<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドル高・円安。週末NYクローズは110円台を回復するなど、週間を通してドルの強さが目に付く展開だった。
週明けのドル/円は前週末NYクローズと大差ない108.65-70円レベルで寄り付いた。週末に「日本のビッド・コイン取扱会社大手のコインチェックから、顧客資金580億円が流出した」とのニュースが報じられたものの、それほど大きな影響は見られず影響は限定的。
しばらくのあいだ108.40-109.20円といったレンジ取引を続けるも、週末にかけて上抜けすると110円台も回復。注目されていた1月の米雇用統計が予想を上回る好数字になったことが好感されていたという。ドルは週間高値110.48円を記録したのち、やや値を崩した110.15円レベルでNYを大引け、越週している。
一方、週間を通した主な材料のひとつは、幾つかの「米国ファクター」。週の半ばにかけてはトランプ米大統領の一般教書演説や、イエレンFRB議長最後の米FOMCなどが話題となったほか、「米政権vs連邦捜査局(FBI)」の構図鮮明化の動きなども、思惑を呼んでいたようだ。
また、9日に韓国平昌五輪がはじまるという状況下、「北朝鮮情勢」も依然注目要因に。その前日に実施される予定の「北の軍事パレード」について、米韓が強い不満を示したことに対し、当の北朝鮮が反発を強め五輪参加撤退をチラつかせるなど、不安定な状況はいまなお続いていることが再確認された格好にある。
<< 今週の見通し >>
1月26日に108.28円まで下落したことで、高まっていたドルの下値トライ機運は、目先一服した感を否めない。NYクローズでも110円台を回復し、取り敢えずは仕切り直しか。
ただ、トランプ政権が「米国第一主義」を掲げ、貿易赤字解消に血道を挙げていることは周知のことであり、また先週末には米金利の上昇がドル買いに結び付いたものの、その一方で米株は大きく崩れている。それを受け、たとえば4日付の読売新聞では「米の株相場、潮目か」と危機感を前面に出して報じており、内容的にも続落を強く警戒するものになっていた。仮に、読売新聞が警戒するような米株の大幅続落が現実のものとなれば、為替市場において再びドル売りが強まっても不思議はないだろう。米金利や米株の動きに今週は、とくに注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、前週に109.10円レベルに位置する週足・一目均衡表の先行帯の雲の下限をNYクローズベースで割り込んできたものの、それをわずか1週間で回復してきた。デジャヴとも言えるような、「過去に一度見た風景」で、具体的にはドル安値107.33円を記録した際、昨年9月3日週になる。
そして前回、昨年9月以降の展開はと言うと、ドルの下値トライが「ダマシ」に終わるなか、緩やかに上昇し、11月には114.74円まで値を上げていた。もちろん、今回も前回と同様の歩調をたどると言い切るのは早計だが、ドルの続伸にも一応注意しておきたい。
一方、材料的に見た場合、週初に予定されている1月のISM非製造業指数など、幾つかの米経済指標が発表されるものの、全体的に小粒なものが多く、よほどの内容とならない限り影響は限定的か。それよりむしろ、米5、10、30年債の入札や、相次ぐ米地区連銀総裁などによる講演に注意を払いたい。
また、米国ファクターではないが、豪州やNZ、英国などによる政策金利の発表、トヨタ自動車を中心とした日本企業の決算発表も一応要注意。さらには、韓国平昌五輪開幕に向けた北朝鮮情勢や、日韓などによる首脳会談といった政治・国際要因も場合によっては波乱要因となりかねないだろう。
そんな今週のドル/円予想レンジは、109.00-111.50円。ドル高・円安については、先週末のドル高値110.48円が最初の抵抗で、上抜ければ高値114.74円を起点とした下げ幅のフィボナッチ38.2%戻しの110.75円や、同半値(50.0%)戻し111.50円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、まず109.70-80円に弱いサポートが位置するものの、割り込むと週足の一目の雲の下限が今週も位置する109.10円レベルなどが意識されそうだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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