ドル円見通し 5月高値を上抜くが深夜に反落(7/12朝)

ブレイナード理事は11日のニューヨーク講演で、堅調な労働市場や経済情勢が続けば早期の開始が適切だとしたが、追加利上げは物価動向を見極めるとの慎重な見方を示した。

ドル円見通し 5月高値を上抜くが深夜に反落(7/12朝)

<概況>

6月15日未明の米連銀FOMCによる利上げ決定からドル円は上昇してきた。
先週末の7月7日には日銀の指値オペによる本邦長期金利上昇への抑制の動きから上昇、さらに米雇用統計での非農業部門雇用者数が予想を大幅に上回ったことで114円台へ上昇した。
週明けの10日午後に114.30円まで上昇、その後は11日午前まで足踏みしたが114円台を維持、11日午後の上昇で5月11日高値114.36円を上回った。さらに深夜には114.49円まで高値を更新した。
しかし深夜からは高値警戒感で反落、114円を割り込んできている。独10年債利回り上昇と連動してユーロが一段高、ユーロ高の反動でのドル安感がドル円でも円高ドル安へ影響したようだ。またトランプ氏長男への電子メールで、ロシアが選挙を助けたい意向を示したとの報道がなされたこと、米連銀のブレイナード理事の講演発言が追加利上げへ慎重な姿勢だったこともドル売り円買い要因となったようだ。

【ブレイナード理事、追加利上げへ慎重】

米連銀のブレイナード理事は11日のニューヨーク講演で、堅調な労働市場や経済情勢が続けば早期の開始が適切だとしたが、追加利上げは物価動向を見極めるとの慎重な見方を示した。理事は「政策金利の正常化は十分に進んでいる」とし、資産圧縮の環境が整ったとの見方を示したが、追加利上げは物価動向を注視し、慎重に引き上げることが望ましいとし、利上げを急ぐ必要はないとの姿勢を示した。
今週は12、13日にイエレン米連銀議長が議会証言を行う。そこで現在の利上げペースを維持しつつバランスシート圧縮計画の早期実行姿勢を強調すれば円安ドル高を一段と進行させやすくなる。逆に慎重姿勢が滲むようだとこれまでの上昇に対するブレーキとなる可能性もある。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、11日深夜の反落により遅行スパンが悪化=実線を割り込んだ。また7日午前から上回ってきた先行スパンの中へ潜り込んできている。
ひとまず、5月11日高値を上抜くところまで上昇したことで水準的な高値警戒感、利食い先行の市場心理となっての下落と思われる。またイエレン議長の議会証言前ということでのポジション調整的な下げともいえる。
6月30日への調整安局面では先行スパンからいったん転落したが、先行スパンの下限にへばりつく形で下げ止まり、その後に切り返して一段高している。7月6日への調整安では先行スパンへもぐり込んだが、転落回避で反騰している。

60分足の相対力指数は7日深夜高値以降の高値更新に対して、指数のピークが切り下がる弱気逆行を示していたが、11日深夜の下げで30ポイント台まで下落した。30ポイント台への下落は6月22日、6月30日、7月6日に見られ、いずれも調整安を消化して次の上昇へ進んでいる。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、7月6日安値をサイクルボトムとして上昇して来たが、5日夜高値から4日目となる11日深夜高値でピークをつけたようだ。今回のサイクルボトム形成期は12日の日中から13日にかけての間と想定される。

以上を踏まえて12日の日中から深夜へのポイントを示す。

(1)113.60円割れの場合は先行スパンからの転落となるが、6月15日からのドル高円安基調の継続とすれば113.50円前後までを下値支持線として反発に入る可能性があるとみる。ただし、113.50円割れへ下げる場合は、7月6日安値112.88円前後まで支持線が切り下がる可能性に注意する。
(2) 114円以下での推移中は3日から5日周期のサイクルボトム形成による下落継続の可能性が残るため、12日夜への下落継続となる可能性に注意する。
(3)114.30円超えからは先行スパン突破となるため新たな上昇サイクル入りの可能性を優先して11日深夜高値試しを想定する。さらに高値更新の場合は次の高値形成期となる14日夜から18日への上昇と3月10日高値115.50円試しを想定するが、115.50円超えは新たな高値警戒圏として反落注意とみる。(了)<5:40執筆>

【当面の主な予定】

7月12日
(日)13:30 5月第3次産業活動指数
(加)23:00 カナダ中銀(BOC)政策金利発表 (現状 0.5%、予想 0.75%(訂正) )
(米)23:00 イエレンFRB議長、米下院金融委員会 半期金融政策報告証言

7月13日
(米) 3:00 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
(米) 3:15 ジョージ米カンザスティ連銀総裁、講演
(中) 未定  6月貿易収支 (5月 408.1億ドル、予想430.0億ドル)
(米) 21:30 6月生産者物価指数 前年比 (5月 +2.4%、予想 +1.8%) 
(米) 21:30 6月生産者物価指数・コア前年比 (5月 +2.1%、予想 +2.0%)
(米) 21:30 新規失業保険申請件数 (前週 24.8万件)
(米) 23:00 イエレンFRB議長、米上院銀行委員会 半期金融政策報告証言

オーダー/ポジション状況

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