<< 東京市場の動き >>
16日の東京市場は、本日もドル安・円高。106円を割り込み、一時105.55円レベルまで値を下げるなど、連日の年初来安値更新となった。
ドル/円は106.10-15円レベルで寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。106.00-35円といったレンジ内での上下動をたどっている。
しかし、昼を過ぎたころから下げ始めると、一気に日中安値である105円半ばまで到達。そのレベルでは下げ止まるも上値は重く、ドル反発でも106円には届かなかった。16時時点でのドル/円は105.75-80円で推移し、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたもののひとつは、「幾つかの要人発言」。急激なドル安・円高が進行するなか、麻生財務相は「為替安定は重要、必要な場合に対応する方針変わらず」、黒田日銀総裁からは「引き続き強力な金融緩和を続けていく」とのコメントが聞かれていた。
また、それとは別に日経新聞は「日銀人事案で黒田総裁再任を提示、副総裁に雨宮・若田部氏」と報じていたほか、「財務省・金融庁・日銀が16時半から3者会合を実施」との報道も観測されている。
<< 欧米市場の見通し >>
1月8日に記録した年初来高値113.38円を起点と考えた場合でも、1ヵ月強のあいだに8円近いドル安・円高が進行している。長いスパンは別にして、短期的にはそろそろ調整が入っても不思議はないが、マーケットを見ていると勢いの衰えはまったく感じられない。
背景のひとつには、米国による貿易赤字を懸念する動きと、昨日の東京時間に麻生財務相から聞かれた「介入しなければいけないほど急激な円高でない」との発言がありそうだ。つまり、一言でいえば、市場の「円買い安心感がかなり強い」と言えるだろう。ポジションはさすがに偏っているだけに、調整の動きは要注意だが、いましばらくドル安・円高の流れそのものが変化する展開は見込みにくい。
テクニカルに見た場合、昨日の東京時間は、2016年安値の98.65円を起点とした上げ幅のフィボナッチ61.8%押しにあたる106.30円レベルで下げ止まったものの、そののち同レベルを割り込み、そして本日の東京では105円台へと突入してきた。しばらく推移していなかった未知の領域で、明確なサポートを指摘することは難しいのだが、ピボットの観点からすると、取り敢えずは105.40円レベル、そして104.75-80円などが下値メドとして意識されそうだ。
それに対するドルのレジスタンスは、まず106円前後、次いで106.80-90円などとなる。
一方、材料的に見た場合、1月の住宅着工件数や2月のミシガン大学消費者信頼感指数速報と米経済指標の発表が予定されており、それらの内容には要注意だ。
また、それ以外では目立った要因が見当たらないものの、米国を中心とした要人発言には注意を払いたい。為替などに直接言及した発言ではなくとも、TPPやNAFTAなどと絡め貿易問題に言及したコメントが発せられる可能性はある。それに対して、日本サイドからは、やはり急激な円高に対する懸念コメント、「口先介入」が観測されても不思議はないだろう。なお、そうした意味では前述した「財務省・金融庁・日銀が16時半から3者会合を実施」は波乱要因であるのかもしれない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、105.40-106.80円。ドル高・円安方向は、本日の東京で割り込んだあと回復できない106円レベルの攻防にまずは注視、上抜ければ106円後半をターゲットとし、107円をうかがう展開も。
対するドル安・円高方向は、東京安値である105.55円レベルや、ピボットによる105.40円などがサポートに。割り込むようだと、いよいよ105円割れが現実味を帯びてくる。(了)
オーダー/ポジション状況
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