮮の出方次第で首脳会談中止との認識」と報道、そして実際に「会談中止」に決まったこともあり、高値記録後のドルは緩やかな右肩下がり。これまでのドル高に対する調整が進行している。一時109円割れまで2円以上も値を崩し、週末のNYクローズは109.40円レベルで取引を終え、越週となった。

一方、週間を通して注目された材料は、引き続き「北朝鮮情勢」。様々な報道や発言があったなか、「米朝会談中止」に関する話題が週間を通して、最大のトピックスに。米国による北朝鮮への「会談中止通告」以降はほぼそれに関する報道一色で、たとえば聯合ニュースは「韓国大統領、米朝会談中止に遺憾の意」、北朝鮮メディア「北、米国側といつでも会談の意思あり」、「現状は首脳会談の切迫した必要性を反映」−−などといった報道が観測されている。

そのほか、同じ北朝鮮絡みの話題としては24日に実施された「核実験場の廃棄」、トランプ米政権が検討に入ったとされる「米自動車関税引き上げ」の動き、「トルコリラが急落し、対円やドルで一時史上最安値を更新」したことも話題となっていた。

<< 今週の見通し >>

そもそも3月26日安値104.58円を起点に、価格的には約7円、ドルの上昇期間も2ヵ月近くに及ぶなか、テクニカル分析のひとつである「酒田五法」では強いドル売りシグナルが散見されるなど、調整を懸念していたが、先週ようやくそれが具現化した格好だ。高値を記録後、4日間で2円を超える下げ幅はなかなかのものと言えるだろう。ちなみに、次の下値メドは直近安値の108.96円、フィボナッチの観点から見たサポートである108.80円レベルなどとなる。調整の続く展開には一応要注意。
しかし、ドルの下値リスクはくすぶるものの、下押しの初動・第一波は一服したとの見方も少なくない。もちろん、一連のドル高の起点である3月安値104.58円には届かないが、4月末から2週間ほど上値トライに向けた中段保ち合いとなった108.65-110.05円の域まで下げていることで、目先は当時のような109円台を中心とした保ち合いに再び入るとの声も聞かれているようだ。

テクニカルに見た場合、3月26日にドルは安値を記録した後に形成していた「上昇チャンネル」を下回るなど、少なくとも2ヵ月近く続いてきたドル高基調に変化の兆しがうかがえることは間違いない。リスクという意味ではドル安方向にバイアスがかかりそう。
そんなドルの下値メドは、109円レベルから108円後半にかけてで、複数のテクニカルポイントが集中している。それからすると、調整が継続したにせよ、足もとはなかなか底堅いイメージであり、「価格的」な調整ではなく、「時間調整」になる可能性もありそうだ。対するドルの抵抗は、日足の移動平均の200日線、週足では同52週線という長期のラインが位置する110円前半の攻防がまずは注目されている。

一方、材料的に見た場合、週間を通して重要な米経済指標の発表が目白押し。一例を挙げると、5月の消費者信頼感指数や1-3月のGDP改定値、そして週末には5月の雇用統計が発表される見込みだ。また、それとは別に、ベージュブック(米地区連銀報告)の公表や、週末にかけてG7財務相・中銀総裁会議が開催される予定とされ、そちらも参加者による発言などを含めて一応要注意。
そのほか、報復行動を含めた「米自動車関税」をめぐる動きに加え、再び開催される可能性も浮上し様相が混沌としている「米朝会談」を中心とした北朝鮮情勢、トルコやイタリアなど欧州政治ファクターに関連する動きなども注意を払っておきたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、108.00-110.50円。ドル高・円安については、週の初めには109.70円台に位置し、その後も緩やかな上昇をたどる移動平均の25日線が最初の抵抗で、抜ければ移動平均の200日線など長期線が位置する110円前半がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先で指摘したように複数のテクニカルポイントが位置する109円レベルから108円後半にかけての攻防にまずは注視したい。割り込めば、108円前後がターゲットとなりそうだ。(了)

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