<< 東京市場の動き >>
週明け16日の東京市場は、小幅にドル安・円高。週末に大きなニュースが伝えられたものの、マーケットの反応は鈍く、終日を通した値幅も50ポイントには届かなかった。
週末に「米英仏3ヵ国がシリアを攻撃」したとの報道があり、週明けからリスク回避の動きが強まる公算が大きいと、戦々恐々で寄り付いた。しかし、水準的には107.40-45円で、前週末のNYクローズと大差なし。
つまり、予想に反しリスク回避の円買いは限定的でスタートしたものの、107.60円レベルの日中高値を記録後はドルがじり安。終盤にかけて107.10-15円まで一時値を崩す局面も観測されていた。16時時点では小戻した107.20-25円で推移、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたもののひとつは、「シリア情勢」。前述したように、先週末に「米英仏3ヵ国がシリアを攻撃」したとの報道があったものの、マティス米国防長官から「シリア攻撃、現段階では1回限り」との発言が聞かれたことが一抹の安心感を誘っていた感を否めない。
また、週末に伝えられた小泉元首相の発言「安倍首相の自民総裁選3選は難しい」を受けた、「安倍政権の揺るぎ」も一部で話題になっていたようだ。関連する話題として、産経新聞が「安倍首相、セクハラ疑惑の福田財務次官を更迭へ」と報じる反面、当の福田氏は会見を行い「週刊誌報道は事実と異なり名誉棄損に当たる」などと反論、辞任を否定している。
<< 欧米市場の見通し >>
先週末にかけてマーケットの最大関心事となっていた「シリア情勢」だが、週末に「米英仏3ヵ国がシリアを攻撃」したことを受け、一気に終息感が広がり始めた。これには、先で指摘したように、マティス米国防長官から「シリア攻撃、現段階では1回限り」との発言が聞かれたことや、ホワイトハウス報道官から「大統領はシリア駐留米軍の早期撤退望む」とのコメントがあったことが影響しているようだ。
そうしたなか、マーケットでは次の材料を模索する動きとなっており、関心を集めているもののひとつは17-18日に実施される日米首脳会談か。時事通信は、「日米、首脳会談に通商政策代表を同席させる方針」と報じており、これは当然、貿易問題についての協議がなされることを意味する。シリア情勢の落ち着きによるリスク回避の動きは一服したが、今度は「日米貿易問題」を背景とした円買い進展にも一応要注意。
テクニカルに見た場合、先週末に超えてきた一目均衡表の先行帯の雲の下限が本日はドルのサポートとなっていた。ちなみに、本日は107.05-10円に位置しているだけでなく、今後緩やかな右肩下がり、来週末には106円前後までレベルを切り下げるだけに、このあとについても引き続きドルのサポートとして寄与する可能性もある。
対するドルのレジスタンスは、先週末高値の107.78円。抜けても、108円前後はフィボナッチのテクニカルポイントにあたるほか、移動平均の75日線が位置しており上値は重そう。
一方、材料的に見た場合、4月のNY連銀製造業景況指数や3月の小売売上高など幾つかの米経済指標が発表されるほか、ボスティック・アトランタ連銀総裁による講演も実施される見込みだ。また、バンク・オブ・アメリカをはじめとする米企業決算発表にも、注意を払いたい。
なお、「シリア情勢」は米英仏が攻撃を行ったことにより、逆に落ち着きを取り戻した感はあるが、今度は「米露の新たな対立」を生むなど、別のところで気になる火種の発生もある。関連情報には一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、106.60-107.80円。ドル高・円安方向は、東京高値の107.60円レベル、先週末高値の107.78円などが抵抗に。抜ければ108円前後がターゲットとなろう。
対するドル安・円高方向は、一目の雲の下限が位置する107.05-10円が最初のサポートに。割り込めば107円割れならびに、先週のドル安値である106.60円レベルが意識されそうだ。(了)
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