ドル円 基本リスクは上向き(週報7月第一週)

先週のドル/円相場は、ドル高・円安。超えることが難しかった112円台を約1ヵ月半ぶりに回復、そのまま高値圏を維持し、週末NYを大引けている。

ドル円 基本リスクは上向き(週報7月第一週)

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先週のドル/円相場は、ドル高・円安。超えることが難しかった112円台を約1ヵ月半ぶりに回復、そのまま高値圏を維持し、週末NYを大引けている。

「荒れやすい週明け月曜日の早朝相場」−−は先週も顕在。前週末に、「伊政府が2銀行を破綻処理へ、ECBが再建不能と判断」と報じられたことを材料に、ユーロ/円を中心に全体的に円買いが優勢で寄り付いた。その前の週末NY市場を111.25-30円で大引けたドル/円も、上方向に若干のギャップを空けて寄り付いている。
しかし、結局、月曜日の早朝安値が週間を通したドルの最安値で、その後はじりじりと下値を切り上げる展開に。これまでしっかり超えることが出来なかった112円台を突破すると、29日の欧米時間には112.92円を記録した。そのあと再び111円台まで押し戻される局面もあったが底堅く、週末のNY時間は111.40円レベルで大引け、越週している。

一方、ドル/円とは別にユーロやポンドも荒れ模様。ユーロ/円は週明け124円台だったものが週末には128円台、ポンド/円は同じく141円台から146円台と大きく値を上げている。
前者については、ドラギECB総裁が景気刺激措置を縮小する余地があると示唆したことが材料視されたうえ、後者についてはカーニー英中銀総裁が早期利上げを示唆したことが好感されていたという。

なお、それら以外の週間を通した主な材料としては、「タカタが民事再生法申請、戦後最大の製造業倒産」「格付け会社ムーディーズがギリシャ国債を格上げ」「日中韓首脳会談、中国難色で7月開催を見送り」「トランプ米大統領がG20サミットでプーチン露大統領と会談へ」「中国主導のAIIB、ムーディーズから最上位の格付け獲得」「ライトハイザー通商代表部(USTR)代表が世耕経産相と会談し、巨額の対日貿易赤字への懸念を示す」−−などが挙げられている。

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前述したように、形成していたボックス圏の上限、112円をしっかりと超えてきており、リスクは間違いなく上方向。今週は5月17日以来となる113円台乗せトライを予想する声も少なくないようだ。
ただ、わずかに気になるのは、昨日実施された東京都議会選において自民党が惨敗を喫したこと。週明け月曜日・3日早朝の相場を見ている限り、それほど大きな影響はみられないが、安倍首相の政権基盤が揺らぐとともに、アベノミクスの先行きに不透明感が漂い始めているだけに予断は許さない。日経平均など株価が崩れ、それに合わせて円買いが再燃する可能性などもなくはない。

テクニカルには、先週一時113円近くまで上昇する局面も観測されるなど、高値114.38円を起点とした下げ幅の76.4%戻し(113.05円)がターゲットとして捉えられている。また、その少し上、113.35-40円には緩やかな下降をたどるドル高値115.51円と114.38円を結んだ下降トレンドラインが位置しており、こちらの攻防も要注意。
しかし、今年に入ってからは、「奇数月にドルの天井記録、偶数月にドル底値を記録」−−というパターンを形成していることが若干気掛かりか。目先は、いま一段の上値トライがあるにせよ、高値掴みだけには警戒を払っておきたいところだ。

一方、材料的には、引き続き発表される米経済指標と、米地区連銀総裁などによる講演には今週も注意を要したい。なかでも、週末7日に予定されている6月の米雇用統計は波乱要因として、とくに注意しておく必要がありそうだ。
また、今週はそれ以外でも材料盛りだくさん。例えば、週明け3日の早朝に発表される日銀短観やFRBの半期金融政策報告発表、G20首脳会議、故金日成北朝鮮国家首席の没後23年−−などもリスク要因として頭の片隅に留めておいて損はないだろう。

そんな今週のドル/円予想レンジは、111.20-113.50円。ドル高・円安については、先週高値も近い113円前後の攻防にまずは注目で、抜けると前述した下降トレンドラインが位置する113.35-40円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、週足・一目均衡表の転換線が位置する111.55-60円、移動平均の4、13週線、200日線などが推移している111.05-20円がサポートとして意識されそうだ。ただ、もう10営業日ほど、しっかりと111円台を下回ったことはなく、下値不安もそれほど強くはない。(了)

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