25日北朝鮮「先軍節」等の重要局面(週報8月第三週)

18日、トランプ政権の首席戦略官・上級顧問バノン氏が解任された。

25日北朝鮮「先軍節」等の重要局面(週報8月第三週)

<概況>

8月8日のワシントンポスト紙報道とトランプ大統領発言から米朝間の軍事緊張が一挙に高まって11日には108.727円まで下落したが、その後は新たなエスカレートがなく、北朝鮮の金委員長による「米国の行動を見守る」発言、トランプ大統領の「金委員長は良い決断をした」発言から緊張緩和感が拡大、16日夕刻には110.95円まで上昇し、ワシントンポスト紙報道前の水準を回復した。
しかし、17日未明のFOMC議事録公開から急落。議事録はインフレ目標に届かないうちは利上げを見送るべきとの意見も見られ、ハト派姿勢=年内あと1回と予定されている利上げの先送りの可能性を示唆するものと市場は受け止めた。この流れはトランプ政権の迷走も加わって18日深夜まで続き、108.60円まで下落して11日安値を割り込んだ。
トランプ大統領が政権内最右翼のバノン氏を解任するとの報道もあって、深夜に買い戻されて109.596円まで戻したが、戻りは一時的で109.10円台まで反落して週を終えている。

【トランプ政権の迷走と株安】

18日、トランプ政権の首席戦略官・上級顧問バノン氏が解任された。米国で発生した白人至上主義者グループと反対勢力による暴力的衝突事件では死亡者が発生する事態となったが、それに対するトランプ大統領の発言が差別主義者寄りだとして大統領に対する非難が強まった。
17日、ホワイトハウスはトランプ米大統領が設置を計画していたインフラ投資に関する諮問会議の設立計画を撤回したとロイター通信社が報じた。「戦略政策フォーラム」と「製造業評議会」の参加企業トップが事件と発言をめぐって辞任しているためだ。これによりトランプ大統領が選挙公約に掲げた10年間で1兆ドル規模のインフラ投資計画の進展については期待感が後退した。コーン米国家経済会議(NEC)委員長が辞任するとのうわさも出たが、ホワイトハウスはこれを否定した。

NYダウは17日に274ドル安と急落、18日も一時は100ドルを超える下げ幅となり、終値でも76ドル安と続落しており、世界的な株安への懸念も強まり始めた。
欧米株が高く、特に米国株指数が史上最高値を更新してきたことと、年金および日銀による買い支えで2万円前後の水準を維持しつつ、狭いレンジでの持合いを継続してきた日経平均も8月9日から崩れて持合い下放れへ入っている。日銀等の買い支えでも持合いがせいぜいだったところで世界株安が発生する場合には日経平均もさらに大きく崩れかねず、連鎖的な株安と円高が継続しやすい状況になってきていることを踏まえれば、トランプ政権の迷走ももはや他人事と言えなくなってきている。

【米朝の有事緊張問題】

8月8日のワシントンポスト紙報道から緊張感が一挙に拡大して11日へ円高が進み、それはひとまず落ち着いている。金委員長が「もう少し様子を見る」と発言したと報じられ、それに対してトランプ大統領が「良い決断をした」とツイートしたことでこの問題に対する楽観論が拡大した。8月10日から中国が国連制裁決議の実効を開始したことも北朝鮮を抑えているとの観測もある。
しかし、北朝鮮問題に関する専門家の見方ではそれほど北朝鮮が追い込まれているわけではなく、市場反応は楽観的過ぎるかもしれない。21日から米韓軍事演習が始まる。「死の白鳥」と呼ばれるB-1戦略爆撃機が演習に参加する場合は「もう少し様子を見る」といった北朝鮮の姿勢もより攻撃的に変わるのではないかとの見方もある。
25日には先軍節(先代の金正日が先軍=軍事優先政治を始めた記念日)、9月9日は北朝鮮建国記念日がある。米韓軍事演習の規模、それに対する北朝鮮の反応を警戒しつつ見定める必要がある。

【2か月周期の往来相場、継続か下放れか】

昨年12月15日高値118.665円を天井として4月17日安値108.13円まで下落した。12月天井以降、戻り高値は3月10日、5月11日、7月11日と2か月毎に繰り返してきた。安値も4月17日の後は6月14日に安値を付けて反騰してきた。その6月14日安値から2か月目となる8月11日安値から戻しかけたが、週末に8月11日安値を更新する下落となっている。ただし、4月17日安値108.11円割れは回避している。
8月18日から反騰に入り、8月16日高値超へ上昇すれば、概ね2か月毎の往来相場の継続により112円台、あるいはそれ以上へ戻しに入る可能性が考えられる。しかし、8月末へさらに安値を更新する場合、4月17日安値も割り込む場合には往来相場からの転落とし、より大きなレベルでの下落期に入る可能性が懸念される。その場合は、12月から4月までの下落期を一段目とし、7月11日からは同規模以上のレベルで二段目の下落に進むという可能性も考えられる。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では17日未明の急落により遅行スパンが悪化(実線を割り込む)、17日午前への続落で先行スパンから転落した。18日深夜へ一段安し、いったん戻したが両スパン悪化の状況は変わらない。
現状から横ばいないしはジリ高で進めば遅行スパンは好転してくるため、戻りを試しにかかる可能性があるが、その場合は先行スパンが109円台後半に待ち構えているため、大きな抵抗となりやすい。また19日未明の戻り高値を上抜けないうちは底割れからの一段安へ進むリスクがある。

60分足の14本相対力指数は17日午前安値形成時に20ポイントまで下降したが、18日深夜安値へ一段安したところでは22ポイントに止まっているので「強気逆行」型となっている。このため、18日深夜安値を目先の底として戻しやすい状況にあるが、60ポイントを超えて上昇継続的にならないうちは50ポイント台を抵抗として新たな下落期に入る可能性にも注意が必要で、40ポイント以下での推移が続き始める場合は一段安警戒とみる。

概ね3日から5日周期の短期サイクルでは、8月16日夕高値でサイクルトップを付けて下落していたが、11日夜安値から5日目となる18日深夜安値でサイクルの底を付けて戻しに入っている印象だ。このため、新たな安値更新を回避するうちは21日午後から23日にかけて上昇する可能性がある。しかし109円割れの状況が続く場合は弱気転換注意、18日深夜安値割れからは新たな下落期入りとして、次の安値形成期となる23日夜から25日夜へ下落継続しやすくなると注意する。

以上を踏まえ、当面のポイントを示す。
(1)109円割れ回避化、割り込んでも切り返すうちは21日から22日にかけてリバウンドを継続する可能性ありとし、19日未明高値109.596円超え、その後も109.50円以上を維持し始める場合は110円から110.20円台への上昇を想定する。米朝間の緊張が再燃しないことが条件だが、22日に109.70円以上を維持する場合は110.50円前後まで上値目途を切り上げる。
(2)109円割れの状況が続く場合は弱気転換注意、米朝間の緊張や株安が深刻化して18日深夜安値を割り込む場合は新たな下落期入りとして108円試し、さらに107円台への下落を想定する。またその場合は23日以降へ続落しやすいとみる。(了)<20日20:00執筆>

【当面の主な予定】

8月21日
・石油輸出国機構(OPEC)・非OPEC主要産油国の合同専門委員会
・米韓合同軍事演習(31日迄)
21:30 (米) 7月シカゴ連銀全米活動指数

8月22日
18:00 (独) 8月ZEW景気期待指数 (7月 17.5、予想 15.0)
21:00 (欧) コンスタンシオECB副総裁講演
22:00 (米) 6月住宅価格指数前月比 (5月 +0.4%、予想 +0.5%)
23:00 (米) 8月リッチモンド連銀製造業指数 (7月 14、予想 11)

8月23日
16:00 (欧) ドラギECB総裁講演
22:05 (米) カプラン米ダラス連銀総裁講演
23:00 (米) 7月新築住宅販売件数 (6月 61.0万件、予想 61.0万件)

8月24日
米国 カンザスシティ連銀経済シンポジウム(ワイオミング州ジャクソンホール 27日迄)
17:30 (英) 英4-6月期GDP・改定値 前期比、前年比
21:30 (米) 米新規失業保険申請件数 (前週 23.2万件、予想 23.5万件)
23:00 (米) 7月中古住宅販売件数 (6月 552万件、予想 556万件)

8月25日
北朝鮮 先軍節
カンザスシティ連銀経済シンポジウム(ワイオミング州ジャクソンホール 27日迄)
08:30 (日) 7月全国消費者物価指数 コア前年比 (6月 +0.4%、予想 +0.5%)
08:30 (日) 8月東京都区部消費者物価指数 コア前年比 (7月 +0.2%、予想 +0.3%)
17:00 (独) 8月Ifo景況感指数 (7月 116.0、予想 115.5)
21:30 (米) 7月耐久財受注 前月比 (6月 6.5%、予想 -6.0%)
21:30 (米) 7月耐久財受注 除輸送用機器 (6月 +0.2%、予想 +0.4%)
23:00 (米) イエレンFRB議長、ジャクソンホールで講演


04:00 (欧) ドラギECB総裁、ジャクソンホールで講演

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