ドル戻り歩調も「米保護主義後退」には疑義(3/6夕)

6日の東京市場は、一時ドル高に振れるも「行って来い」。大引けにかけてドルは値を崩し、結局寄り付きレベルまで下落している。

ドル戻り歩調も「米保護主義後退」には疑義(3/6夕)

<< 東京市場の動き >>

6日の東京市場は、一時ドル高に振れるも「行って来い」。大引けにかけてドルは値を崩し、結局寄り付きレベルまで下落している。

ドル/円は106.15-20円で寄り付いたのち、ドルがじり高推移。106円半ばまで上昇したものの勢いを維持できなかった。逆にじりじりと値を崩す展開となり、最終的には上げ幅のすべてを吐き出す「行って来い」に。日経平均株価は5日ぶりの反発、前日比375円の大幅高となったが、リスク志向の円売りも結果的に限られた。
16時時点では寄り付きレベルとほぼ同じ106.20-25円で推移し、欧米時間を迎えている。

一方、材料的に注視されていたもののひとつは、引き続き「米貿易政策をめぐる動き」。訪米した「自民・河井氏が米与党議員と会談、輸入制限措置への懸念を伝達」、「安倍首相がターンブル豪首相、カナダのトルドー首相とそれぞれ電話会談を行い、トランプ米大統領が表明した鉄鋼とアルミニウムの輸入制限の発動方針をめぐり意見交換した」−−などと報じられている。
また、それとは別に北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉について、ロイターは「再交渉会合、共同声明を発表せずに終了へ」、時事通信は「加盟3ヵ国、3月妥結を断念」と報じるなど、様相は依然として混沌としている感を否めない。

<< 欧米市場の見通し >>

昨日レポートしたように、「年初来高値からと考えても、ドル安・円高傾向はすでに2ヵ月、価格的には8円を超える下落」だっただけに、短期的な調整は当然予想されていた。昨日NYや本日東京時間のドルの戻りについては、決して不思議な動きではない。と言うより、前述したような、これまでの下落期間や下げ幅を考えると、時間的にも価格的にも、いま少し戻る公算が大きいように思う。
ただ、昨日NYの動きについて、一般的に「米保護主義後退でドル買い」のように解説されていることが、個人的にはまったく解せない。確かに、与党共和党議会トップであるライアン下院議長が、輸入制限に反対を表明しているなど一筋縄ではいかない感はあるものの、そこまで楽観視してもよいのだろうか?基本的な円高基調に変化はなく、キッカケさえあれば同じ材料で再び円買いが進行するリスクがあるのでは、と考えている。

テクニカルに見た場合、目先の抵抗である106円レベルを超え、次のレジスタンス106円半ばをうかがう様相を呈している。一目均衡表の転換線も位置する同レベルの攻防がまずは要注意。抜ければ年初来高値を起点とした下げ幅の23.6%戻しに当たる107.15円レベルなどがターゲットに。
それに対する下値は、昨日再び超えてきた106円レベルの攻防が注視され、割り込んだ場合は年初来安値105.24円が再び視界内に捉えられそうだ。

一方、材料的に見た場合、1月の製造業受注指数や同耐久財受注など、幾つかの米経済指標の発表や、ダドリーNY連銀総裁の講演などが実施される予定となっている。
また、それ以外では前述した「米国の鉄鋼、アルミニウムの輸入制限」や「NAFTAをめぐる動き」などにも要注意だ。前者について、先でも指摘したように楽観論が強いが、それを後押しするような発言や行動が実際に観測されることができるのか、そのあたりを是非とも注視したい。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、105.50-106.80円。ドル高・円安方向は、一目の転換線も位置する106円半ばが最初の抵抗で、抜ければ需給的に重そうな107円台回復をトライする動きか。
対するドル安・円高方向は、昨日再び超えてきた106円レベルの攻防が注視され、割り込んだ場合は年初来安値105.24円が再び視界内に捉えられそうだ。(了)

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