円 方向性乏しい 依然シリア情勢が波乱要因に(4/12夕)

12日の東京市場は、106円後半での一進一退。前日に続き、本日も形成レンジは30ポイント程度に留まるなど、方向性も乏しかった。

円 方向性乏しい 依然シリア情勢が波乱要因に(4/12夕)

<< 東京市場の動き >>

12日の東京市場は、106円後半での一進一退。前日に続き、本日も形成レンジは30ポイント程度に留まるなど、方向性も乏しかった。

ドル/円は106.70-75円で寄り付いたものの、積極的な動意はうかがえず。しばらくは106.70-85円といったボックス相場が続くなか、わずかに値を上げ一時107円近くに接近する局面も観測されていた。共同通信が報じた「武田薬品工業がアイルランドの医薬品大手シャイアーの買収を目指している」との記事を受け、M&Aにともなう巨額円売り発生思惑が指摘されていたという。
しかしドルの上値は重く、やや軟化すると16時時点では106.85-90円で推移、欧米時間を迎えている。

一方、材料的に注視されていたものは、引き続き「シリア情勢」。前日にトランプ米大統領が近く軍事行動を行う可能性を示唆するなか、BBCが「英首相、シリアへの軍事行動承認の構え」、英紙は「英首相、シリア攻撃開始に備え潜水艦の移動を命令」−−などと関連報道が相次ぎ、風雲急を告げる様相に。本日もドル上値抑制要因となっていた感を否めない。
そのほかでは、トランプ大統領から「対ロシア関係悪化はモラー特別検察官によるいんちきな捜査のせい」と非難するコメントが聞かれたうえ、ブルームバーグは「米大統領が司法副長官解任で11日に協議」と報じるなど、米政権における要人交代スパイラルがいまだに続いていることが話題となっていた。

<< 欧米市場の見通し >>

現在のマーケットでもっとも関心を集めている話題は、「シリア情勢」。昨日のレポートで、「今後72時間以内にシリア空爆が行われる可能性も取り沙汰」と報じたが、その後のNYや本日東京時間においては、さらに差し迫った状況に置かれている公算も指摘されていた。いずれにしても、ドルの上値要因となっていることは間違いなく、このあとも続報などには十分に注意を払いたい。
また、やや落ち着きを見せてきた「米中貿易戦争懸念」に代わり、日米貿易問題がジワリとクローズアップされてきたうえ、前述したような「続く米政権における要人交代スパイラル」など、材料的にドル安支援要因が目立つようになってきたことは気掛かり。

テクニカルに見た場合、過去1週間ほどは106.60-107.50円といった1円未満のレンジ取引で、方向性が乏しい。まずは、足もとの90ポイントレンジを、上下どちらの方向に抜けていくのかを注視したい。
なお、一目均衡表や移動平均でみると、上方向には先行帯の雲の下限(107.15-20円)などが位置する反面、下方向には25日線(106.35円レベル)をはじめテクニカルポイントが少なくない。よって、仮にレンジをどちらに抜けても、チャート的には集中しているテクニカルポイントに阻まれ、取り敢えず値動きが限られそうだ。

一方、材料的に見た場合、3月の輸入・輸出物価指数という米経済指標の発表が予定されているうえ、米財務省による30年債の入札、バイトマン独連銀総裁など欧州当局者の講演が実施される見込みだ。
また、先で取り上げたように予断の許さない状況となっている「シリア情勢」や、月末に向けて実施される重要会談など政治イベントを前に、そこここで実施されててる準備会合出席者による発言も一応要注意。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、106.50-107.50円。ドル高・円安方向は、引き続き一目の雲の下限(107.15-20円)の攻防がまずは注視される。抜ければ、ここ最近のレンジ上限である107.40-50円などを目指す展開か。
対するドル安・円高方向は、昨日NY安値であり時間足ベースでは直近だけで何度も下げ止まっている106.60円が最初のターゲット。ただ、抜けても106.35円レベルには移動平均の25日線が位置しており、底堅そう。(了)

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