ドル円 ドル高基調継続でドル円も高値試し続く(5/10)

日足チャートは5月2日高値に迫った状況にあるので、2日高値前後から反落して109.25円割れへ崩れる場合はダブル天井型形成による戻り一巡感が強まる可能性がある。

ドル円 ドル高基調継続でドル円も高値試し続く(5/10)

【概況】

5月2日深夜高値で110.03円をつけたあとは3日未明のFOMC、4日夜の米雇用統計へと下落、4日夜安値で108.64円をつけたがその後は下げ渋り、109円を挟んだ持ち合いとなっていた。7日夜戻り高値109.34円の後は高値切り上げへ進めずに109円割れを何度か見せたため、7日夜高値からの下落再開感もあったのだが、4日夜安値割れには至らず、9日午前に急伸、7日高値を突破して4日夜安値からの上昇が二段上げ型へと発展した。9日夜、10日朝もさらに続伸して2日深夜高値に迫っている。

8日深夜には米国がイラン核合意から離脱するとフランスに通告したとの報道から一旦下げたが、9日未明にトランプ大統領が離脱と制裁再開を宣言した後は材料消化で戻した。米国以外の5カ国(EU含む)とイランは合意順守を継続するとし、米国だけが浮いた形になっている。また米国も制裁再開に半年の猶予を設け、イランとの新たな合意について協議する姿勢も見せている。北朝鮮への波状的な軍事威圧と制裁拡大により米朝首脳会談実現へこぎつけ、ノーベル賞候補とまで持ち上げられたトランプ大統領にとっては二匹目のドジョウではないが、イランに対しても強圧姿勢を示して新たな米国有利の支配的地位確立を目指したいという事なのだろう。
原油相場はイラン問題も背景となって71ドルを突破しているが、安全資産対象のゴールドは安値圏持ち合いに留まっている。またVIX(恐怖指数)も低下傾向のままであり、金融市場全般としては「イラン問題は様子見」という受け止め方の様だ。

数日中に米朝首脳会談の日時、場所が発表されるとし、二度目の訪朝を果たしたポンペイオ長官が米国人拘束者3名を解放、帰国させたことで米朝首脳会談内容への楽観も強まっていることはドル円にとってはプラスだ。ただ、110円超えからさらに上昇してゆく場合、日米貿易不均衡是正問題により米国側から圧力がかかる可能性も警戒され始めるため、ここから先は慎重にドル全般の上昇力とドル円の高値警戒感を見定めてゆく必要があると思う。

【5月2日深夜高値超えならダブル天井破り、3月末からの三段上げ】

日足チャートは5月2日高値に迫った状況にあるので、2日高値前後から反落して109.25円割れへ崩れる場合はダブル天井型形成による戻り一巡感が強まる可能性がある。ただしダブル天井完成目安は5月4日安値割れからであり、安値更新に至らない内は高値圏での往来型持ち合いの形成と先行き一段高へ進む可能性が残る。5月4日安値を割り込む場合はダブル天井完成により、3月末からの上昇は一巡、円高期再来が考えられる。
5月2日高値を突破し、さらにドル全面高を背景として騰勢継続の場合、上値目処はまず11月27日安値110.84円(11月天井からの第一波の下落時安値)、3月への下げ幅の3分の2戻し111.357円等まで切り上がる可能性がある。

3月26日安値からの上昇を三段上げ型とすれば、一段目上昇後の調整安が4月3日への1.35円幅、二段目上昇後の5月4日夜安値までの調整幅が1.36円幅であり、ほぼ同じである。一段目の上昇と三段目の上昇が同規模ということも三段上げでは事例が多いので、一段目の上昇幅2.38円幅を5月4日安値に加算すると計算値は111.02円となる。これら計算値がいずれも111円前後ということになるので、一段高の場合は111円前後を試すと考えておき、111円手前からは反落警戒としたい。
既に11月天井からは6か月目に入っているため、概ね5か月から6か月周期の天井・大底形成サイクルで見ればいつ天井をつけても不思議ないところと思われる。

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

60分足の一目均衡表では9日午前の急騰で先行スパンを突破、遅行スパンも大きく好転した。高値更新がストップすると遅行スパンは悪化してくる点に注意しつつ、遅行スパン好転中は高値試し優先とみる。遅行スパン悪化の場合は先行スパン帯を試す下落を想定する。先行スパン転落回避で反発なら次の上昇期に入る可能性ありとし、先行スパンから転落の場合は3月末からの上昇が一巡した可能性も警戒して再び先行スパンを上抜き返せない内は一段安警戒優先としてゆく。

60分足の相対力指数は9日の上昇で70ポイントをつけ、その後も60ポイント割れを切り返している。55ポイント割れを弱気転換注意、50ポイント割れからはいったん下落入りとみるが、60ポイント割れを切り返す内は高値更新余地ありと考える。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月27日深夜安値から5日目となる5月4日夜安値で直近のサイクルボトムをつけて戻してきた。9日午前時点では2日深夜高値から3日目となる7日夜高値でサイクルトップをつけて弱気サイクル入りした可能性があるとしたが、安値がやや切り上がり気味に推移して109円を挟んだ持ち合いのため、7日高値を上抜く上昇の場合は新たな強気サイクル入りとして10日夜から14日にかけての間への上昇へ向かう可能性が出てくるとした。
既に前回サイクルトップの2日深夜高値から5日を経過、7日夜高値も上抜いているため、9日朝安値を直近のサイクルボトムとし、高値更新による強気サイクル入りと仮定し、10日夜から14日夜にかけての間への上昇を想定する。ただし2日深夜高値とダブルトップ型を形成して109.30円割れへ崩れる場合は直前高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りの可能性を考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.50円、次いで109.30円を支持線、2日深夜高値110.00円を抵抗線とみておく。
(2)109.50円を上回る内は2日深夜高値試しとし、高値更新の場合は110.50円前後、さらに週末へ続伸なら111円に迫る可能性ありとみる。109.50円以上を維持する内は11日も高値を試しやすいと考えるが、110.80円以上は反落警戒とする。
(3)109.50円割れを弱気転換注意、109.30円割れからは先行スパン転落を伴うので下落再開とし、当初109.00円前後、さらに4日夜安値108.64円試しへ向かうとみる。また109.30円以下での推移に留まる内は11日へ続落しやすいとみる。(了)<9:50執筆>

【当面の主な予定】

5/10(木)
スイス、ストックホルム、オスロ休場(キリスト昇天祭)
10:30 (中) 4月消費者物価指数 前年比 (3月 +2.1%、予想 +1.9%)
10:30 (中) 4月生産者物価指数 前年比 (3月 +3.1%、予想 +3.4%)
14:00 (日) 4月景気ウォッチャー調査・現状判断DI (3月 48.9、予想 49.1)
17:30 (英) 3月鉱工業生産 前月比 (2月 +0.1%、予想 +0.1%)
17:30 (英) 3月貿易収支 (2月 -102.03億GBP、予想 -113.50億GBP)
17:30 (英) 3月製造業生産 前月比 (2月 -0.2%、予想 -0.2%)
20:00 (英) BOE政策金利発表 (現行 0.50%、予想 据え置き)

20:00 (英) カーニーBOE総裁会見、BOE議事録、BOE四半期インフレレポート
21:30 (米) 4月消費者物価指数 前月比 (3月 -0.1%、予想 +0.3%)
21:30 (米) 4月消費者物価コア指数 前月比 (3月 +0.2%、予想 +0.2%)
21:30 (米) 4月消費者物価指数 前年比 (3月 +2.4%、予想 +2.5%)
21:30 (米) 4月消費者物価コア指数 前年比 (3月 +2.1%、予想 +2.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.1万件、予想 21.8万件)

5/11(金)
07:30 (NZ) 4月製造業PMI (3月 52.2)
21:30 (米) 4月輸入物価指数 前月比 (3月 0.0%、予想 +0.5%)
23:00 (米) 5月ミシガン大消費者信頼感指数 速報 (4月 98.8、予想 98.3)

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