<< 東京市場の動き >>
10日の東京市場は、ドルが強保ち合い。値幅そのものは30ポイント程度と決して大きくなかったが、ドルは109円後半という高値圏での一進一退をたどっている。
ドル/円は、109.70円レベルで寄り付いたのち、日中高値である109.90-95円まで上昇したものの続かず。以降は、109.70円台を中心とした合計30ポイント程度のレンジ内で上下動を繰り返す展開に。リアルタイムの材料ということで、昨日久しぶりに論戦が再開した国会における「柳瀬氏の参考人招致」が関心を集めていたが、結果として為替市場の動意には結びつかなかった。16時時点では、109.85-90円で推移し、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「北朝鮮情勢」。朝鮮中央通信が「北朝鮮の金委員長、拘束米国人に恩赦与え解放」と改めて報じたうえ、中国の毎日経済新聞は「米朝首脳会談は6月12日ごろシンガポールで開催の可能性がある」と指摘していた。また、関連として「日米首脳が電話会談実施、北情勢で意見交換」したもようだ。
そのほか、黒田日銀総裁から「現在も2%の物価目標に向けた道筋を着実に歩んでいる」「現在の金融緩和策が限界に近づいているとは考えてない」との発言が聞かれていた。
<< 欧米市場の見通し >>
勢いや熱量はさほどうかがえないなか、ドルはじりじりと上値を切り上げる展開。本日の東京時間には109.90-95円まで値を上げてきた。2日高値の110.04円が現実的な上値メドとして視界内に捉えられていることは間違いない。まずは同レベルの攻防が注目されている。
ただ、マーケットは、米朝融和観測など楽観的な側面にクローズアップし、ドルを買っている感があるのかも知れない。そのため、目先はいま少しドルが買われる可能性を否定できないが、さらに上値を積極的にとっていけるかとなると、疑問もあるだろう。とくに気掛かりなのは、原油高の影響などもあってか、これまで良好だった米経済指標の内容に変調の兆しがうかがえることだ。良好なファンダメンタルズというバックボーンを失うようだと、ドル高が失速しても不思議はない気がしている。
テクニカルに見た場合、108-110円といった中段保ち合いに留まっているが、本稿執筆段階109.90円レベルと、上限超えを目前に控えた値動きだ。早ければこのあとの欧米時間にも上抜けを試す公算が大きい。
ちなみに、上抜けた場合には移動平均の200日線が位置する110.15-20円、2月2日高値の110.48円がターゲット。また、昨年11月高値114.74円を起点とした下げ幅のフィボナッチ61.8%戻しは110.90円レベルに。
一方、材料的に見た場合、4月の消費者物価指数や同財政収支など幾つかの米経済指標が発表されるほか、米財務省による30年債の入札が予定されている。そのほか目立った材料はないものの、トランプ米大統領は昨日、「米朝首脳会談について3日以内に発表する」としていることから、実際の発表を含めた関連ニュースなどを警戒する声も聞かれていた。
なお、対円では147円台でようやく下げ止まった感のあるポンドだが、本日は中銀金融政策会合による金融政策発表をはじめ、英国に関する注目材料が少なくない。波乱の展開にも一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、109.40-110.40円。ドル高・円安方向は、すでに目前に迫っている2日高値110.04円の攻防にまずは注視。抜ければ110.15-20円、110.48円、110.90円レベルなどがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値でもある109.60円レベル、そしてこれまで目先の抵抗として寄与していた109.40円などが最初の下値メドか。ただ、割り込んでも大崩れすることは予想しにくく底堅そう。(了)
オーダー/ポジション状況
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