円高に注意しつつももみあいを継続(週報2月第一週)

先週のドル円は、前週の為替に関する発言は無かったかのような落ち着いたスタートを切り、米金利上昇がドル買いに繋がるという今までに見てきたようなパターンを

円高に注意しつつももみあいを継続(週報2月第一週)

今週の週間見通し

先週のドル円は、前週の為替に関する発言は無かったかのような落ち着いたスタートを切り、米金利上昇がドル買いに繋がるという今までに見てきたようなパターンを繰り返しました。米金利(10年債利回り)は週初には既に2.7%に乗せてのスタートとなっていましたが、金曜には2.854%まで上昇し2014年1月以来の水準となり、強い雇用統計の数字も手伝ってドル円は110円の大台に乗せての引けとなりました。

いっぽうで長期金利の上昇が株安を招き、NYダウは週初から下げ足を速め、金曜に665ドル安と近年にない急落相場となっています。660ドルもの値幅の下げは9年ぶり、2008年12月1日以来のこととなります。ただ、当時のNYダウはリーマンショックで大きく下げた後の相場でしたから率で考えると7.7%にも達します。現状ではわずか2.5%にしかあたりませんので、値幅は大きいものの率としては調整の範囲内と言って差し支えありません。

今後更なる下げに結びつくのかどうかを今週は見極める週になりそうですが、今回の株の下げは直接のきっかけは雇用統計、特に賃金上昇率の高さが物価上昇と利上げを連想させ、株を売って債券を買う動きとなりました。為替市場は金利上昇と株安とがミックスしての中立相場になったわけですが、物価上昇と利上げという点はFRBが2018年も3回の利上げ(1回目は3月の見通し)を予定していますので、単月の数字で一喜一憂すべきではないと思います。

ただ、これまで順調すぎるほどの上げを続けてきた米国の主要株価指数に、金利上昇をきっかけとした大きな調整が入り始めた可能性も否定できず、今後の長期金利と米国株の動向には注意が必要です。上記の通りで現状ではまだ為替市場への影響も限定的だと思われますが、ここから更に下げて年始の水準(24,824.01)をも大きく下回るような動きとなると、米国売りのトリプル安(株安、ドル安、債券安=長期金利上昇)といった流れにつながるリスクはあるということは気にかけておきたいと思います。

さて、今週のドル円は突然米国株がリスク要因となってきましたが、週明けのダウ先物の動きは続落、早朝に週末比200ドル以上の下げを見せ、日経平均株価も大幅安、そしてドル円はいまだ目立った動きではないものの110円の大台を割り込みリスクオフの風が吹いてきた印象です。今週は長期金利以上に米国株の動きが世界の株価指数に与える影響を見たいという参加者が多くなりそうです。週初の段階では円高バイアスがかかりやすいと言えるでしょう。

テクニカルにはどうでしょうか。日足チャートをご覧ください。

現在は1月高値113.39と1月安値108.28の38.2%戻し110.23近辺で上値が重たくなってきているチャートです。仮にここからドル買いの動きに転じたとしても半値戻し110.84が戻しの限界点となりやすく、中長期的には依然として昨年安値の107.32を視野に入れていると考えられます。

ただ、下値も短期的にはいったん1月安値で底入れをし、今週中に下抜けるところまでは行きそうもありません。108円台半ばと110円台後半とのレンジの中で、株価をにらみつつの値動きが予想されます。今週は円高の動きに注意しつつ最近のレンジの中でのもみあいと考え、110.80レベルをレジスタンスに、108.80レベルをサポートとやや円高方向に余裕ある一週間を見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

2月5日(月)
10:45 中国1月MarkItサービス業PMI
16:00 トルコ1月CPI
17:50 フランス1月サービス業PMI確報値
17:55 ドイツ1月サービス業PMI確報値
18:00 ユーロ圏1月サービス業PMI確報値
18:30 英国1月1月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏12月小売売上高
23:45 米国1月MarkItサービス業PMI確報値
24:00 米国1月ISM製造業景況指数

2月6日(火)
**:** NZ市場休場
09:30 豪州12月貿易収支、小売売上高
12:30 豪中銀政策金利発表
16:00 ドイツ12月製造業受注
18:00 ドイツ連銀総裁講演
22:30 米国12月貿易収支
22:50 (セントルイス連銀総裁講演)
30:45 NZ10〜12月期失業率

2月7日(水)
16:00 ドイツ12月鉱工業生産
18:00 ラウテンシュレーガーECB理事講演
20:00 (ダラス連銀総裁講演)
22:30 NY連銀総裁講演
24:15 (シカゴ連銀総裁講演)
24:30 米国週間原油在庫
29:00 NZ中銀政策金利発表

2月8日(木)
07:20 (サンフランシスコ連銀総裁講演)
08:50 本邦12月国際収支(貿易収支)
09:30 豪州10〜12月期NAB企業信頼感
**:** 中国1月貿易収支
17:45 ドイツ連銀総裁講演
18:00 豪中銀総裁講演
18:00 ECB経済月報
19:15 フランス中銀総裁講演
19:30 メルシュECB理事講演
19:45 プラートECB理事講演
20:00 南ア12月製造業生産
21:00 英中銀MPC結果公表
22:00 (フィラデルフィア連銀総裁講演)
22:30 米国新規失業保険申請件数
23:00 ミネアポリス連銀総裁講演
26:45 カナダ中銀総裁講演

2月9日(金)
09:30 豪中銀四半期金融政策報告
10:30 中国1月CPI、PPI
11:00 カンザスシティ連銀総裁講演
18:30 英国12月貿易収支、鉱工業生産
24:00 米国12月卸売売上高

前週の主要レート(週間レンジ)

     始値   高値  安値  終値

ドル円  108.60 110.48 108.42 110.14
ユーロ円 135.01 137.51 134.13 137.21
ユーロドル 1.2432 1.2523 1.2335 1.2456
日経平均 23707.14 23787.23 23092.85 23274.53

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

1月29日(月)
 週明けのドル円は、米金利が上昇したことをきっかけに週末前の下げに対する短期筋の利食いが見られたことによる買い戻しの動きとなりました。その後も押しを挟みながらも米金利以外に目立った材料も無く109.20レベルへと水準を切り上げ、高値圏でのクローズとなりました。

1月30日(火)
 東京市場では株安の動きとともにじりじりと円高に進む展開となりました。特に後場にはダウ先物が夜間取引で大幅安となったこともあり、ユーロ円の売りも重なって一段安、NY市場まで円高基調が続きました。しかし、安値108.42レベルと108円台前半を積極的に売りこむ様子もなく、ムニューシン財務長官が以前と同様のドル高肯定発言をしたとのニュースも重なり108円台後半へ戻してのひけとなりました。

1月31日(水)
 東京市場前場から昼にかけての一般教書演説は何のサプライズも無く肩透かしに終わりました。ドル円は前場に109円台に乗せたものの売りも出て、欧州市場序盤には108.60レベルまで下げました。しかしFOMCを前に下にも買いが控えていて、その後はダウの夜間取引の堅調な動きに添ってじり高。FOMCも特にサプライズは無かったものの109.45レベルへと高値を切り上げた後、やや押しての引けとなりました。

2月1日(木)
ドル円は東京市場では株高とともにじりじりと円安に動きました。米金利の上昇も材料視されていましたが、前日高値を超えたことから短期筋の買いとユーロ円の買いに支えられた印象でした。欧州市場では109.75レベルの高値をつけたものの、110円台ではまだ売りオーダーが残っていることと、雇用統計を控えていることもあって引けにかけては東京前場の水準へと押してのクローズとなりました。

2月2日(金)
東京市場では、日銀の買いオペ増額と米金利上昇の2つの材料からドル買いが目立つ展開となりました。雇用統計前には前日高値を超えていましたが、予想よりも強い雇用統計の結果を受けドル円は一時110.48レベルの高値をつけました。しかし、米金利高が株安を招きNYダウが引けにかけて665ドル安にも達したことから、ドル円も大台間近まで押しての引けとなりました。

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