<概況>
8月18日夜に108.60円まで下落、8月11日安値108.727円を割り込んだ。18日深夜にいったん戻してから再び下落して21日深夜には108.634円をつけたが、ここでは新たな底割れを回避した。109円台序盤までの戻りなら「底辺フラット、高値切り下がり型の三角持合い」となる可能性があったが、22日深夜へ続伸して19日未明高値へ迫り、さらに23日早朝の上昇で19日未明高値を上抜いた。このため、60分足レベルでは18日深夜安値と21日深夜安値をダブル底とした上昇感が強まってきている。
8月17日未明の米連銀FOMC議事録公開によるハト派姿勢=追加利上げ先送りの可能性を背景にドル安が進んだ。米トランプ政権内の迷走もドル安要因となった。また米朝間の有事リスクによる円高感も継続してきた。
21日から米韓軍事演習は予定通りに開始したが、米軍の参加人員は前回同規模の演習時よりもかなり減っていると伝えられた。また演習開始時には北朝鮮が「火に油を注ぐ」と非難を発したが、軍事衝突的な緊張感をさらにエスカレートする程ではなかった。北朝鮮は23日早朝にもミサイルの弾頭増産を指示したとの報道があるが、特に市場は反応していない。25日の先軍節記念日も迫るが、直前になって不穏な動きが出れば緊張感は再燃するだろうし、また市場もいったん慎重さを踏まえてポジション調整的に円高反応となる可能性がある。
【週末イベント待ち】
24日からカンザスシティー連銀主催の金融シンポジウム=ジャクソンホール会合がある。イエレン米連銀議長、ドラギECB総裁の発言に注目が集まるが、イエレン議長は前任のバーナンキ議長のようにこの会合では刺激的な発言を控える傾向にあるので、さほどインパクトのある発言はしないかもしれない。ドラギ総裁は多弁な傾向もあり、ECBの金融緩和政策の出口戦略や最近のユーロ高への牽制について言及する可能性もある。
北朝鮮の先軍節、ジャクソンホール会合が迫る状況のなかでは、現在は戻りを試しているドル円も23日夜からは調整的に反落する可能性がある点に注意しておきたい。
【ダブルボトム攻防】
8月18日夜と21日夜の安値でダブル底型を形成、戻している。21日夜からの戻りは1円を超えており、戻りの角度、値幅的には11日安値の後、14日から15日にかけて戻した時に近い印象がある。その時は11日夜安値から3日間の上昇となり、戻り幅も2円を超えて8月8日深夜のワシントンポスト紙報道から円高開始する前の水準までイッテコイで戻した。今回も、23日、24日を戻した状況を維持し、25日の先軍節で緊張再燃なく、ジャクソンホールから円高ドル安が加速するような動きが出てこなければ、8月16日高値110.95円までイッテコイで戻す可能性も出てくるかもしれない。しかし、18日への下落で11日安値を割り込んだばかりであり、中勢レベルのドル安円高基調、北朝鮮有事リスクの継続等を踏まえると、上記二つのイベントからより楽観的な円安推進とならなければ、戻り一巡から下落再開へと向かいやすいのではないかと見ている。
【60分足 一目均衡表分析】
60分足の一目均衡表では22日夜への上昇で遅行スパンが好転、23日未明への上昇で先行スパンを上抜いた。23日午前時点では両スパンが好転を維持しているので、まだ戻りを試しやすい状況にあると思われるが、先軍節やジャクソンホール会合前の段階で110円を超えてさらに上昇継続してゆくのも難しいと思われるので、遅行スパン悪化からは弱気転換注意として先行スパン試しへの下落を警戒し、さらに先行スパンから転落の場合は下げ再開、18日夜安値を再び試す下落へ向かいやすくなるとみる。
60分足の14本相対力指数は17日午前安値と18日夜安値との間では指数がほぼフラットで強気逆行気配となり、18日夜安値と21日夜安値との間で強気逆行となって上昇を継続してきた。23日午前段階では70ポイントを超えてきているので、高値警戒圏に達していると思われる。ただし、弱気逆行は見られていないので、いったん下げても109.20円台までにとどまって反騰なら高値更新の可能性があり、その時点で弱気逆行となれば戻り一巡からの下げ再開というイメージだろうか。もちろん、弱気逆行を伴わなくても109円割れへと崩れれば指数の姿も悪化、50ポイント割れの状況が続き始めて弱気転換となる可能性がある。
概ね3日から5日周期の短期サイクルでは、8月16日夕高値でサイクルトップを付けて下落期に入ったが、11日夜安値から5日目となる18日夜安値でサイクルの底をつけて上昇期に入った。今回の高値形成期は22日から23日にかけての間と想定され、既に16日夕高値から4日を経過しているのでトップアウト警戒期にあると思われる。ただし、ダブル底型を形成しての上昇であるため、19日未明高値を起点として23日夜から25日にかけての上昇継続となる可能性も多少考えられる。いずれの場合も弱気サイクル入りは109円割れからとし、その場合は23日夜から25日夜、ないしは28日夜にかけての下落継続が考えられる。
以上を踏まえ、当面のポイントを示す。
(1)109.50円以上を維持する内は110円を試す可能性ありとみるが、110円到達ではいったん戻り売りから崩されやすいとみる。
(2)109.50円割れを切り返せなくなる場合は109.20円から109.00円への下落を想定する。
(3)109.20円台から切り返して高値更新へ向かう場合は、高値更新時に相対力指数が弱気逆行気配ならその後の反落警戒とする。
(4)109.00円割れの場合は先行スパンからも転落してくるので弱気サイクル入りと仮定して18日夜安値108.60円前後試しを想定するが、108.60円台はもう一度買い戻されやすいとみる。
※ 8月16日高値水準へ戻すにしても、18日夜安値割れから一段安へ向かうにしても、先軍節動向、ジャクソンホール会合反応からと考える。(了)<9:40執筆>
【当面の主な予定】
8月21日から 米韓軍事演習 31日まで
8月23日
16:00 (欧) ドラギECB総裁講演
22:05 (米) カプラン米ダラス連銀総裁講演
23:00 (米) 7月新築住宅販売件数 (6月 61.0万件、予想 61.0万件)
8月24日
米国 カンザスシティ連銀経済シンポジウム(ワイオミング州ジャクソンホール 27日迄)
8月25日
北朝鮮 先軍節
オーダー/ポジション状況
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