ダウ反騰続かず、貿易戦争懸念で円高再燃か(3/28)

米中の二国間交渉が市場をパニックに陥れないところで妥協すれば株式市場も楽観論を取り戻して上昇再開へ向かう可能性があるが、米国側の姿勢はかなり強硬であり、

ダウ反騰続かず、貿易戦争懸念で円高再燃か(3/28)

【概況】

3月22日、23日に世界連鎖株安を背景に23日には104.635円まで下落、26日早朝も104.65円をつけたが、その後はNYダウ反騰等からリスク回避感が後退したためにドル円は小反発、27日も日中、夜間前半は株高を背景に105.90円まで続伸した。ユーロが当局者発言等で下落する等、ドル安に一服感が出たことも材料視された。
しかしNYダウは反落に転じ、ドル円も106円に届かないまま失速した。米トランプ政権が仕掛ける鉄鋼・アルミへの関税導入、更に中国への大規模な関税導入により保護主義、貿易戦争懸念が強まったとしてNYダウは22日に724.42ドル安、23日に424.69ドル安と大幅下落、25日、26日と米中が協議のテーブルについていると報じられたことで26日は669.4ドル高と過去三番目の大上昇となったがこの流れは続かず、27日は貿易戦争リスクを継続的として344.89ドル安と前日の上昇分の半値以上を削った。この4日間は大乱調と言える。
日経平均もNYダウの乱高下に振り回されて23日には974円安と急落、27日は551円高と反騰したが、28日前場は400円安を超える下落で始まっている。

【米中貿易戦争不安は継続】

3月22日、トランプ大統領は500億ドル規模の中国製品に対する関税賦課の大統領令に署名。
3月23日、米国は鉄鋼とアルミの輸入制限措置を発動。中国は対抗措置として米国産豚肉などに報復関税を課すと発表。
3月25日、ムニューシン米財務長官が「大統領は貿易戦争を恐れていないが、それが目的ではない」「中国の劉鶴副首相らとの協議で対中貿易赤字削減などの解決につながる道筋に向けて取り組んでいる」と述べる。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル紙は「両国が通商問題の解決に向けて水面下で協議を開始した」と報じた。

3月26日、ナバロ米国家通商会議(NTC)委員長が「米国はすでに中国と交渉のテーブルに着いている」と述べた。
3月27日、ブルームバーグではトランプ政権は中国資本による米半導体企業など戦略分野への投資を阻止するため、安全保障や経済などが脅威にさらされるために非常事態の発動も視野に検討していると報じた。また中国資本による米ハイテク企業への投資をめぐる対応策を60日以内にまとめるよう指示。大統領が安全保障などに対する非常事態を発動した上で、投資を阻止できる国際緊急経済権限法(IEEPA)の活用を検討しているとした。

米中の二国間交渉が市場をパニックに陥れないところで妥協すれば株式市場も楽観論を取り戻して上昇再開へ向かう可能性があるが、米国側の姿勢はかなり強硬であり、簡単には妥協に至らないと思われる。トランプ政権は北朝鮮問題でも強硬姿勢を貫いて米朝首脳会談実現の可能性を引き寄せた。選挙公約だった大規模減税も年末に実現し、巨額インフラ投資計画も今後は進む。米国第一主義も一貫しており、鉄鋼・アルミ関税では軍事同盟国である日本も適用除外にしなかった。
英国のロシア人元スパイ暗殺未遂事件で欧米がロシア外交官100名以上を追放し、ロシアも対抗しているが、欧米とロシアの対立、長期政権を樹立したプーチン、習近平の権力基盤が強固なこと、EU域内の政治情勢が不安定化してきていることを踏まえると、国際政治情勢及び貿易戦争への先行き不安は長期化する可能性があると考える。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成のサイクルでは23日安値と26日朝安値をダブル底として戻しに入っていたが、20日夜高値から5日目となる27日高値105.90円から反落したため、27日夜高値でサイクルトップをつけて下落期に入った可能性がある。28日早朝安値105.319円からやや戻しているので28日の日中から夜にかけてはサイクルトップ形成のやり直し的な上昇となる可能性が残るが、28日早朝安値割れからは弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる3月28日から4月2日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では27日夜高値からの反落で遅行スパンが悪化しかけているが先行スパンを上抜いた状況は維持している。28日早朝安値割れからは遅行スパン悪化が鮮明となるため下落期入りとし、先行スパン転落からは下げが加速しやすいとみる。いったん遅行スパンが悪化した後は、新たなに好転(遅行スパンが実線を上抜き返す)できないうちは安値試し優先と考える。

60分足の相対力指数は27日午前から27日夜への高値更新に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行となった。このため、60ポイントを超えて続伸するような上昇へ進めない内は一段安警戒とし、50ポイント以下での推移が続き始める場合は安値試し優先とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、28日早朝安値近辺105.30円を支持線、105.75円を抵抗線とみておく。
(2)105.75円を下回る内は28日早朝安値割れからの一段安警戒とし、105.00円割れからは23日安値104.63円試しへ向かうとみる。105円以下での推移中は29日も安値を試しやすいとみる。
(3)105.75円超えの場合は27日夜高値105.90円試しを想定するが、高値更新できない内は105.50円割れからの下げ再開を想定する。27日夜高値超えの場合は106円前後試しとその後の反落警戒とみるが、105.50円以上を維持する内は28日へさらに上昇する可能性も残ると考える。
(4)3月13日高値から16日への下落は3日間で1.68円幅、その後の戻りは1.03円幅。21日から26日未明への下落も3日間で2.00円幅でその後の戻りは1.27円幅と類似している。今回も2円規模の下落となる場合は下値目処となるのは103.90円と計算され、104円割れも懸念されてくる。また徐々に下落規模が拡大気味のため、2円を超えて下落の場合は27日への戻り幅の倍返しで103.36円前後まで下値目処が切り下がる可能性ありと考える。(了)<9:40執筆>

【当面の主な予定】

3/28(水)
未 定 (南) 南アフリカ準備銀行政策金利 (現行 6.75%、予想 6.50%へ引き下げ)
21:30 (米) 10-12月期 四半期GDP、確定値 前期比年率 (改定値 2.5%、予想 2.7%)
23:00 (米) 2月 住宅販売保留指数 前月比 (1月 -4.7%、予想 2.0%)
25:00 (米) ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演

3/29(木)
米債券市場 短縮取引(グッドフライデー前日)

3/30(金)
グッドフライデー 豪、NZ、シンガポール、香港、英、仏、独、瑞、南ア、カナダは休場
グッドフライデー 米 株式・債券・商品市場は休場、為替は通常取引

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