<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドル高・円安。週明けに104.57円まで値を下げ、ドルは年初来安値を更新したものの、以降は一貫して強含み。一時107円台を回復する局面も観測されていた。
ドル/円は前週末のNYクローズに近い104.60-65円レベルで寄り付き、直後に年初来安値を更新する104.57円を記録した。しかし、以降はドル強含みで、下値をじりじりと切り上げると、週半ばには週間高値の107.01円まで値を上げている。前週に大きく値を崩したNYダウを中心とした日米株価が持ち直したうえ、本邦勢による期末をにらんだドル需要、海外勢は週末イースター(グッドフライデー)に向けてのポジション調整の動きなどが断続的に観測され、相場を大きく押し上げていたという。
その後は、目先高値からやや値を崩すも底堅く、週末NYは106.25-30円で取引を終え、越週している。
一方、週間を通して注目された材料は大きく2つ。ひとつは、27日に実施された「佐川前国税庁長官の証人喚問」を中心とした日本の国会審議や、世論調査結果など。なお、いわゆる「森友文書書き換え」について、安倍首相や昭恵夫人からの指示を否定する発言なども聞かれていた。
もうひとつの要因は、引き続き「北朝鮮情勢」。なかでも、突然報じられた「北朝鮮要人が中国訪問」とのニュースが思惑を呼び、ブルームバーグが「金正恩氏の訪中したもよう」などと報じたことで、一気に融和ムードが強まった。ちなみに、こちらについてはブルームバーグの報道が事実であり、米中首脳会談が実施されたうえ、それとは別に韓国と北朝鮮が高官級会談を開き「文大統領と金朝鮮労働党委員長による米朝首脳会談を4月27日に板門店で開催することで合意」との共同文書発表などのニュースも観測されている。
<< 今週の見通し >>
前述したような「北朝鮮リスクの後退」や、名実ともに新年度あるいは新たな四半期入りすることで、3月末にかけてみられたような円買い需給要因も剥げ落ちるなど、ドルの戻り歩調を暗示させる。年明け以降と考えても、約3ヵ月、価格にして8.8円もの下げ幅を記録しているだけに、いま一段の戻りをたどっても不思議はないだろう。ちなみに、前記した下げ幅のフィボナッチ38.2%戻しは107.95円レベル、半値(50.0%)戻しは109円前後となる。
ただ、「米国発の貿易戦争問題」は依然としてくすぶり続けているなど、大きな流れはいまだ円高方向にバイアスか。また、昨年末ぐらいからの相場はというと、「目先安値から2.0-2.5円上昇しドルは戻り高値を示現、そして再び下値を試す」−−という傾向を繰り返してきており、本稿執筆時、その域から脱却できていないことは気掛かり。何かのキッカケで、再度下値をトライする展開をたどる展開にも一応要注意。
テクニカルに見た場合、年明け以降ほぼ上抜けたことのなかった移動平均の25日線(先週末106.20円レベル)を、先週の半ばにNYクローズでしっかりと上抜け、以降も辛うじて維持している。ドル強気派からすると、援軍を得た格好で好材料だろう。さらなるドルの続伸に繋がる起爆剤として期待されている。
しかし、一方で一目均衡表を見ると、先行帯の雲がジワリと下降しており、今週末には雲の下限が107円台前半までレベルを切り下げる見込みだ。その一連の過程で、ドルの上値が雲の下限に阻まれる可能性も否定出来ない。いずれにしても、一目の雲をめぐる日足の攻防には注意を払いたいところだ。
一方、材料的に見た場合、3月のISM製造業景況指数や同雇用統計など重要な米経済指標の発表が相次ぐうえ、ブレイナードFRB理事や、パウエルFRB議長といった通貨当局者による講演も連日のように予定されている。
また、それ以外、米国ファクターを除いても週明け2日に発表される「日銀短観」の内容や、昨1日から開始された「米韓合同軍事演習」ならびに、それを受けた北朝鮮の反応、新年度入りしたことを受けた資本筋など需給要因の変化−−などにも注意を払いたい。
そんな今週のドル/円予想レンジは、104.80-107.50円。ドル高・円安については、まず先週記録したドル高値107.01円の攻防に注視。その少し上には、一目均衡表の雲の下限が位置しており、週末にかけて107円前半までレベルを切り下げてくる。攻防要注意。
対するドル安・円高方向は、辛うじて維持している25日線が最初の下値メドで、割り込めば105.30円レベル、105円ちょうどなどがターゲットに。(了)
オーダー/ポジション状況
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