ドル円見通し 2016年12月からの下落時並なら104円台序盤?
2月13日の下落で2月9日安値108.04円及び108円を割り込み、1月27日以降の支持帯から転落。14日昼過ぎへの下落で106.83円をつけて9月8日安値及び107円を割り込んだ。15日は106円台序盤まで続落、いったん106.80円まで戻す場面もあったが勢いは続かず、16日朝は106.02円まで下げて106円割れへの余裕がなくなっている。
【15日夜の米経済指標】
2月のNY連銀製造業景況指数は1月の17.70、予想の18.00を下回る13.10。
週間新規失業保険申請件数は予想の22.8万件を上回る23.0万件。
1月の生産者物価指数前月比は全体で0.4%上昇、コア指数は0.4%上昇だが予想通り。前年比は全体が前月の2.6%を上回る2.7%上昇だったが、コア指数は前月の2.3%に対して2.2%と鈍化。
2月のフィラデルフィア連銀製造業指数は前月の22.2と予想の21.8を上回る25.8。
1月の鉱工業生産 前月比は前月の+0.9%から-0.1%へ低下。1月の設備稼働率も前月の77.9%から77.5%へ鈍化。
2月のNAHB住宅市場指数は前月、予想と同じ72。
総じてインパクトには欠けたため、前日の米消費者物価、雇用統計で上昇したユーロ、円、ゴールドは高値圏維持ないしは高値更新、米10年債利回りは2.944%まで高値を更新してからやや緩んで2.9%弱で高止まり、ドル指数は4日続落、ダウは続伸して5連騰となった。
【米長期債利回りは上昇、米国債下落と同調してドル指数、ドル円は下落】
米長期金利の指標である10年債利回りは2.944%へ上昇、4年振り高値を更新しているが、通常なら米長期金利上昇=日米長期金利差拡大=ドル高円安となるべきところを現状は逆相関で下げている。この長期金利差との逆相関性は昨年12月の米FOMCで利上げが決定され、2018年3回の利上げ姿勢が示されて以降に見られる現象であり、年末の米財政改革法案成立=大規模減税、先週末の米暫定予算による債務上限引き上げ、予算教書における巨額インフラ投資計画等によりこの現象が強まってきている。
株高ならリスクオンで円安という関係性も崩れ、日経平均が上昇しても円高が進むという逆相関がみられる。
世界連鎖株安発生時はリスク回避としてのクロス円買い戻しによる円高反応であったが、日経平均も暴落は一服、NYダウは安値から5連騰しているにもかかわらず円高は止まらない。またドル円だけではなく、メジャー通貨の加重平均であるドル指数も4日続落であり、昨年12月からの下落基調を継続している。ユーロは高く、株安時に下落した豪ドル等も持ち直している。
この様に現状はドル全面安であり、米連銀の利上げ云々よりも米財政収支悪化、国債増発懸念による米国債売りとリンクしたドル安局面と考えるべきなのだろうと思う。
【60分足 一目均衡表分析】
60分足の一目均衡表では、2月8日深夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落し、その後も両スパン悪化状態が続いている。106.50円以上での推移へ進めば遅行スパンが好転してくるが、その場合は先行スパンの上限がある107.00円前後が抵抗となりやすい。16日夜以降へ107円超え、維持へ進めば先行スパン突破となり、ひとまず今週の下落に対するリバウンド入りが考えられるが、先行スパンの下限を下回る内は一段安警戒とみる。
60分足の相対力指数は13日、14日の急落時に20ポイント割れまで急低下したが、その後は相場が一段安する中で40ポイントを挟んだ持ち合いに留まっているので、強気回復への兆しがまだ見えない状況と思われる。50ポイント台回復、維持へ進めばひとまずリバウンド入りの可能性が考えられるが、再び30ポイント割れしてくる場合は下げの加速に注意する。
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは2月10日未明安値で前回のサイクルボトムを付け、底割れにより新たな弱気サイクル入りとなってきた。今回の安値形成期は15日未明から19日朝にかけての間と想定されるので、ボトムをつけての反騰注意期にあるが、16日夜、17日未明にかけてはまだ一段安警戒が優先か。週末深夜は1月27日が下げ一服で反発開始、2月2日が上昇一巡で下げ再開、2月10日もいったん下げ止まり等、節目になりやすい。仮に深夜へ一段安し、週明けへ戻しても戻りに勢いが見られなければ早々に戻り一巡から次の弱気サイクル入りへと進む可能性も念頭に入れておきたい。
以上を踏まえ、当面のポイントを示す。
(1)106.50円を抵抗とし、上抜けないか、一時的に上抜いても維持できない内は一段安警戒とし、106円割れの状況が進む場合は105円試しを想定する。105円台序盤から105円割れにかけては突っ込み警戒とし、その後の反騰注意とみる。目先の安値をつけて戻す場合は直前安値から1.50円前後の戻りを想定する。
(2)106円前後の現状から戻して106.50円超えの場合は107円試しを想定する。先行スパン上限と重なるので戻り売りにつかまりやすいが、夜間で107円超え、維持へと進む場合はいったんリバウンド入りとして107.50円前後への上昇を想定する。
(3)中勢の強気回復には108円台回復、維持へ進む必要があるとみる。
(4)2016年12月天井から2017年4月底への下落幅は10.54円幅であった。昨年11月6日高値からの下落をこれと同レベルの下げと仮定すれば当面する下値計算値は104.18円前後と考えられる。(了)<9:15執筆>
【当面の主な予定】
2/16(金)
17:20 (欧) クーレECB理事、講演
22:30 (米) 1月 住宅着工件数 (12月 119.2万件、予想 123.1万件)
22:30 (米) 1月 建設許可件数 (12月 130.2万件、予想 130.0万件)
24:00 (米) 2月 ミシガン大学消費者態度指数 速報値 (1月 95.7、予想 95.5)
オーダー/ポジション状況
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