円高リスクが燻り110円台は売りに
先週は週初に北朝鮮のミサイルが日本上空を通過したことをきっかけにリスクオフの円買いの動きがみられましたが、その日のうちに反転上昇、木曜までは円安が強まる動きとなりました。北朝鮮のミサイルについては後述しますが、これまでもあまりの回数の多さに基本リスクオフの反応ではあるものの戻しも速く、ドル押し目買いの好機とされている感があります。
また、米国の政治停滞は相変わらずで、そこにハリケーンによる被害拡大、そして9月末に迫る連保債務の上限引き上げ、さらには来年度予算もいよいよ待ったなしの状況となってきました。最近ではトランプ大統領の手腕に対する期待よりも懸念のほうが強まっていて、堅調な米国株が唯一ドルを支える材料といっても過言ではないといえます。
それ以外のドル買い材料はすでにあらかた織り込み済みの状態で、懸念材料としては上記の通り停滞する米国政治の煽りで全く進まない公約実現、緊張が強まる北朝鮮問題、急落が多い秋を控えて高すぎる感のある米国株など、ドル安材料のほうが圧倒的に目立つ印象です。そこに、久しぶりに出てきたのがムニューシン財務長官によるドル安肯定発言です。
同長官はこれまでも長期的ドル安肯定、短期的過度なドル高否定の立場と考えられています。また公的な会合において貿易不均衡について比較的よく発言してきたという印象が強いと思われます。今回のドル安は米国の貿易にとって有利、という発言はこれまでの発言と合わせても意外感は無いとは言え、目立った実績があげられないトランプ大統領(ホワイトハウス)にとって、口先介入による安易な数字合わせをする方向に動く可能性を示していると考えられなくもありません。今後もムニューシン財務長官をはじめ米国高官からの為替に関する発言には注意をしたほうがよいでしょう。
さて、冒頭にも述べた北朝鮮のミサイル、そして昨日は地下核実験と、北朝鮮は米国や関係国との対話をせず、一方的に強硬路線へと突っ走っています。仮に米国が軟化して対話をする場があるとしても水面下で開発を続けるのではないかとの懸念は素人でも考えるところです。そうなると、これ以上の放置は将来的に米国本土へ到達するミサイル完成の結果となるでしょうから、その結果を見ないために米国としては同盟国の被害をも想定した軍事行動を起こすリスクは決して低くないのではないかというのが現状です。
そうしたことを考えると当面はリスクオフの地合いが常に市場に覆いかぶさっている状況となりますので、円安に動きたところでは着実な円買いが出てくるものと考えています。ただ、円を買うよりは遠い場所に位置するもうひとつのリスクオフ通貨であるスイスフランを買うか、歴史的な避難資産である金を買うか、さらにはリスクオフの中でさらなるヘッジとしてスイスフランと金を買って円を売るかといった資金の動きも十分にありえるところです。
また、円高のもうひとつの材料として日柄があります。これまでも何度か書いたことがありますが、米国雇用統計に前後してドル円が高値をつけやすいというアノマリーがありますが、今回は前日の木曜に高値をつけています。また水星逆行時は相場が上下に振れやすい傾向についても以前書きましたがこれは明日5日まで続き、さらに順行に戻る日に前後して円高に動く相関が結構高いということも気になりますし、9日が北朝鮮の建国記念日にあたることも要注意です。つまり、今週はドルがあらためて下げに動く可能性が高いということが言えます。
チャートも見てみましょう。
7月高値から続いたドル安円高の下降チャンネルはいったん終わりましたが、現在は8月4日高値と8月16日高値を結んだレジスタンスラインの下での推移となっていて、今週は同ラインが110円台後半を緩やかに下降している状態です。また8月31日の高値(110.67)が短期的にはレジスタンスとして効いていて、今週は110円台半ばがレジスタンスと考えてよさそうです。
いっぽう下値は、場合によっては年初来安値となる108.13は常に意識しておくべき水準ですが、先週は108.27と間近に迫りトライを失敗したという経緯があります。今週も一気に年初来安値を更新というのも考え難いため、108円台後半から半ばにかけては引き続き押し目買いも出てくると思われます。目途として先週レンジの78.6%押しにあたる108.78はターゲットとされる水準です。
今週もドルの上値が重たい一週間を想定し、108.70レベルをサポート、110.50レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.11.22
ドル円154円台前半、本邦CPI高止まり等で一時154円割れ (11/22午前)
22日午前の東京市場でドル円は「往って来い」。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2017.09.04
北ミサイルが波乱要因、円続伸に要注意(9/4夕)
週初4日の東京市場は、円が全面高。対ドルだけでなく、クロスでも円は買い進められている。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2017.09.04
北朝鮮が波乱要因、再び円高進行も(週報9月第一週)
先週のドル/円相場は、ドル高・円安。一時108.26円まで下落し、年初来安値に接近する局面も観測されたが続かず、週末にかけてはドル逆行高の展開となった。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。