<< 東京市場の動き >>
15日の東京市場は、2日続けてのドル高・円安。しかも、前日同様の「寄り付き安・大引け高」といった格好で、終日を通して円の弱さがとくに目についた。
寄り付いた109.60-65円を日中安値に、ドルは堅調推移。以降は一貫した右肩上がりの展開で、途中ストップロスを巻き込みながら、夕方には110.45円レベルまで上昇する局面も観測されていた。16時時点でも110.30-35円のドル高値圏を維持したまま、欧米時間を迎えている。
なお、円は対ドル以外のクロスでも軒並み安く、連日で全面安の様相。本日の東京時間だけでNZドル/円は80ポイント、ユーロ/円は100ポイント、ポンド/円は110ポイント超も、一時円安が進行した。
一方、材料面としては、本日も北朝鮮情勢に関するニュースが目に付く。当初は、マティス米国防長官からの「北朝鮮がミサイル攻撃なら直ちに戦争に発展する恐れ」との発言に加え、CNNが「北朝鮮がミサイルを移動、発射準備か」と報じ、米朝間の緊張がさらに高まった感も。しかし、朝鮮中央通信が「北朝鮮の金労働党委員長がグアムへのミサイル攻撃を見合わせると決めた」と報じたことで流れが一変、地政学リスクが後退すると、為替市場においては円全面安の動きとなった。
そうしたなか、本日は「終戦記念日」ということで、「安倍首相が靖国神社に玉串料奉納、参拝は見送り」した一方、小泉進次郎・自民筆頭副幹事長をはじめとする超党派の議員による靖国参拝が実施されている。また、日米首脳による電話会談が実施され、北朝鮮情勢についての意見交換が行われたもようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
大きな意味では、まだ「先週までの調整」の範囲内に収まっているが、目先安値108.72円から1.7円ほどもドルは戻している。すでに「ドル高方向に再び流れが変わった」可能性も捨てきれない。
そもそも、先日までのドル安・円高は、「米朝間の緊張の高まり」という地政学リスクに基づいたところが大きい。したがって、それが剥げ落ちるとすれば、為替市場も当然巻き戻しが入ることになるわけで、この先についても北朝鮮ファクターを警戒しつつ、ドルがさらに買い進まれても不思議はないかもしれない。
テクニカルに見た場合、先週末の108.72円でドルはトリプルボトムを付けた格好にある。また日柄的にも、過去2回、4月と6月のドルボトムをつけた日時、前者が「17日」で後者は「14日」に対し、今回は「11日」で「まずまず」の結果と言えるだろう。いずれにしても、今年のパターンである「奇数月にドルは高値を記録」達成に向け、潮の目が変わった可能性もありそうだ。
なお、仮に先週末に記録した安値108.72円が当面のドル底値だったとすれば、フィボナッチの観点で考えた最初の上値メド110.05-10円(7月高値114.49⇒8月安値108.72円の23.6%戻し)を超えており、次のターゲットは38.2%戻しの110.90-95円となるだろう。
一方、材料面を見た場合、8月のNY連銀製造業景況指数や7月の小売売上高など、重要な米経済指標が幾つか発表される予定となっている。北朝鮮情勢への懸念が完全に払拭されたわけではないが、足もと後退したことは間違いなく、市場の関心が再び米ファンダメンタルズや金利動向へと移行する公算が大きい。その場合、本日以降発表される米経済指標の内容如何に左右されそうで、とくに良好な内容となった場合、一段のドル買戻し材料となる可能性もないではない。
以上を踏まえた本日欧米時間のドル/円予想レンジは、109.80-111.20円。ドル高・円安方向は、フィボナッチの観点で見た110.90-95円が最初の抵抗で、上抜けると、少し遠いが一目均衡表の先行帯の雲の下限などが位置する111.60円レベルが視界内に捉えられそうだ。
対するドル安・円高方向は、110.10-20円、109.80円前後に弱いサポートがあるものの、強いサポートはかなり下のレベルまで散見されない。したがって、一旦崩れだすと早いともいえるが、その公算は小さいと考える。(了)
オーダー/ポジション状況
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