戻り売りも根強い(週報2016年2月第5週)

指標を受けドル高に動いたものの戻り売りも根強い

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戻り売りも根強い(週報2016年2月第5週)

前週の主要レート(週間レンジ)

     始値     高値     安値     終値

ドル円  112.53   114.00    111.04  113.98
ユーロ円 125.15   125.56   122.47   124.56
ユーロドル 1.1223  1.1240   1.1067   1.1128
日経平均 15851.39  16472.50 15753.77 16188.41

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

2月22日(月)
 週明けの為替市場は早朝からのポンド売りが目立っていましたが、東京市場が始まると株高の動きに引っ張られてドル円はリスク回避の巻き戻しから円安方向への動きとなりました。欧州市場に入り、続落するポンドに追随しユーロが対ドル、対円で下落、NY市場ではそれぞれ1.1003レベル、124.37レベルまで水準を切り下げ、安値圏でのクローズ。ドル円は欧州市場序盤にユーロドルのドル買いの動きから113.39レベルまでドル買いとなったものの、その後はユーロ円の売りに押され112円台後半での引けとなりました。

2月23日(火)
 東京市場では、週末G20における通貨安競争回避の可能性と株安の動きが重なり円高が進行、112円割れ目前の水準まで下げた後も上値の重たい展開を続けました。欧州市場に入ると弱いドイツの経済指標と底の見えないポンドの動きから、ポンド円がリードしながらユーロ円が一段安となり、ドル円は111.78レベルまで水準を切り下げました。ユーロも対ドル、対円ともに水準を下げ、それぞれ1.0990レベル、123.07レベルの安値を付けました。そうした中で原油生産凍結に対して否定的なコメントが出るなど原油価格は一段安、週初の水準に下げてもなお下値模索を続けやすい状況となり、株価とともにリスク回避の流れを作りやすい状況となっていました。

2月24日(水)
 東京市場では前日に続いてドル円の上値が重くじり安の展開を辿りました。欧州市場に入り、株式市場に買いが入る動きを見ていったんは112円台前半へと水準を上げましたが、その後ダウ先物夜間取引を中心として主要株価指数が大幅安、NY市場に入ってからも軒並み弱い米国経済指標に反応して株式市場が続落、為替市場はドル売り一色となりました。ドル円は一時111.04レベルと2月11日安値までわずかの水準まで迫りましたが、後場に入り原油価格が大幅高となる中、株式市場も急反発し、112円台前半へと戻しての引けとなりました。

2月25日(木)
 東京市場では前日NY市場後場の流れを受け、ドル円は円安の動きからスタートしました。欧州市場序盤に夜間取引の株価先物に売りが見られた際には一時的な押しも入りましたが、その後もじりじりと水準を切り上げ、前日に続きNY市場では原油高、株高の動きが強まったことからドル円は113円台に戻しての引けとなりました。週初からポンド円がリードする形でドル円クロス円での円高が進行していましたが、ポンド円が前日に154円台後半で目先の底入れをし158円近くまで値を戻してきたことで、G20開催の週末を前にしたポジション調整も出ていました。

2月26日(金)
 ドル円はNY市場までは木曜のドル高値圏でのもみあい、G20が開催される週末前ということもあり全般に動意薄の状態が続きました。NY市場に入り発表されたGDP改定値が事前予想の下方修正から上方修正されたことをきっかけに、ドルが全面高、欧州市場で既に上値の重たい展開となっていたユーロドルが1.0912レベルまで大きく水準を下げ、ドル円も追随して114.00ワンタッチ。ストップを付けた動きのようにも感じられましたが、それぞれドル高値圏でのクローズとなりました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。FRB地区連銀総裁講演の内、2016年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。

2月29日(月)
09:00 NZ2月ANZ企業信頼感
19:00 ユーロ圏2月CPI速報値
19:00 ギリシャ10〜12月期GDP確報値
21:00 南ア1月貿易収支
23:45 米国2月シカゴ購買部協会景気指数
24:00 米国1月中古住宅販売保留件数指数
24:30 米国2月ダラス連銀製造業活動指数

3月1日(火)
08:30 本邦1月失業率、有効求人倍率
09:30 豪州10〜12月期経常収支
10:00 中国2月製造業、非製造業PMI
10:00 中国2月MarkIt製造業PMI
12:30 豪中銀政策金利発表
13:30 NY連銀総裁講演
17:50 フランス2月製造業PMI確報値
17:55 ドイツ2月製造業PMI確報値
17:55 ドイツ2月失業率
18:00 ユーロ圏2月2月製造業PMI確報値
18:30 英国2月製造業PMI
18:30 南ア10〜12月期GDP
19:00 ユーロ圏1月失業率
23:05 ラウテンシュレーガーECB理事講演
23:45 米国2月MarkIt製造業PMI確報値
24:00 米国2月ISM製造業景況指数
24:00 米国3月IBD景気楽観度指数
24:00 米国1月建設支出
**:** スーパーチューズデイ

3月2日(水)
09:30 豪州10〜12月期GDP
15:45 スイス10〜12月期GDP
17:30 クーレECB理事講演
18:30 英国2月建設業PMI
19:00 ユーロ圏1月PPI
22:15 米国2月ADP全国雇用者数
24:00 (サンフランシスコ連銀総裁講演)
24:30 米国週間原油在庫発表
28:00 ベージュブック

3月3日(木)
09:30 豪州1月貿易収支
10:30 中曽日銀副総裁講演
10:45 中国2月MarkItサービス業PMI
17:00 トルコ2月CPI
17:50 フランス2月サービス業PMI確報値
17:55 ドイツ2月サービス業PMI確報値
18:00 ユーロ圏2月サービス業PMI確報値
18:30 英国2月サービス業PMI
21:30 米国2月チャレンジャー人員削減予定数
22:30 米国10〜12月期単位労働コスト確報値
22:30 米国新規失業保険申請件数
22:45 米国2月MarkItサービス業PMI確報値
24:00 米国2月ISM非製造業景況指数
24:00 米国1月製造業受注指数

3月4日(金)
18:00 イタリア10〜12月期GDP確報値
22:30 米国2月雇用統計
22:30 米国1月貿易収支

3月5日(土)
 **:** 中国2016年GDP見通し公表

今週の週間見通し

ドル円は水曜には111.04レベルと2月11日安値(110.99レベル)までわずか5銭の水準まで迫りましたが、G20前の金曜NY市場では一時114.00レベルの高値を付け週後半で3円近い戻しを演じました。

ひとつは週末の上海G20において事前に話のあった通貨安競争回避の話がそれほど強調されない可能性もあるという思惑、そしてNY市場に入り発表されたGDP改定値が事前の下方修正予想に反して上方修正となるポジティブサプライズであったことです。

まず、G20の為替に関する部分から見ていきましょう。以下、財務省のサイトで公開されている声明文全文(仮訳)から、2節の為替に関する声明文のみを引用します。
我々は、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得ることを再確認する。我々は、為替市場に関して緊密に協議する。我々は、通貨の競争的な切り下げを回避することや競争力のために為替レートを目標とはしないことを含む、我々の以前の為替相場のコミットメントを再確認する。

簡単にまとめると、(1)過度の変動には協議するものの、(2)通貨の競争的な切り下げを回避する、とほぼ事前に話されていた内容にまとまりました。ひとつ気になる点としては、ユーログループ議長が「日本についても討議され、競争的な通貨切り下げの状況に陥るのではないかとの懸念があった」と発言したことです。

現在の世界的な金融混乱の状況下において、G20の認識としてはドル円の動きは過度の変動と考えていないと思われ、逆にこの状態での円安誘導は認められないと考えていると思われることです。であれば、1月末以降の円高の動きも一時的にはスピードが速かった場面があったとしても、現状ある程度落ち着いている動きを続けている中では、市場参加者の動きに任せるべきという以前から米国がよく言っている方向性に落ち着くであろうと考えられます。

また、米国GDP改定値ですが、事前予想に反したポジティブサプライズとなったことで、これまで3月はおろか年前半の利上げは困難ではないかとの見方から、FRBの緩やかな利上げのスタンスに変化はなく、今週末の雇用統計等、状況次第では3月の利上げの可能性がゼロでは無さそうであるというところまで、思惑が変化してきた様子です。

この思惑の変化を受け、米国株式市場は売り、為替市場はドル買いで反応しましたが、3月16日FOMC結果発表までは様々な思惑が出入りしてきそうです。ただ、以前から言っている通りで、利上げの予想に関してブレているのは常に市場参加者、FOMCメンバーの発言から考えると当初の2016年1%の利上げからやや後退していて、おそらく3か月程度後ろにずれている状態、つまり6月からの利上げと考えるのが妥当でしょう。ただ、これも今すぐの材料とはなりにくく、まずは今週金曜の雇用統計を見てとなります。

更にテクニカルには、引き続き中長期的には115円台半ばを非常に強いレジスタンスとしながら、111円前後では2月11日と24日の2点でダブルボトムを形成しつつあるチャートパターンとなっていて、大きくは111円から115円台半ばの間でもみあいの局面にあり、次の方向性を探るステージの段階です。現状ではその中の112円から114円台後半の中での推移を続けやすいと考えられます。

今週はそのレンジの中で水準を狭め、112.50レベルをサポートに、114.30レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。雇用統計まではもみあいを抜けることは無さそうです。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。

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