今週の週間見通し
久しぶりに大きく予想を外した週となりました。週初こそ売買が交錯しドルの上値の重たさは残っていたものの、米朝首脳会談に向けて朝鮮半島の地政学リスクの緩和期待がリスクオフの巻き返しの動きとなり、短期筋のストップオーダーも巻き込んで水曜には一時107円台乗せとなりました。しかし、期末を前に本邦実需筋の円買いが見られたことや、イースター休暇前のポジション調整も入り、106円台前半に押して一週間を終えました。
先週の動きとしては、思ったほど実需筋の円買いが出なかった印象ですが、米朝首脳会談に向けての期待で107円台まで上がる動きの中、カウンターで丁寧に売っていた可能性もあり、そうだとすれば実需筋の売買も上手くなったものだと思います。今週は新年度入りということで円買い実需も減少しドル買いも出て来る可能性はあるものの、本日まではイースターで実質的には火曜からスタートとなります。
また、既に3月に利上げを行っているために大きな影響は考えにくいものの米国雇用統計もありますので、積極的には動きにくい一週間となりそうです。ただ、先週こそ大きく外しましたが、米朝脳会談に向けての期待と平行してより大きなテーマである通商交渉が米国と対主要国で展開していくことを考えると、19日のG20までにもう一度くらい保護主義を懸念した動きが出てきてもおかしくはありません。引き続き先週の107円同様ドルが買われたところでは、戻り売りが出やすい流れは続いていくでしょう。
もうひとつ気になっているのは先々週の金曜にシドニー市場でつけた104.64レベルの安値です。東京市場では同日の104.66レベルが安値でしたが、週明け未明のNZ市場では104.55レベルの安値もつけています。このように、早朝時間帯だけにつけた安値(高値も同様)は後に東京9時以降にしっかりとつけにいく可能性が高い点です。
これは、古くからのインターバンクディーラーを中心に信奉者(?)が多いのですが、NY終値〜東京9時をシドニー市場と考え、シドニー市場のみでつけたレートは考慮しないという関係者が少なからずいます。私も週間レンジでは「始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート」と断っているのもそのためです。この早朝と午前9時以降につけたレートに差がある場合は後に再びつけに行く可能性が高く、今回も104.55〜64を早い段階でつけに行く可能性は常に考えています。
そして日柄的にも気になる点があります。こちらは先週金曜のFX羅針盤コラムで指摘したものですが「3月30日と4月2日は変化日、この2日間を境にそれまでのドル高がドル安へと転換するリスクがあります」と、短期的には先週の107円台でドルの高値を見た可能性がある点です。今週では無いにせよ、上記早朝時間帯の安値と合わせて当面は104円台半ばを常に意識しておきたいと思います。
テクニカルには日足チャートをご覧ください。
これまでの円高継続シナリオが短期的には崩れましたので、今週は線を引き直しました。先週高値が目先の高値になったという前提で、2月21日高値107.90と先週高値107.01を結んだレジスタンスラインとそれに平行なラインを先週安値金曜安値104.64(こちらは24時間レンジの安値を使います)に合わせて下降チャンネル(ピンクの太線)を引いてあります。現在のドル円はこの下降チャンネルの中で引き続き下値を模索しやすいという見方をしています。
上値については再び107円台に乗せ2月21日高値を上抜けるようであれば下値模索シナリオは廃案ですが、3月高値107.29トライ程度では誤差の内というところです。いっぽうで下値のターゲットは104.64となっていますが、現状では105円の大台が再び底堅くなってきたと考えられ、その手前の先週レンジのフィボナッチ・リトレースメント(赤のラインで示した水準)となる105.54(61.8%押し)と105.14(78.6%=61.8%の平方根押し)がターゲットとなります。
今週は材料よりもテクニカルな観点から105.00レベルをサポートに107.00レベルをレジスタンスと円高回帰を模索する一週間を見ておきます。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
4月2日(月)
**:** 豪州、香港、欧州主要市場は休場
08:50 日銀短観
10:45 中国3月MarkIt製造業PMI
22:45 米国3月MarkIt製造業PMI確報値
23:00 米国3月ISM製造業景況指数
23:00 米国2月建設支出
4月3日(火)
07:00 (ミネアポリス連銀総裁講演)
13:30 豪中銀政策金利発表
16:00 トルコ3月CPI
16:50 フランス3月製造業PMI確報値
16:55 ドイツ3月製造業PMI確報値
17:00 ユーロ圏3月製造業PMI確報値
17:30 英国3月製造業PMI
22:30 (ミネアポリス連銀総裁講演)
29:30 ブレイナードFRB理事講演
4月4日(水)
10:45 中国3月MarkItサービス業PMI
17:30 英国3月建設業PMI
18:00 ユーロ圏3月CPI速報値
18:00 ユーロ圏2月失業率
21:15 米国3月ADP全国雇用者数
22:45 米国3月MarkItサービス業PMI確報値
23:00 米国3月ISM非製造業景況指数
23:00 米国2月製造業受注指数
23:30 米国週間原油在庫
24:00 クリーブランド連銀総裁講演
4月5日(木)
**:** 中国・香港市場休場
10:30 豪州2月貿易収支
15:00 ドイツ2月製造業受注
16:50 フランス3月サービス業PMI確報値
16:55 ドイツ3月サービス業PMI確報値
17:00 ユーロ圏3月サービス業PMI確報値
17:30 英国3月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏2月PPI
20:30 米国3月チャレンジャー人員削減予定数
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国2月貿易収支
26:00 アトランタ連銀総裁講演
4月6日(金)
**:** 中国市場休場
15:00 ドイツ2月鉱工業生産
15:45 クーレECB理事講演
21:30 米国3月雇用統計
26:30 パウエルFRB議長講演
4月7日(土)
23:30 (シカゴ連銀総裁講演)
前週の主要レート(週間レンジ)
始値 高値 安値 終値
ドル円 104.84 107.01 104.73 106.29
ユーロ円 129.52 131.81 129.47 131.01
ユーロドル 1.2354 1.2476 1.2284 1.2325
日経平均 20423.37 21512.80 20347.49 21454.30
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週の概況
3月26日(月)
週末に大きく水準を下げたドル円は東京市場では株価の上昇とともにリスクオフの巻き返しからじり高の展開となりました。その後、関税問題で米中間協議が進展する思惑からクロス円を中心に買い戻しが目立ちドル円はNY市場で105円台半ばまで上昇し高値圏での引けとなりました。
3月27日(火)
前日の流れを受けリスクオフの巻き返しが継続しました。東京市場では株価が大幅高となったことも重なって105円台後半へと水準を切り上げ、NY市場の朝方には105.91レベルの高値をつけました。しかし経済指標が予想よりも弱かったことと、後場には中国の対米投資を制限するとの話が出たことからNYダウが引けにかけて売られ、それに引っ張られてドル円も105円台前半へと押して引けました。
3月28日(水)
東京市場前場は株価の堅調な動きからドル円も105円台半ばまで水準を切り上げましたが、その後は海外市場までもみあいを続けました。欧州市場に入り米朝首脳会談に向け朝鮮半島の緊張緩和が進むとの思惑からリスクオフの巻き返しでドル円は106円台乗せ。NY市場では上方修正された米国GDPをきっかけにドル買いの動きとなり、先週高値を抜けると短期筋のストップオーダーを巻き込みながら107円台を見た後、やや押しての引けとなりました。
3月29日(木)
東京市場では期末要因によるドル売り(円買い)実需が出たことからじり安の展開となりました。海外市場でも株価の上昇をよそにドル円はドル売りが目立ち、NY前場には106.27レベルまで水準を下げ、引けにかけてやや戻して引けました。
3月30日(金)
月末の東京市場では実需のドル売りに押されドル円は106円台半ばから前半へとドルが売られる動きとなりました。しかし、東京市場以降は欧州、NYとグッドフライデーで休場となることから全体として取引は閑散、多少の取引は見られたものの目立った動きの無いままでの月末クローズとなりました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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