上げか下げかの岐路も下げの可能性大(7月第一週)

前週に週間レンジが88銭ということで、統計では特徴的な傾向は見られなかったものの、一般論として翌週はもう少しは動くだろうと考える参加者も多かったようでした。

上げか下げかの岐路も下げの可能性大(7月第一週)

前週の主要レート(週間レンジ)

     始値   高値  安値   終値

ドル円 111.24 112.93 111.22 112.40
ユーロ円 124.59 128.83 124.52 128.39
ユーロドル 1.1200 1.1446 1.1172 1.1421
日経平均 20132.81 20266.59 19946.51 20033.43

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

6月26日(月)

週明けの東京市場は全く動意が見られなかったものの、欧州市場に入りダウ先物が上昇する動きに沿って、ドル円、クロス円での買いが先行する動きとなりました。NY市場に入り弱い経済指標に反応して、いったんはドル円も上昇前の水準へと押したものの、その後は再びNYダウが上昇したことからリスクオンの動きとなり、ストップオーダーも巻き込みながら111.95レベルと一カ月ぶりのドル高値をつけました。引けにかけてダウは調整の下げも見られましたが、為替市場は円安地合いのまま引け。いっぽうユーロドルは細かい上下はあったものの全般に堅調な動きとなり、結果としてユーロ円は125円台に乗せ今月2日以来の高値となりました。

6月27日(火)

東京市場では、前日NY市場の流れを受けて仲値過ぎに112円台乗せを見たものの、112円台ではドル売りオーダーも残っていたことから反落、欧州市場序盤には111円台半ばまでの下押しを見ました。欧州市場で波乱の中心となったのがユーロ、ドラギ総裁が、デフレからリフレへとの発言を行ったことで、ユーロが主要通貨に対して急騰しました。超ハト派のドラギ総裁としては珍しく今後の緩和後退とも取れるような表現を使ったことが、ストップオーダーを巻き込みながらの大幅高を演じさせることとなりました。NY市場後場にはユーロドルが1.1349レベルと昨年8月以来の高値圏、ユーロ円も127.48レベルと昨年4月以来の高値となりました。ドル円もユーロ円急騰に引っ張られ112.47の高嶺をつけました。

6月28日(水)

各通貨ペアそれぞれの材料で振れやすい一日となりました。ドル円は前日の112円台半ばからは短期筋の利食いも入ってじり安の流れを辿っていましたが、後場に入り米金利の動きに敏感に反応し神経質な値動きに。前日高値圏近くまで切り上げた後に111.83レベルに振り落とされるといった様子で、ストップオーダーばかりが目立つ流れとなりました。その後は、堅調なダウ先物に引っ張られて225先物が上昇、原油価格も大幅高と全般にリスクオンの動きとなり、引けにかけてじり高の動きでの引けとなりました。いっぽうユーロドルは、前日のドラギ総裁発言で大幅高の動きとなっていたところに、市場は誤解していると否定するような発言を行ったことで一時急落、その直後にカーニー英中銀総裁が引き締めに積極的と取れる発言を行いポンドが大幅高となり、ユーロも追随して元の水準に戻すと、各国中銀総裁が相場をかき回す一日となり、ユーロは対ドル、対円ともに再び高値を更新しての引けとなりました。

6月29日(木)

東京市場では、ドル円は2日間ほど112.40近辺での売りが目立ったことから売りが先行してのスタートとなりましたが、欧州市場序盤に米金利の上昇からドル買いの動きへと転じ、直近高値を抜けるとストップオーダーも巻き込みながら112.64レベルまで上昇しました。NY市場でもドル円、クロス円での円売りが続きドル円が112.93レベル、ユーロ円は128.83レベルの高値をつけましたが、それぞれ大台替わり目前で足踏みとなり、NYダウが大幅安となりNY後場には3週間ぶりの安値圏へと沈み込んだことから円買い一色となりました。ドル円は高値から1円以上もの下げを演じ、ここまでのドル買いの動きに対していったん調整。いっぽうユーロドルは、東京市場から強い地合いを継続し、NY市場でのドル売りから一段高となり、1.1446レベルまで続伸し高値圏での引けとなりました。

6月30日(金)

東京市場では前日の下げの影響もあって上値は重かったものの、月末ということもあって112円を挟んで方向感の無い展開が続きました。欧州市場でももみあいを続けていましたが、NY市場に入り米金利が強含みとなったことに加え、株高、原油高とリスクオンの動きも重なり、112円近辺から112.60レベルまで上昇、ただ前日高値まではトライしきれず引けにかけて若干押してのクローズとなりました。いっぽうユーロドルは、東京市場では高値圏で動意が見られませんでした。海外市場では週末前の短期筋の利食いから売りも見られたものの1.14台前半の狭いレンジでの小動きのまま週末を迎えました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2017年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、シカゴ、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。

7月3日(月)
08:50 日銀短観
10:45 中国6月MarkIt製造業PMI
16:00 トルコ6月CPI
16:50 フランス6月製造業PMI確報値
16:55 ドイツ6月製造業PMI確報値
17:00 ユーロ圏6月製造業PMI確報値
17:30 英国6月製造業PMI
17:30 (セントルイス連銀総裁講演)
18:00 ユーロ圏5月失業率
22:45 米国6月MarkIt製造業PMI確報値
23:00 米国6月ISM製造業景況指数
23:00 米国5月建設支出

7月4日(火)
**:** NY市場休場
13:30 豪中銀政策金利発表
17:30 英国6月建設業PMI
18:00 ユーロ圏5月PPI
21:30 プラートECB理事講演
25:30 オーストリア中銀総裁討論会参加

7月5日(水)
10:45 中国6月MarkItサービス業PMI
16:50 フランス6月サービス業PMI確報値
16:55 ドイツ6月サービス業PMI確報値
17:00 ユーロ圏6月サービス業PMI確報値
17:30 英国6月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏5月小売売上高
23:00 米国5月製造業受注指数
27:00 FOMC(6月14日)議事録公表

7月6日(木)
10:30 豪州5月貿易収支
14:50 フランス中銀総裁番組出演
15:00 ドイツ5月製造業受注
16:00 フランス中銀総裁・マクロン大統領会談
20:30 ECB理事会(6月8日)議事要旨公表
21:15 米国6月ADP全国雇用者数
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国5月貿易収支
22:45 米国6月MarkItサービス業PMI確報値
23:00 パウレルFRB理事講演
24:00 米国週間原油在庫
25:00 ドイツ連銀総裁・オーストリア中銀総裁会談

7月7日(金)
08:30 フィッシャーFRB理事講演
15:00 ドイツ5月鉱工業生産
17:30 英国5月製造業生産、貿易収支
21:30 米国6月雇用統計
24:00 FRB金融政策レポート公表
**:** G20首脳会議(〜8日)

7月9日(日)
 19:15 クーレECB理事講演

今週の週間見通し

前週に週間レンジが88銭ということで、統計では特徴的な傾向は見られなかったものの、一般論として翌週はもう少しは動くだろうと考える参加者も多かったようでした。結果としては113円目前まで円安が進み、ここからさらに円安が進むのか、あるいは押し戻されるのか岐路の週となりそうです。

先週の円安は、週初のドラギ総裁発言をきっかけとしたユーロ高がユーロ円の急騰を招き、クロス円全般での円売りが目立ったことと、原油が一時期の安値を脱して大幅安となる前の水準にまで戻したことが大きかったと考えられます。週後半にダウが急落した動きも翌日にはかなり戻したことも円売りの安心感につながったようです。

今週ですが、まず週末の都議選は予想以上とはいえ小池新党の躍進と対比的に自民が議席を歴史的に減らす大敗を喫しました。これまでも安倍政権には逆風が吹いていましたが、短期的な円買いは早朝に終わったとはいえ、長期的な政権運営に少なからず悪影響が出て来るであろうことを考えると、これは円高要因と言えます。

また、今朝の日銀短観を皮切りに今週は金曜の米国雇用統計まで各国から多くの経済指標が出てきますが、既に米国は6月に利上げを行い、次は12月の可能性が高まっている中で、欧州や英国の引き締め思惑は常に燻り続けています。金融政策という観点からはこれはドル安・欧州通貨高要因となります。

最近はトランプ政権のテーマはだいぶ材料から離れてはいますが、公約実現が進まないこともあり、米国内での人気は一時期のようなものではなく、何か人気上昇につながるような成果が欲しいと考えていることは間違いありません。今週は週末にG20サミットがあり、対米黒字の大きな中国、日本、ドイツに関してまた何かを言い出してくる可能性が高いのではないかと考えられます。

為替についてはユーロはだいぶ高くなってきましたし、円も比較的落ち着いた動きをしていますので、為替の話は出ず(逆に出るようならばサプライズです)、米工区の貿易不均衡がどの程度議論されるかどうかが市場関係者としては気になるところです。ただ、少なくとも日本にとってはあまり良い材料とはならないでしょうから、これは円買い材料です。

そして、日柄も重要です。ここでも毎月のように書いていますが、米国雇用統計に前後してドル円は高値をつけやすいというアノマリーがあります。先週113円目前まで上げた動きはややタイミング的に早いため、今週中にもう一度くらい買いが出る可能性は十分にあるのですが、それでも先週高値を超えられないような動きとなった場合は注意が必要です。

特に週足で考えた場合に年初からのレジスタンスライン(日足チャート内、ピンクのレジスタンスライン)が、112円台後半を下降中でここで上値を抑えられるとなると、再び110円の大台方向へと方向転換する可能性が高く、今週末の終値は日柄と価格が重なる特に注視すべきものです。逆に上抜けて来ると円一段安ということにもつながりますが、上記にあげてきた材料を考えると円高方向にバイアスがかかりやすく、引き続き年初からの円高トレンドを継続することになる可能性が高いと見ています。

いっぽう、テクニカルに下方向を考えると、先週既に短期的な高値をつけたと考え、6月安値(108.83)と6月高値(112.93)の38.2%押しにあたる111.36水準への押しが妥当です。タイトル通り、岐路にあるものの円高の可能性が高いと見て、今週のドル円は111.30レベルをサポートに112.90レベルをレジスタンスとします。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。

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