<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドル高・円安。しかし、昨年12月以降形成しているボックス圏には留まるなど、そうした意味で明確な方向性はいまだ示せなかった。
年明けの為替市場は静かなスタート。ドル/円は前年末終値とほぼ同じレベルである112.65円前後で寄り付いた。そののち、一時ドル売りが優勢となり、112円割れをうかがうも底堅く、流れが反転すると一気に113円台へ。今度はドル高値トライの機運が高まったものの、週末に発表された注目の米雇用統計が失望の内容となったことが嫌気され、一転軟落した。結局、週末NYはドルの高値圏ではあるが、113.05-10円とレンジを上抜けできないまま、越週している。
一方、週間を通した主な材料のひとつは、「北朝鮮情勢」。年明けに、「北朝鮮の金朝鮮労働党委員長が米本土の攻撃可能な核弾頭搭載のミサイルを実戦配備したと宣言」と報じられるなか、トランプ米大統領が「わたしも核のボタンを持っていると彼(金正恩氏)に知らせてくれ」「わたしの核兵器はもっとパワフル」などと、自身のツィッターに書き込んだことが明らかになっている。
また、それとは別に米CBSニュースが「北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射を準備している」と報道するなど、情勢の緊迫化をうかがわせる反面、週末にかけては「米韓大統領が電話会談、合同軍事演習延期で合意」や「北朝鮮が韓国側の今月9日会談の提案を受け入れ」との報道も観測されていた。
<< 今週の見通し >>
昨年12月以降、大雑把にレンジは112.00-113.80円といったところで、変動幅は2円にも満たない。完全に泥沼にはまってしまった感を否めず、なかば諦めムードも漂い始めた。レンジ取引の継続を予想する声も少なくないようだ。
しかし、方向性はともかく、テクニカルや経験則の観点からすると、一度ボックスを放れた場合、溜め込んできたエネルギーが一気に放出されるため、思わぬレベルまで値が飛んでも決して不思議ではないだろう。昨年11月に記録したドル高値114.74円、あるいは同安値の110.84円などは「単なる通過点」となる可能性もあるだけに、そのタイミングに向け、虎視眈々と準備を進めておきたいところだ。
テクニカルには、日足で見た場合、移動平均や一目均衡表における主要線がきわめて狭い範囲内に密集してきた。たとえば、一目均衡表では先週末5日段階で、112.30-80円という50ポイントレンジに先行帯の雲の上下限や、転換線、基準線などがすべて含まれている。
これは、前述したように1ヵ月余りも2円以下のボックス相場をたどっていることからすれば、ある意味当然なのだが、経験則的には保ち合い放れの印のひとつとされることから、相場はかなり煮詰まってきたのかも知れない。レンジ・ブレークの動きにも一応要注意。
一方、材料的に見た場合、週末にかけて発表される12月の米消費者物価などインフレ関係の指標を中心に、その内容には注意を払いたい。また、週間を通して相次ぐ、FRB関係者の講演なども要注意だ。
なお、後者については、先週末に発表された米雇用統計における非農業部門雇用者数が期待外れに終わっただけでなく、平均受給も予想通りに留まるなど、全体を通して肩透かしに終わるなか、FRBが公表した2012年のFOMC議事録から「FRBのパウエル次期議長が、2012年に決定された量的緩和第3弾(QE3)を仕方なく支持していた」ことが明らかにされていた。
そんな今週のドル/円予想レンジは、111.70-114.00円。ドル高・円安については、昨年12月に2度上値をレジストされており、フィボナッチの抵抗も近い113.80円前後の攻防にまずは注視。抜ければ、心理的な意味合いの114円前後、11月高値の114.74円などを目指す展開か。
対するドル安・円高方向は、先で指摘したように日足・一目均衡表の各線が集中するなどサポートの多い112円前半から後半が強いサポートとして意識されそう。底堅いイメージはくすぶるものの、攻防の分岐点である112円レベルを割り込むようだと、一気のドル安進行も!?(了)
オーダー/ポジション状況
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