<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドル高・円安。一時108.26円まで下落し、年初来安値に接近する局面も観測されたが続かず、週末にかけてはドル逆行高の展開となった。
109.10-15円レベルで寄り付いたのち、週の初めは円買い優勢。前週末に「北朝鮮が3発のミサイル発射を実施」したことが材料視された面もあったようだ。また、そのあとも北朝鮮によるミサイル発射報道があり、直近だけで何度かサポートされていた108.60-70円を割り込むと、週の安値である108.26円まで下落する局面も観測されていた。しかし、そのレベルで下げ止まると切り返し、週末にかけて110.67円まで上昇。そのあとは発表された注目の米雇用統計などの数字に一喜一憂し乱高下するも110円台を維持、週末のNYは110.25円レベルで推移し、越週している。
なお、先週の為替市場はドル/円以外でも全般的に荒れ模様。ユーロ/ドルも一時1.20ドルを超え、年初来高値を更新したが、そのあと1.18ドル台まで200ポイントを超える急落をたどっていた。
一方、週間を通した主な材料は、大きく2つ。ひとつは引き続き「北朝鮮に関する要因」で、前述したように前週末に「北朝鮮が3発のミサイル発射を実施」したことに続き、29日には「北朝鮮がミサイルを発射し、北海道上空を通過した」−−との報道も観測され、大きな円買い要因となっていた感を否めない。なお、北朝鮮のミサイル発射と絡め、日米首脳による電話会談が2度開催されるなど、政治的なファクターも週を通して目に付いた。
もうひとつの材料は、発表された米経済指標とそれを受けた米金利の動静など。週の半ば30日に発表された「8月米雇用統計との相関性が高い」とされる8月ADP雇用統計が予想を上回る好数字となり、ドルの支援要因に。週末に向けたドル高へのトレンド転換の一因になっていたようだ。そのあとは、実際に発表された米雇用統計が期待外れの結果となるも、ISM製造業景況指数が市場予想を上回ったことで影響は相殺されている。
<< 今週の見通し >>
あまり良い内容ではなかった米雇用統計にもかかわらず、ドル売りは一時的。結局、底堅く推移したことで、今週も基本的にはその流れを沿ったものになる、と予想していたが、昨日「北朝鮮が6回目の核実験」を行い、様相は混沌としてきた。実際、110.25円レベルで先週末のNYを大引けたドル/円は、109.45-50円と上方向に1円近い大きなギャップを空けて寄り付いている。その後の値動きを見ると、円買いのいわゆる「初期反応」は一服した感もあるが、動静次第で予断は許さない。北朝鮮の建国記念日にあたる今月9日に向けて、さらなる挑発行為に動くとの見方もあり、再び円が買い進まれても不思議はないだろう。
テクニカルに見た場合、先週末までは、何度もレポートしている今年の相場パターン「奇数月にドルは高値を付け、偶数月に安値をつける」−−がまだ有効だと思っていたが、週明けの相場展開を見ると、さすがに崩れてしまったのかも知れない。一足飛びではないにせよ、再び108円台突入、場合によっては年初来安値に再接近あるいは更新する展開も想定しておく必要がありそうだ。
しかし、先週末の米雇用統計発表後、そして本日早朝とオフィシャルには109円半ばレベルでドルは一応下げ止まっている(*注;本日早朝、時間外取引では109.20円台を記録)。この先も、それらレベルで仮に下げ止まるようであれば、ドルは再び上値を試す展開となる可能性もある。
一方、材料的には、今週も発表される米経済指標ならびに、相次ぎ予定されている米地区連銀総裁による講演などにまずは要注意。また、名実ともに9月入りしたことで、急激にクローズアップされてきた「米債務上限引き上げ問題」や、5日までの予定で行われている米国とカナダ、メキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)交渉の行方なども波乱要因となりかねないかもしれない。
さらには、建国記念日にあたる週末9日に向けて、北朝鮮がさらなる挑発行為に動くとの見方もあり、こちらも当然要注意だ。
そんな今週のドル/円予想レンジは、108.10-110.60円。ドル高・円安については、先週のドル高値110.67円が最初の抵抗で、抜けると52週線をはじめとして移動平均の各線が集中する110円後半をめぐる攻防となりそうだ。
対するドル安・円高方向は、短期的に2度下げ止まった109円半ばの攻防をまず注視。割り込むようだと、週足・一目均衡表の雲の下限に当たる108.65円レベルなどがターゲットに。(了)
オーダー/ポジション状況
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