<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、一時ドル高・円安に振れるも、終わってみれば「行って来い」。週末には108.61円を記録し、直近のドル戻り安値を更新する局面も観測されていた。
109.10円レベルで寄り付いたのち、週の半ばにかけてドル高が進行。111円近くまで値を上げ、週の高値を記録するも続かず。週末にかけて再び値を崩すと、週末18日には108.61円を記録し、直近のドル戻り安値を更新するなど、「行って来い」の様相。そのあと、やや値を戻した109.20円レベルで週末NYをクローズし、越週している。
なお、日本がお盆休みになるなか、前述のとおりドル/円が週間を通してなかなかの変動をたどったが、先週はほかの通貨ペアも荒っぽい値動きをたどったものが少なくなかった。とくに、ユーロとポンドに絡む通貨ペアは激しい変動で、ポンド/円は週間を通して3円を超えるポンド安進行をみせている。
一方、週間を通した主な材料は、大きく2つ。ひとつは、「北朝鮮に関する要因」で、週初には米仏首脳が電話会談し、その後の会見でトランプ米大統領が、「ほかの手段が奏功しなかった場合、厳しい軍事的措置を取る」などと改めて警告したと報じられていたほか、CNNが「北朝鮮がミサイルを移動、発射準備か」と報じたこともあり、米朝間の緊張がさらに高まったとの見方が優勢に。しかし、15日になると、朝鮮中央通信が「北朝鮮の金労働党委員長がグアムへのミサイル攻撃を見合わせると決めた」と報じたことで流れが一変、地政学リスクが後退すると、為替市場においては円全面安の動きとなった。
もうひとつの材料は、「トランプ米大統領による政権運営への不安感」。こちらについては、死傷者が出た白人至上主義者らと反対派の衝突に関し、トランプ氏が「双方に非がある」とコメント、これが「白人至上主義」を容認したと捉えられ物議を醸すキッカケに。週の半ば、111円近くからのドル急落の一旦は、米大統領発言に端を発した「米政権運営不安」だったと言って間違いないだろう。
<< 今週の見通し >>
先週末に108.61円の週間安値を記録後、一時109.60円台まで小戻したとはいえ、リスクは引き続きドル安・円高方向にバイアスか。
前記した、先週のマーケットで話題となった2つのニュースのうち、後者の「米政権不安」についてはトランプ米大統領の最側近であるバノン首席戦略官・上級顧問の退任発表で幾らか不安感が後退したとの声も聞かれるものの、まだまだ予断は許さない。今週も「米政権不安」は依然としてくすぶりそうだ。また、前者である「北朝鮮情勢」については、今週21日から米韓軍は定例の合同軍事演習「乙支フリーダムガーディアン」を実施する予定で、この件について北朝鮮が「米韓軍事演習は、火に油を注ぐ行為」と強く反発していることが気掛かり。一時後退したアジアの地政学リスクが再燃し、ドル安・円高材料となる可能性もある。
テクニカルに見た場合、先週もドルの下値は108円台までで、「トリプルボトム」示現し、ドルは反発する−−というシナリオは、依然として有効だ。週足の一目均衡表において、108.65円レベルに位置する先行帯の雲の下限を維持したことも、ドル強気派にとって好材料。
しかし、先週安値の108.61円だけでなく、4月に記録した年初来安値108.13円を下回ってきた場合などは、その限りでなく、根本的なシナリオの修正が必要となるだろう。ちなみに、フィボナッチの観点では、昨年安値98.66円を起点とした上げ幅の61.8%押しが106.30円レベルとなる。一朝一夕に目指すということではないが、そのレベルが取り敢えず下値のターゲットに。
一方、材料的には、発表される米経済指標のほか、前段までに指摘してきた米政権運営不安、北朝鮮情勢などに、まずは要注意。それ以外では、週初21日に予定されているOPEC(石油輸出国機構)とOPEC非加盟の主要産油国の合同専門委員会会合が注視されそうだ。先行きの減産延長や減産規模の拡大、減産順守の徹底などで協調姿勢が見られるかどうかがポイントとなろう。
しかし、今週最大の注目要因はなんといっても24日から26日にかけて米カンザスシティ連銀が開催するジャクソンホール年次シンポジウムになる。25日にイエレンFRB議長の講演が予定されるなど、欧米の中銀幹部による発言機会が少なくない。それら要人発言をうけ、依然として「夏枯れ」で取引が薄いなか、相場が荒っぽい変動をたどる危険性もないではない。
そんな今週のドル/円予想レンジは、108.00-110.50円。ドル高・円安については、先週末NY高値の109.60円が最初の抵抗で、抜けると110円あるいは移動平均の52週線が位置する110.35-40円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週記録したドル安値の108.61円の攻防にまずは注視。ほぼ同レベルに週足・一目均衡表の先行帯の雲の下限も位置している。割り込むようだと、4月に記録した今年のドル最安値108.13円が名実とも視界内に捉えられそうだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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