ドル円今週の週間見通し(週報11月第一週抜粋)

日米首脳会談後の動きに注意、反転が近いか

ドル円今週の週間見通し(週報11月第一週抜粋)

今週の週間見通し

先週は週初こそドル売りが先行しましたが株価上昇によるリスクオンがドル円を持ち上げ、火曜以降は株価とともにじり高の展開。週末の雇用統計も最終的にドル買いに繋がり週間高値を更新後にやや押しは入ったものの114円台での引けとなりました。材料的には前週はパウエル理事の議長昇格をドル売りと捉えた動きも見られましたが、日経平均株価が21年ぶりの22500円台での引けとなったことや、前週のECB理事会後に上値の重たくなったユーロドルの影響もあって全般的なドル買い相場の週でした。

ただ、値幅自体は決して大きいとは言えず、火曜に一時的に113円割れを見たものの、ほぼ113円台半ばの買いと114円台前半の売りとに挟まれる値動きとなっていて、112円台もしくは115円台の動きが定着してこない限り方向感が出にくい地合いが続きそうです。

ここに至るまで日米欧の政治材料はほぼ消化してきましたが、米国では税制改革の目途が付き次第次の公約実現へと動きを加速させたいと考えていることは間違いありません。また本日午後から日米首脳会談が開かれ、北朝鮮問題とともに日米それぞれの成長をといった話も出て来るはずです。これは、間違いなく米国に都合の良い話が多いことが想像され、最近では下火になっていた日米不均衡問題も水面下で話されることが想像できます。

今回のトランプ大統領の来日以降の日程に、訪韓、訪中後は今週末にAPEC首脳会合、来週初にはASEAN首脳会合への参加が予定され、どこの国の記者がどのような質問をするのかを考えると、日韓とは明らかに温度差があるはずです。先月には半期ごとの財務省為替報告書が出ていますが、中国、日本、韓国と監視リスト5カ国中、欧州のドイツとスイスを除く3つの国すべてが含まれています。

ムニューシン財務長官、ロス商務長官、ライトハイザーUSTR代表と米政権の不均衡是正メンバーが最近静かな中で、トランプ大統領が何らかの発言をする可能性に注意したいところです。ちなみに年初の頃は結構為替の話も出ていましたが、年初来高値は1月初めの118.60レベル、ある程度のバッファーを考えると115円を超える円安は、警戒すべき水準に入ってくると考えています。1月初め以降では3月につけた戻り高値115.51を超えると円安に弾みがつきやすいと考える向きが多く115円台半ばが大きな目安となってきそうです。

ここまで書いてあったところで、週明け相場を見て続きを書いていますが、想定通りというか、日米首脳会談を前にしてトランプ大統領からいくつか発言が出ています。簡単に引用すると、日米でどのように経済関係を強め「改善するか」、米国は大きな「対日貿易赤字に苦しんでいる」といった内容です。週明け前場の為替相場は仲値の買いと、その後金曜高値を超えたことから仕掛けの買いが出て一時114.75レベルまで高値を切り上げ、トランプ大統領の発言には無反応です。

しかし、対日貿易赤字と具体的に問題点を上げ、改善するための日米首脳会談とやや穿った見方をするならば、後先に上げた米政権3閣僚も含めて具体的な話が出て来る方向性になるのではないかと思われます。安倍首相もトランプ大統領に何かお土産を持たせて帰ってもらうでしょうから、為替の話は出さないまでも対日赤字を削減するような方向性は見せるかもしれません。

特に注意が必要なのは、会談後に日本側が何も言わなくても米国側がさらっと不均衡是正のための話し合いが持たれた、為替水準も注視することを考えていく、などと言ったら急速に円高に動くリスクがあります。このあたりをテクニカルな観点から見てみましょう。日足チャートをご覧ください。

先ほど示した3月高値をピンクの横線で示してありますが、同水準は8月安値を起点に10月6日までの上げ、その後の10月16日への押しをN波動としてフィボナッチ・エクスパンションを計算した場合の61.8%エクスパンション115.44(青のターゲット)ともほぼ重なります。また50%エクスパンションは114.71と今朝の高値圏とも重なっていることがわかります。

上昇の限界点として115円台前半から半ばを見つつも、午後の会談の内容次第では115円台乗せを見ずに終わる可能性も考えられます。金曜には雇用統計の発表がありましたが、先週も言及した通りで雇用統計前後にドルが高値をつけやすい雇用統計アノマリーも気になるところです。

今週は113.20レベルをサポートに、115.20レベルをレジスタンスと、下方向に余裕のあるレンジを見ておこうと思います。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2017年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、シカゴ、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。

11月6日(月)
**:** 米国市場冬時間
08:50 日銀会合(9月20日)議事要旨公表
10:00 黒田日銀総裁挨拶
**:** 日米首脳会談
16:00 ドイツ9月製造業受注
17:50 フランス10月サービス業PMI確報値
17:55 ドイツ10月サービス業PMI確報値
18:00 ユーロ圏10月サービス業PMI確報値
19:00 ユーロ圏9月PPI
26:10 NY連銀総裁講演

11月7日(火)
12:30 豪中銀政策金利発表
**:** EU財務相会合
16:00 ドイツ9月鉱工業生産
19:00 ユーロ圏9月小売売上高
26:35 クオールズFRB副議長講演
26:45 カナダ中銀総裁講演

11月8日(水)
**:** 中国10月貿易収支
16:00 トルコ9月鉱工業生産
16:45 フランス9月貿易収支
23:30 米国週間原油在庫
29:00 NZ中銀政策金利発表

11月9日(木)
08:50 日銀会合(10月31日)主な意見公表
08:50 本邦9月貿易収支(国際収支)
10:30 中国10月CPI、PPI
16:00 ドイツ9月貿易収支
18:00 ECB月報
19:00 欧州委員会経済見通し
20:00 南ア9月製造業生産
22:30 米国新規失業保険申請件数
24:00 フランス中銀総裁講演
24:00 米国9月卸売売上高
25:30 スイス中銀総裁講演

11月10日(金)
**:** APEC首脳会議(〜11日)
10:30 豪中銀四半期金融政策報告
16:45 フランス9月鉱工業生産
18:30 英国9月鉱工業生産
18:30 英国9月貿易収支
24:00 米国11月ミシガン大消費者信頼感指数速報値

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