<< 東京市場の動き >>
31日の東京市場は、ドル高・円安。値幅そのものは、さほど大きなものではなかったが、それでも「早朝安・大引け高」で、ドルの強さが目についた。
110.20-25円レベルで寄り付いた直後に、110.15-20円の日中安値を記録。その後はドルがじりじりと値を上げる展開となり、夕方には110.60-65円まで値を上げる局面も観測されていた。16時時点では、110.50-55円のドル高値圏で推移し、欧米時間を迎えている。
なお、そうしたなか、NZドルが対円やドルで大きく値を下げた。発表された8月のANZ企業景況感、NZの経済指標が鈍化し、それが嫌気されたことなどもNZドルの売り要因になっていたようだ。
一方、材料面として話題となっていたものは、本日も北朝鮮情勢。前日のNY時間に日米首脳が再度電話会談を行ったことに続き、本日早朝にも日米防衛相が電話会談を実施し「北朝鮮への圧力強化を確認した」と報じられている。また、米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析サイト「38ノース」は、最新の衛星写真に基づき、「ただちに地下核実験が行われるという兆候は観測されていない」との分析を発表したという。
そうした北朝鮮を除く要因としては、政井日銀審議委員が講演で「2%の物価目標は長期的に為替市場の安定化につながる」と発言したほか、ルメール仏経財相による「ユーロ高はフランス経済にとって懸念材料」とのコメントが報じられていた。
<< 欧米市場の見通し >>
「9月9日危機説」など、北朝鮮情勢への懸念は依然としてくすぶるものの、喫緊の課題ではないとの見方が台頭し、ポジションの巻き戻しが優勢となっている。また、週末に発表される米雇用統計が注視されるなか、昨日発表された「先行指標」であるADP雇用統計が予想よりも良い内容だったことが、マーケットの期待感を高めている感も否めない。
つまり、予断は許さないが、目先のリスクはドル高方向にややバイアスがかかりそう。テクニカルポイントでもある本日東京高値の110.60-65円をしっかり超えれば、111円台回復も見えてくる。
テクニカルに見た場合、今年の相場パターンである「奇数月にドルは高値、偶数月にドルは安値を記録」−−達成に向け、足もとはドルが買われやすい地合いとなっているのかも知れない。
ただ、おりしも本日の東京は、フィボナッチの観点から見た、7月高値114.49円を起点とした下げ幅の38.2%戻し(110.65円レベル)でドルはちょうど上げ渋っている。抜ければ移動平均の75日線が位置する111円前後、一目均衡表の先行帯の雲の下限が位置する111.60-65円などがターゲットとなるだろう。
一方、材料面を見た場合、7月のPCEデフレーターや8月のシカゴ購買部協会景気指数といった米経済指標が発表される予定で、それらは当然要注意。ただ、マーケットは明日の米雇用統計を注視している向きが少なくなく、本日発表の指標が良好でも積極的な売買は明日へ持ち越し、などとした指摘も聞かれていた。
ただ、米経済指標については、昨日の内容を受けて改善期待など強気の見通しが大勢を占めつつあるだけに、大きく期待を裏切った場合には再びドル売りで反応する展開もありうる、との声も。
以上を踏まえた本日欧米時間のドル/円予想レンジは、109.90-111.00円。ドル高・円安方向は、本日のドル高値かつフィボナッチで見たポイントにあたる110.65円レベルが最初のターゲット。抜ければ、移動平均の75日線が位置する111円前後を目指す展開が予想されている。
対するドル安・円高方向は、移動平均の25日線や一目均衡表の基準線が位置する109.90-00円の攻防にまずは注目。割り込めば109.40-50円や109円前後などがサポートとなるだろう。(了)
オーダー/ポジション状況
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