<< 東京市場の動き >>
23日の東京市場は、ドル安・円高。アジアの地政学リスク後退観測からドル買い・円売り先行でスタートしたものの、途中で流れが変わると、結局日中を通したドルの安値圏で大引けている。
109.55円レベルで寄り付いたのち、円は当初弱含み。アジアの地政学リスク後退観測から円売りが優勢となり、一時はクロスを含めて全面安の様相に。ドル/円も109.80-85円まで値を上げた。
しかし、その後は徐々にドル売りが再び優勢になるなか、昼前にトランプ大統領から「壁建設資金めぐり政府閉鎖も辞さない構え」との発言が聞かれるとドルが急落、対円では109.30円台に。そのレベルではさすがに下げ止まるも上値は重く、16時時点では109.35-40円の日中安値圏で推移し、欧米時間を迎えている。
なお、そうしたなかオセアニア通貨が荒れ模様。とくにNZドルは、同国政府が「2019-21年の財政黒字の縮小と経済成長の鈍化を予想する見通しを示した」ことを嫌気し、対円では日中だけで1円近い急落をたどっている。
一方、材料面としては、前述した以外でもトランプ米大統領の発言が目についた。一例を挙げると、「自分は憎悪や偏見に反対だと語ったと説明した」「税制改革で議会の協力が必要」などといった内容が伝えられている。
<< 欧米市場の見通し >>
北朝鮮に関するリスクは依然としてくすぶり続けているものの、状況的には小康を保っており、少なくとも一段と円を買い進める要因とはなっていない。そうしたなか、マーケットは24日からのジャクソンホールで実施される欧米要人の講演に関心が移行しており、本来であれば期待感を背景としたドルの買い戻しが、さらに進んでも不思議はないだろう。
しかし、先週末に側近であるバノン首席戦略官・上級顧問が解任され、落ち着きを取り戻したかにみえたトランプ米大統領の政権運営不安が再び俎上にのぼってきたことは気掛かりだ。地合いは依然不安定で、ドルを積極的に買い進めにくい状態が続く可能性もある。
テクニカルに見た場合、短期的には108.60円台で2度ドルが下げ止まっているうえ、少し長い目でみても6月安値も108.75円まで。108円台後半は、ことのほか強いサポートであることが見て取れる。
しかし、反面ドルの上値も重そうで、実際先月末31日以降、111円台をしっかりと回復したことはほぼない。つまり、「8月相場」は、やや広いものの108.60-111.00円といったレンジを形成していることになる。この先も、基本的にはボックス内での乱高下が続く公算が大きいとの指摘も聞かれていた。
一方、材料面を見た場合、8月の製造業・非製造業・総合PMI速報や7月の新築住宅販売件数といった米経済指標が発表されるうえ、カプラン・ダラス連銀総裁の講演も予定されており、それらにまずは要注意。
前述したように、明日からのジャクソンホール講演を見据え、本来であればドル買いが進んでもおかしくはないのだが、このあとも「米政権運営」懸念が一段のドル売りを阻害しかねないかもしれない。いずれにしても、関連するニュースなども波乱要因として注意を払いたい。
以上を踏まえた本日欧米時間のドル/円予想レンジは、108.80-110.00円。ドル高・円安方向は、本日東京高値の109.80-85円が最初の抵抗で、抜ければ7月高値を起点とした直近下げ幅の23.6%戻しに当たる110円レベルがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、109.10-20円に弱いサポートが散見され、割り込むようだとここ数日だけで2度下げ止まった108.60-65円、年初来安値108.13円を目指す展開となりそうだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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