2018年ドル円相場見通し2(テクニカル、周期)
山中先生のドル円年間相場見通し、前半からの続きです。(編集部)
テクニカル
(1) ドル円月足チャート
大きな流れを俯瞰するため、月足チャートをご覧ください。
紫の四角で囲んだ期間が1年間を示していますが、ドル円は2011年10月に史上最円高値となる75.53をつけ、その後2015年に戻し高値の125.86をつけました。2015年に125円をつけた時期、米国だけでなく日本も円安の行き過ぎを懸念し、後に火消しをしたものの黒田日銀総裁までもが円安の水準という言葉を使い後に黒田ラインと呼ばれました。
その後、黒田総裁が為替の水準に触れることはなくなりましたが、現在の円安の水準は当時よりも5円ほど下がり120円水準にあるのではないかということは先に書いた通りです。そして、125円台から翌年には一時99.02まで押しが入りましたが大台の100円はその後何度かトライしたものの抜けることはありませんでした。
この大台100円は心理的に大きな壁となったと同時に史上最円高値から黒田ラインの水準までの上げに対する半値押し100.69にも近くテクニカルにもサポートとなりやすい水準であったことは間違いありません。そして昨年は非常に狭い値幅での取引が続きましたが、125円台からその後の高値を結んだレジスタンスラインを昨年11月の高値で抑えられ、その後の円高の動きがここまでです。
現在、このレジスタンスラインは113円台半ばに位置していますが、長期の動きですからある程度の誤差を考え昨年3月高値の115.50レベルがドルの上値を抑えやすい水準です。また円高方向の水準では、引き続き上記半値にあたる100円の大台がサポート兼ターゲットとなりますが、仮に100円の大台を割り込むと、125.86を起点とした逆N波動の78.6%(61.8%の平方根)エクスパンションにあたる97.57、そして史上最円高値と125.86の61.8%押しにあたる94.75をターゲットとする動きになってきます。
今年も値幅が狭い1年となれば100円の大台、ある程度値幅が出れば61.8%押しに近い95円をターゲットとしたドル安・円高相場が考えられ、大きく下げた後には5〜10円程度の反発が入っての年末という水準と時期を考えています。個人的には今年は後者、動く可能性を考えています。
これは昨年も最後に示した日柄(サイクル)から来るものなので、今年はじっくりと見てみましょう。
(2)10〜12年サイクルの超円高イベント
まずは、昨年も書いた1973年の変動相場制移行後の超円高イベントの一覧です。
1973年 変動相場制移行
12年後
1985年 プラザ合意
12年後
1997〜8年 アジア通貨危機
10年後
2007〜8年 サブプライム〜リーマンショック
10年後
2017〜18年 米国発のリスクオフ?
唯一変えたのが最後の行で、昨年は「2017年=中国危機?」という部分を10年後という時間経過をそのまま持ってきて「2017〜18年=米国発のリスクオフ?」に変えたことです。
見てわかる通りですが、変動相場制に移行した1973年以降、10〜12年毎に超円高のイベントが起きています。現在の水準から考えると20円の値幅でも十分に円高と言えますが、2017年が凪相場だったことから2018年はサイクル的に注意が必要な年回りとなります。
その時に何が起きるかとなると、冒頭に書いた米国の景気後退懸念ということは十分に考えられることです。それぞれのイベントもよく考えてみるとほとんどが直接的に米国要因ですし、アジア通貨危機も元はと言えば米国のヘッジファンドがアジア通貨を売り崩したことが原因です。
つまり、2018年も米国要因でのドル安というサイクル的な面も95円に向かう円相場をイメージさせずにはいられないのです。
オーダー/ポジション状況
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