<概況>
6月15日未明のFOMCで利上げが決定され、年3回の利上げ方針が維持され、バランスシート圧縮計画も開始される方向性が示されたことでドル高となり、ドル円は16日夜への上昇で111円超え、さらに20日には111.78円まで続伸して6月2日の米雇用統計から下落する前の高値である111.71円をわずかに超えるところまで戻した。しかしその後は新たな高値更新に至らず、22日の111円割れは買い戻され、23日は111円台序盤でほぼ横ばいの持合いで終了した。気迷いの持合い相場が展開されている。
【米長期金利とドル円の相関にズレ】
2015年12月の利上げ再開、2016年12月の利上げ、2017年3月の利上げではいずれも利上げ決定当日から材料消化として円高ドル安となってきた。しかし今回は発表当日からの上昇が15日夜、16日、週明けの19日、20日と続き、その後も高値更新はしていないものの高値圏に止まっており、前3回の利上げ決定時との反応が異なっている。
米長期債利回りは今回の利上げ決定後にもこれまでと同様に低下しており、米30年債利回りは23日に2.71%まで低下している。日米長期金利差によりドル円相場は影響を受けるが、日本の長期金利がほぼ横ばいの為、米長期債利回りとドル円はほぼ正相関で推移するのだが、今回のFOMC後の動きはドル円が上昇、高止まりに対して米長期債は低下であり、相関していない。米長期金利の低下傾向が継続してこのずれが解消されるならば、ドル円は下落=円高へ向かうべきということになるが、別の円安要素、円売り要素が隠れている場合や、低下している米長期債が反転上昇してくる場合にはドル円の上昇および高止まりが正解だったということにもなる。
現状では、ドル円は米連銀の利上げが着実に進んでいることの重みを再認識しての上昇と高止まり、米長期債は従来通りに材料消化、インフレがついてきていない事での低下と対応が異なっている印象がある。いずれが正しいのかは、もう少し両者の展開を見定める必要があるが、遅くとも28日のイエレン議長講演からはズレも是正されてくる、ドル円の方向性も見えてくるのではないかと思う。
【初動に注意しつつ、持合い放れにつけ】
23日から24日未明までほとんど横ばい推移だったため、60分足のボリンジャーバンドが顕著に収縮している。収縮度合は6月14日に急落する前、6月2日の米雇用統計からの急落一服で1日半の持合いとなったとき以来である。「持合いは持合い放れにつけ」が鉄則であり、今回は111.50円超えから続伸なら上放れ、22日安値110.94円割れからは下放れと想定される。ただし、6月14日のバンド収縮では、いったん上放れしかけてから急落して下放れしており、持合い放れの初動で放れる方向と逆に一回振られることも多々あるので、初動には注意したい。
111.50円超えからは60分足の一目均衡表では先行スパン突破となり、テクニカル的には総じて強気化してくるため、まず、20日高値111.78円試し、超える場合は112円台前半試しへの上昇が想定される。
5月24日高値112.12円が5月18日へ急落した後の戻り高値として重要であるが、仮にこれを上抜く場合は5月17日(トランプ大統領弾劾リスク増大でのドル全面安)の急落前水準として113.12円前後まで上値目途が切り上がる可能性が出て来るかも知れない。
持合い下放れは22日安値110.94円割れからとし、その場合は15日からの上昇一巡による下げ再開=円高再開として当初110円試し、さらに先行きは6月14日安値108.80円試しへと円高ドル安局面が継続してゆく可能性も考えられる。(了)<6:20執筆>
【今週の主な予定】
6月26日
シンガポール休場(ハリ・ラヤ・プアサ;ラマダン終了日)
米印首脳会談(ワシントン)
(日) 8:50 日銀・金融政策決定会合における主な意見(6月15-16日開催分)
(米) 13:20 ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁、講演
(独) 17:00 独6月Ifo景況感指数 (5月 114.6、予想 114.5)
(米) 21:30 米5月シカゴ連銀全米活動指数
(米) 23:00 米5月耐久財受注 (4月 -0.5%、予想 +0.4%)
(米) 23:30 米6月ダラス連銀製造業活動指数
6月27日
世界経済フォーラム、夏季ダボス会議(中国大連、29日まで)
(米) 16:30 ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁講演
(米) 22:00 米4月S&P/ケースシラー住宅価格指数前年比 (3月 +5.9%、予想 5.9%)
(米) 23:00 米6月消費者信頼感指数 (5月 117.9、予想 115.0)
(米) 23:00 米6月リッチモンド連銀製造業指数 (5月 1 )
6月28日
(米) 0:00 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
(米) 2:00 ★イエレンFRB議長、講演
(米) 6:30 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
(米) 16:30 ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁、講演
(米) 23:00 米5月中古住宅販売保留件数指数 (4月 -1.3%、予想 +1.1%)
6月29日
米韓首脳会談(ワシントン、30日まで)
(米) 21:30 米1-3月期GDP・確報値 前期比年率 (改定値 +1.2%、予想 +1.2%)
(米) 21:30 米新規失業保険申請件数 (前週 24.1万件 予想24.0万件))
6月30日
(米) 2:00 ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
(日) 8:30 5月全国消費者物価指数 生鮮食品除く前年比 (4月 +0.3%、予想 +0.4%)
(日) 8:30 6月東京都区部消費者物価指数 生鮮食品除く前年比 (5月 +0.1%、予想 +0.2%)
(日) 8:30 5月失業率 (4月 2.8%、予想 2.8%)
(日) 8:30 5月有効求人倍率 (4月 1.48、予想 1.48)
(日) 8:50 5月鉱工業生産・速報値 (4月 +4.0%、予想 -0.3%)
(中) 10:00 中国6月製造業PMI (5月 51.2、予想 51.0)
(中) 10:00 中国6月非製造業PMI
(米) 21:30 米5月個人所得 (4月 +0.4%、予想 +0.3%)
(米) 21:30 米5月個人消費支出 (4月 +0.4%、予想 +0.1%)
(米) 21:30 米5月コアPCEデフレーター (4月 +0.2、予想 +0.1%)
(米) 22:45 米6月シカゴ購買部協会景気指数 (5月 59.4、予想 58.0)
(米) 23:00 米6月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値(速報 94.5、予想 94.5)
(日)東京都議会議員選挙の投開票
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.22
ドル円、下落後に反発するなど底堅い動き。上昇トレンドの継続を想定(11/22朝)
21日(木)のドル円相場は下落後に持ち直す展開。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.21
東京市場のドルは154円台後半で推移、今晩も要人発言で上下に動く可能性アリ(24/11/21)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、時間外の米10年債利回りも上げ一服となったことでドルは一時154円台を付ける場面も見られた。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.21
ドル円 地政学リスクくすぶるも再びレンジの様相に(11/21夕)
東京市場は一転してドルが弱含み。とくに終盤下げ足を速めている。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2017.06.26
ドル円 先週は 1 年半ぶり小変動、今週は反動に期待
先週のドル/円相場は、ややドル高・円安で終了するも、1週間を通して動意に乏しい。実際、先週の価格変動は週間を通して、わずか1円強。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2017.06.23
ドル円 レンジ放れの可能性は!?(17/6/23夕)
23日の東京市場は、おおむね揉み合い。111円台前半での一進一退で、明確な方向性はうかがえなかった。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。