円 どちらに抜けるか円高がメインシナリオ(4月第3週)

先週は週初こそ下押ししてスタートしたものの安値も106.62レベルと限定的で、シリア情勢や今週の日米首脳会談等不透明な材料が多い中で、

円 どちらに抜けるか円高がメインシナリオ(4月第3週)

今週の週間見通し

先週は週初こそ下押ししてスタートしたものの安値も106.62レベルと限定的で、シリア情勢や今週の日米首脳会談等不透明な材料が多い中で、株価とともに底堅い展開が続きました。金曜には週末前にもかかわらずリスクオフ懸念が後退し、107.50のストップもこなし107.78レベルと雇用統計前の高値を上抜け、その後調整は入ったものの円安地合いでの週末クローズとなりました。

週末には米英仏によるシリア攻撃が実施され、どの程度のリスクオフとなるのか警戒しての週明けスタートとなりましが化学兵器施設への限定攻撃だったこともあり、まったく影響が無い値動きでのスタートとなりました。しかし、米国による攻撃がこれで終わったのかどうかはわからず積極的にはドル買いも進めにくい流れであることは間違いありません。

個人的にはシリア攻撃後の月曜早朝市場の落ち着きは意外感がありました。107円を割り込んでの場外乱闘でスタートするかと思いきや、早々市場でも107.25レベルとまったく何事も無かったかのような水準でのスタートです。米英仏連合によるシリア攻撃があったにしては、何がドル買いを呼び込んでいるのかという感じでした。

客観的に考えると、先週は株も為替もどちらかというと下がったところでは買いたいという新年度入り相場が続いている中、ポジション的にも円買いになってきている(シカゴ通貨先物)ため、ポジション調整としての円買いの動きは出ない流れへ変化してきたことも大きいのでしょうか。

しかし、シリアへの攻撃に対してロシアがどう出て来るかわかりませんし、日米首脳会談でも日米間の通商問題について何らかの話が出て来ることは間違いありません。不均衡是正を公約に掲げているトランプ大統領としては、対日赤字削減のためには為替レートについて話をする可能性もゼロではありません。最近、為替レートの話が出て来ないだけに逆に注意が必要ではないかと考えています。

他には、米国の経済指標やベージュブック、また地区連銀総裁の講演など材料には事欠きませんが、雇用統計同様に既に3月に今年1回目の利上げをした直後であることを考えると、どれも流れを変えるほどのインパクトは無いものと見ています。流れを変える可能性があるとすると、日米首脳会談そして週末のG20と米国の保護主義に関連するテーマであると言えるでしょう。

材料的には方向感が出にくいのですが、テクニカルにはなかなか微妙なチャートパターンとなってきています。日足チャートをご覧ください。

現在の流れを見やすくするため、水色の太点線で2月高値からの動きを示していますが、チャートパターンとしては2つ。2月から現在までの変形トリプルトップによる反転パターン(ネックラインをピンクの太線表示)、もうひとつは3月下旬からの上昇ウェッジで、こちらは下方向への動きを再開する継続パターンとなります。

ちょうど先週末の動きがネックラインを上ヒゲで上回り終値では超えられないという微妙な位置にありますので、今週は上に抜けるか下に抜けるか、だいぶ煮詰まってきただけにそろそろ方向感が出て来る可能性が高いと考えられます。正解は抜けた方向についていくことですが、個人的には先週の底堅い動きがどうも不自然に感じられ、円高方向に動く可能性をメインシナリオとしたいと考えます。

今週は大きくは動きは出ないものの下方向に余裕を見て、106.00レベルをサポートに107.50レベルをレジスタンスとします。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

4月16日(月)
**:** 今週も米銀決算発表が続く
16:00 トルコ1月失業率
18:00 トルコ3月財政収支
21:30 米国4月NY連銀製造業景況指数
21:30 米国3月小売売上高
23:00 米国4月NAHB住宅市場指数
23:00 米国2月企業在庫
25:00 (ダラス連銀総裁講演)
25:00 (ミネアポリス連銀総裁講演)
25:30 ショルツドイツ財務相講演
26:15 アトランタ連銀総裁講演

4月17日(火)
**:** 安倍首相訪米(〜20日、17・18日に日米首脳会談予定)
10:30 豪中銀理事会(3日)議事録要旨公表
11:00 中国1〜3月期GDP
11:00 中国3月鉱工業生産、小売売上高
17:30 英国3月失業率
18:00 ドイツ4月ZEW景気期待指数
18:00 ユーロ圏4月ZEW景気期待指数
21:30 米国3月住宅着工件数・建築許可件数
22:15 サンフランシスコ連銀総裁講演
22:15 米国3月鉱工業生産、設備稼働率
23:00 クオールズFRB副議長講演
24:00 (フィラデルフィア連銀総裁講演)
26:10 (シカゴ連銀総裁講演)

4月18日(水)
06:40 アトランタ連銀総裁講演
08:50 本邦3月貿易収支
17:00 南ア3月CPI
17:30 英国3月CPI・PPI
18:00 ユーロ圏3月CPI確報値
18:00 ユーロ圏2月建設支出
20:00 南ア2月小売売上高
23:00 カナダ中銀政策金利発表
23:30 米国週間原油在庫
27:00 ベージュブック
28:00 NY連銀総裁講演
29:15 クオールズFRB副議長講演

4月19日(木)
07:45 NZ1〜3月期CPI
10:30 豪州3月失業率
17:00 ユーロ圏2月経常収支
17:30 英国3月小売売上高
21:00 ブレイナードFRB理事講演
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国4月フィラデルフィア連銀製造業指数
22:30 クオールズGRB議長講演
23:00 米国3月景気先行指数
25:00 ノルウェー中銀総裁講演

4月20日(金)
**:** G20
07:45 クリーブランド連銀総裁講演
08:30 本邦3月CPI
22:40 (シカゴ連銀総裁講演)
23:00 ユーロ圏4月消費者信頼感速報値

4月22日(日)
 **:** ドイツSPD党首選

前週の主要レート(週間レンジ)

     始値   高値  安値   終値

ドル円  106.96 107.78 106.62 107.37
ユーロ円 131.25 132.89 131.13 132.38
ユーロドル 1.2271 1.2396 1.2261 1.2330
日経平均 21534.33 21933.99 21517.77 21778.74

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

4月9日(月)
 週初のドル円は日経平均株価の上昇とともにリスクオンの動きが先行、欧州市場序盤には黒田日銀総裁の大規模緩和継続の話も下支えとなったものの高値は107.20レベルまでと勢いに欠ける動きでした。その後は貿易問題等不透明な材料も残っているため107円台前半では売りも出てNY後場のダウの下げとともに106.62レベルへと押した後にやや戻して引けました。

4月10日(火)
 東京前場に習近平中国主席が同国で開かれているフォーラムで講演その内容に反応してリスクオンの動きとなりました。米国との貿易摩擦で話し合いの姿勢を見せたこと以上に、中国への外資の資本参入障壁を下げるとの発言が大きく影響しました。ドル円は株高とともに107.25レベルへと上昇、欧州市場序盤には米中間の通商交渉決裂とのニュースに一時的に円高に動いて朝方の106.81レベルまで押しましたがすぐに回復。NY市場に入ってからはダウの上昇とともに日中高値を更新、107.40レベルの高値をつけたものの先週高値は超えられず、やや押しての引けとなりました。

4月11日(水)
 リスクオフから株安・円高が目立つ一日となりました。今月初めにはシリアから米軍を撤退させる意向を示していたトランプ大統領でしたが、9日にはシリア空爆方針へと転換、10日には対ロシアへの発言も含め、急速にシリア情勢が緊迫してきました。これまでもトランプ大統領の発言に多方面で振り回されてきましたが、今回はシリアを挟んで米露の対立が強まり、ドル円は円高の動きとなりました。FOMC議事録発表前には106.65レベルまで水準を下げましたが、議事録ではタカ派な内容もあったことから一時的に107円台に戻す場面も見られたものの、想定範囲内でもありすぐに下げに転じ安値圏に近づいての引けとなりました。

4月12日(木)
東京市場のドル円は底堅い動きとなっていたものの、シリア情勢を懸念して積極的な取引は手控えられている様子でした。欧州市場に入り、米露双方からシリア情勢の緊張緩和とも取れる発言が聞かれたことをきっかけにリスクオン。株式市場、ドル円ともに上昇する動きとなりました。NY市場前場には107.43レベルまで上昇したものの月間高値は超えられず、引けにかけてはやや押してのクローズとなりました。

4月13日(金)
ドル円は東京市場ではリスクオフ懸念が後退したことから円売りが強まりました。後場には雇用統計前の高値107.49レベルを上抜け、ストップオーダーも巻き込みながら107.78レベルまで水準を切り上げ、NY市場までは高値圏でのもみあいとなりました。NY市場では高寄りしたダウが引けにかけてじり安となりマイナス圏に下げる動きに追随、ドル円も107.25レベルまで反落、東京朝方の水準に戻して引けました。

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