【概況・ポイント】
9月8日安値で107.32円の安値をつけたあとは揺れ返しの上昇へ進み、13日深夜への上昇では8月31日高値を上抜いた。さらに14日夜には111.035円まで高値を伸ばし、8日からの上昇幅は3.71円幅となっていた。しかし、15日早朝、北朝鮮が北太平洋へ弾道ミサイルを発射、やや緊張感が緩んでいた市場はリスク回避的に円高反応となり、7時過ぎには109.54円の安値をつけた。その後はやや落ち着き、110円を挟んでの持合いとなっている。
9月3日の北朝鮮核実験騒動からリスク回避型円高となり、9月8日安値まで下落、8月以降は何度か108円台の安値から戻していたところ、107円台へ突っ込み、4月17日安値108.13円も割り込んで年初来安値をつけた。この円高は、北朝鮮情勢とともにユーロが一段高してきたこと、巨大ハリケーンによるテキサスでの大規模被害等が背景となっていた。
8日夜からはユーロが反落、調整安へ入ったことでドル安感が一服した。北朝鮮情勢も国連安保理の制裁決議が当初の米国案からかなり緩んだことで緊張感が後退した。ハリケーン「ハービー」に続いた「イルマ」のフロリダ半島上陸では、当初想定されていた程の被害にはならないとして安堵感が出た。これらを背景にドル円は前週のリスク回避型展開から一転してリスクオンとなり、株高もあって大幅上昇、イッテコイ以上の戻りとなった。
市場のテーマは来週9月19−20日の米連銀FOMCでの金融政策、議長会見を意識する流れへと進みかけていた。米生産者物価、消費者物価も前月から改善したことで、12月の利上げ可能性も意識されつつあった。そこに15日朝のミサイル発射騒動となり、緩んでいた緊張感が再浮上したという印象だ。
早朝のミサイル騒動を受けて安寄りした日経平均は買い支えもあるのか、前場は若干のプラスへ戻して推移している。ドル円も7時過ぎ安値からは戻している。前回の北朝鮮ミサイル発射が3発だったのに対して今回は1発。飛行距離は伸びたが着弾は北太平洋であり、米国を激怒させるグアム方面への発射は見送られた。冷静に見れば、国連制裁決議に対する反抗的リアクションではあるが、さらに一段とエスカレートさせようというところにまでは至っていないのかもしれない。しかし何もしなければ決議に屈し、さらに制裁内容が拡大させれば効果があると思われることも回避したい為、1発撃ったという事かもしれない。ただ、週末からの3連休もあるため、矢継ぎ早に連続的な軍事挑発、ミサイル発射等により連休明けに緊張感が一層高まるリスクも発生したという状況だ。
【テクニカルパターン】
9月8日からの反騰は7月11日高値からの下落過程においては最大の反発幅である。また8月16日、8月31日と切り下がってきた戻り高値を上抜いており、大きなV字反転となっている。このため、ひとまず7月11日からのドル安円高が一服、戻しに入るか、新たな小康状態的な持合いに入る可能性が考えられる。しかし、安値を更新した後の高値切り上げのため、高値を切り上げ、その後にまた安値を切り下げるレンジ拡張型の往来相場で持ち合いを形成し、下放れへ進むチャートパターンもあることも念頭に入れておきたいところだ。
因みに、凡そ2か月の下落で7円強を下げたところから反発している現状は、昨年12月天井から2月6日安値まで凡そ2か月、7.07円安してから2月15日高値へ3.37円高した時にも近い印象だ。その時は、112.50円前後の支持線から転落して安値を更新したところからいったん戻しに入ったという状況だったが、安値更新から新たに売り込んだ弱気筋が予想外の反発に狼狽して買い戻しを余儀なくされたために反発も大きくなったという印象がある。今回年初来安値更新から売り込んだところで踏み上げさせられたという感じではなかろうか。
【60分足 一目均衡表分析】
60分足の一目均衡表では、14日夜高値からの反落で遅行スパンが悪化した、7時前安値では先行スパンからも転落したが、その後の小反発で先行スパン下限に張り付いている状況にある。110.50円を超える反発となれば、早朝の急落を解消し、先行スパンを上抜き返すこととなるので上昇再開とし、高値更新へ向かう可能性が出てくると思われるが、110円割れの状況が続けば先行スパンからの転落を再確認することとなるため、早朝安値試し、更に一段安の可能性があると考える。
60分足の14本相対力指数は9月11日から13日夜高値への高値更新に対して指数の山が切り下がる弱気逆行が連続していたが、14日深夜からの反落で早朝には30ポイント台まで下落している。50ポイント台を回復、維持し始めれば早朝の急落を消化して上昇再開となる可能性を示唆するが、50ポイント台を回復できないか、一時的に回復しても40ポイント割れへと下げる場合は下落継続性ありとみる。
概ね3日から5日周期の短期サイクルでは、9月8日夜安値を直近のサイクルボトムとした上昇として、今回の高値形成期を12日未明から14日未明にかけての間と想定してきたが、やや延長して14日夜高値まで上昇を継続し、ピークをつけたと思われる。今回の安値形成期は15日早朝から15日夜にかけての間と仮定するが、サイクルトップ形成が延長されたことを踏まえれば、週明けへとボトム形成が伸びる可能性も考えられる。また、13日夕安値を直近のサイクルボトムとして、既に底割れから新たな下落期に入っている可能性も考えられるので、14日夜高値を上抜けない内は一段安余地ありと注意する。
以上を踏まえ、当面のポイントを示す。
(1)15日早朝安値109.54円を支持線、110.50円を抵抗線とみておく。
(2)110.50円を超えないか、一時的に超えても反落する場合は一段安余地ありとし、15日早朝安値割れからの一段安では109円前後試しを想定する。北朝鮮がさらに連続的なミサイル発射等を強行する場合には108円台中後半への急落にも注意する。
(3)110.50円超えから続伸の場合は15日夜高値111.03円試しを想定する。111円以上はダブルトップ(毛抜き天井)形成からの反落注意とするが、高値更新し、米国市場時間で株高とともに上昇なら111円台後半を目指す可能性がある。ただし、北朝鮮からの連続的な軍事挑発がない事が条件と考える。(了)<10:00執筆>
【当面の主な予定】
9月15日
EU/ユーロ圏財務相会合(ルクセンブルグ、16日まで)
21:30 (米) 8月小売売上高 前月比 (7月 +0.6%、予想 +0.1%)
21:30 (米) 8月小売売上高 除自動車 前月比 (7月 +0.5%、予想 +0.5%)
21:30 (米) 9月NY連銀製造業景況指数 (8月 25.2、予想 18.0)
22:15 (米) 8月鉱工業生産 前月比 (7月 +0.2%、予想 +0.1%)
22:15 (米) 8月設備稼働率 (7月 76.7%、予想 76.8%)
23:00 (米) 7月企業在庫 前月比 (+0.5%、予想 +0.2%)
23:00 (米) 9月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値 (8月 96.8、予想 95.2)
9月16日
04:00 国連安保理緊急の非公開会合
オーダー/ポジション状況
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