<< 東京市場の動き >>
11日の東京市場は、ドル高・円安。昨日だけで1.5円と、久しぶりに大きくドル安・円高方向へ動いたことの調整が、断続的に観測されていた。
ドル/円は寄り付いた111.40円レベルを日中安値にじり高推移。ドルが買われた面もあるが、日経平均など株価の動きをにらみつつ円はクロスを含めてほぼ全面安に推移しており、円の弱さが際立つ展開だった。
夕方にかけて、ドルは111.85円レベルまで値を上げるなど、「寄り付き安・大引け高」と言ってもよい値動きで、16時時点では111.80-85円の日中高値圏で推移し、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたもののひとつは、「中国による米国債投資減」関連のニュース。もともとは、前日にブルームバーグが関係筋の話として報じたものだが、それを中国外為局が「米国債投資は市場に基づく行為」などと否定したことが、一部で話題になっていたという。
また、それとは別に、やはり前日のNYに話題を集めていた「米の北米自由貿易協定(NAFTA)離脱」思惑−−について。ロイターが「トランプ米大統領は、カナダ、メキシコとの再交渉を有利に進める究極の交渉戦術として協定からの離脱通知に踏み切る可能性がある」と報じるなど、関連ニュースが幾つか伝えられていた。
<< 欧米市場の見通し >>
「ついに」というべきか、「ようやく」というべきか、ともかく昨日の欧米時間にドルは過去1ヵ月以上形成していたレンジの下限である112円を割り込んできた。これを持ち、ドルの下値リスクが幾分高まったと言えるだろう。
しかし、予想していたほどは値が走らず、本日の東京時間をみても逆に底堅さを感じてしまうところがやや気掛かり。つまり、総弱気には傾斜しておらず、まだまだ「ドルの強気派」も幅を利かせている感がある。ともかく、確かにレンジを下抜けたものの、これまでの形成レンジを若干下方向に広げただけ、の可能性も捨てきれず、ドルの弱気基調をハッキリさせるには、11月安値の110.84円を比較的早い段階で割り込む必要がありそうだ。
テクニカルに見た場合、112円台に位置した一目均衡表の先行帯の雲だけでなく、111.70円レベルで推移する移動平均の200日線も、昨日のNYクローズで割り込んできた。後者については、昨年11月22日以来、1ヵ月半ぶりのこと。
そんな200日線をめぐる攻防は、今後もしばらく注視したい。と言うのも、昨年11月のときには4-5日、200日をわずかに下回る値動きとなったが、結局それが「ダマシ」になったという経緯があるためだ。今回下回ったといっても、「完全に割り込んだ」とまでは言えない状況だけに、当時の二の舞も警戒されている。
一方、材料的に見た場合、12月の米生産者物価指数が発表されるほか、米財務省による30年債入札、ダドリーNY連銀総裁による講演など、注目ファクターが少なくない。足もとはドル戻り歩調ながら、ドル安機運が高まってきただけに、入札結果を受けた米金利の低下や、政府要人からハト派コメントなどが示された場合には、相場が再びドル安に向けた動きをたどる可能性もある。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、111.30-112.50円。ドル高・円安方向は、112円レベルならびに、昨日割り込んできた一目の雲の下限が位置する112.35-40円が最初の抵抗か。抜ければ同上限の位置する112.80円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、昨日安値の111.27円がかなり強いサポートとして意識されている。しっかり割り込むようだと、昨年11月安値110.84円が名実ともに視界内に捉えられそうだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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