<< 東京市場の動き >>
28日の東京市場は、ドル高・円安。値幅そのものは40ポイン程度と決して広くはなかったが、「寄り付き安・大引け高」の展開で、ドルの強さが目についた。
ドル/円は寄り付いた105.30-35円を日中安値に、緩やかな右肩上がり。終盤には105.70-75円まで一時値を上げている。前日比で500円を超える局面も観測されていた日経平均株価が下げ幅を縮小させ、大引けベースでは286円安に留まったことなどを好感している面もあったという。ドルは16時時点でも105.60-65円の高値圏をキープしたまま、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、まず「北朝鮮情勢」。ロイターが「南北朝鮮代表、ジュネーブの国際会議で握手」と報じ融和ムードを醸すなか、新華社が「習中国国家主席が金正恩氏と会談した」と発表、また北朝鮮のメディアも「金委員長、25-28日に中国を非公式に訪問」と報じたことで、為替市場でも一気にリスク回避志向が緩んでいる。
そのほかでは、「米韓がFTA再交渉で合意、韓国は通貨安誘導禁止」との報道や、黒田日銀総裁による「物価さえ上がれば良いというわけではない」、安倍首相からは「基本的には消費税を引き上げていく」との発言なども聞かれていた。
<< 欧米市場の見通し >>
大きな流れは依然として円高方向にバイアスで変わらず。ただ、足もとは調整の動きが続いており、円はやや売られやすい状況となっている。年明け以降と考えても、すでに3ヵ月近く、価格的には8.8円もドル安・円高が進行してきただけに、さらなる戻りを期待する向きも少なくない。
マーケットを取り巻く諸要因をみても、前述した日柄・テクニカル面のほか、3月期末をにらんだ需給要因の剥げ落ち、材料面でも懸案事項となっていた「核の脅威」をバックにした北朝鮮情勢に明るい兆しがうかがえることが好材料で、目先は円売り優勢な環境が整いつつある。米株の動きをにらみつつ、ドルはさらなる戻りを試す可能性もありそうだ。
テクニカルに見た場合、引き続き105.60-65円に位置する一目均衡表の転換線に絡む値動きとなっており、上抜ければ今年1月以降ほとんど超えたことのない移動平均の25日線(106.15-20円)を目指す展開が予想されている。そして、25日線をキチンと超えるようだと、単なる調整だけに留まらず、3ヵ月近く続いてきたドル安基調の転換を迎えたと言えるだけに、攻防には注意を払いたい。
それに対するドルのサポートは、本日東京安値の105.30円レベル。下回れば、105円前後などを目指す展開に。
一方、材料的に見た場合、10-12月期のGDP統計確報や2月の中古住宅販売成約指数をはじめ幾つかの米経済指標が発表される予定となっているほか、米財務省による7年債入札も実施される見込みだ。また、別にボスティック・アトランタ連銀総裁による討論会参加なども予定されている。
そういったルーティンももちろん要注意だが、「米韓FTA再交渉合意」を受けた日米貿易問題の行方、「中朝首脳会談」を米国がどう評価するのかといった点なども気掛かりだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、105.20-106.20円。ドル高・円安方向は、足もと推移している一目・転換線をサポートにしっかり上抜けば、前日高値の105.90円レベル、そして移動平均の25日線が位置する106.15-20円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日の東京安値である105.30円前後の攻防にまずは注目。割り込めば105円レベルを目指す展開が予想されそうだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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