<< 東京市場の動き >>
15日の東京市場は、一時ドル安が進行するも終わってみればドル高・円安。とくに夕方にかけては緩やかな右肩上がりで、日中を通した高値引けとなっている。
110.20-25円で寄り付いたものの、その直後に「北朝鮮がミサイルを発射した」との報道があり、円が急騰。ドル/円も109円半ばまで一気に値を下げた。
しかし、日中安値を記録したあとは流れが反転し、再びドル買い・円売りが優勢に。とくに夕方にかけては、むしろ円全面安といった様相をたどると、ドル/円も110.70円台までと1円以上のドル反発をみせた。日経平均など東京だけでなく、アジア全般で株価が堅調に推移したことが好感されるとドル買いが進み、16時時点では110.70-75円という日中最高値圏で推移し、欧米時間を迎えている。
一方、材料面として話題となっていたもののひとつは、本日も北朝鮮情勢。昨日のNY時間から「北朝鮮で大陸間弾道弾(ICBM)発射の兆候」などといった報道が聞かれるなか、本日早朝、実際に「北朝鮮がミサイルを発射」、それが再び北海道の上空を飛行し、太平洋に着弾したという。そんな北朝鮮のミサイル発射と絡め、「米国務長官が日本と韓国の外相と協議」するなど、要人の電話会談も相次いだ。
<< 欧米市場の見通し >>
北朝鮮情勢については、昨日ぐらいから再びマーケットの波乱要因となっていたが、まさか「昨日の今日」に実際のミサイル発射が実施されるとは予想していなかった。
しかし、それ以上によくわからないのが、金融市場の反応だろう。以前に「日本が巻き込まれる地政学リスクは円買い材料にならない可能性がある」−−と指摘したことがあるが、本日の動きを見ると円買いの反応はホンの一瞬で、以降は一貫して逆の円売りが優勢だった。つまり、結果として「日本が巻き込まれた地政学リスクは円売り」になっていたわけだ。これは、たまたまなのか、それとも市場筋の認識が変化したためなのか、もう少し情勢をみてみたい。
テクニカルに見た場合、まず注目されるのが本日の東京高値も近い110.75円レベルの攻防になる。これは、緩やかな下降をたどってきた一目均衡表の先行帯の雲の下限が本日位置するためで、一気に上抜いてくるのか、それとも上値を阻まれ軟落するのか、動静をしっかりと見極めたいところだ。
また、仮に雲の下限を上抜けた場合でも、今年の8月以降は111円前後をしっかりと超えたことが一度もない。ここから先のドルの上値はかなり重い、などといった指摘も聞かれていた。
一方、材料面を見た場合、8月の小売売上高や同鉱工業生産・設備稼働率など幾つか米経済指標の発表が予定されており、それらにまずは要注意。来週20日にFOMCの政策金利発表を控えていることで、米ファンダメンタルズへの関心も高くなっており、その内容如何でマーケットが右往左往する可能性もありそうだ。
また、それ以外では日本時間16日未明に実施される連安全保障理事会の緊急会合を中心とした北朝鮮情勢に関する各国要人の発言などにも注意を払いたい。
以上を踏まえた本日欧米時間のドル/円予想レンジは、110.10-111.30円。ドル高・円安方向は、一目の雲の下限などが位置する110.75円レベルの攻防にまずは注視。抜ければ8月以降にしっかりと超えられていない111円レベルがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、110.30-40円レベルに弱いサポートがあり、割り込むようだと110円前後や本日の東京安値の109円半ばなどを目指す展開となりそうだ。(了)
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