ユーロの概況と週間見通し(週報17年6月第四週)

先週多くの金融市場でそうであったように、ユーロも方向感を失って次の手掛かりを探す動きが続きました。

ユーロの概況と週間見通し(週報17年6月第四週)

概況

イベントをこなし材料探し続く

先週多くの金融市場でそうであったように、ユーロも方向感を失って次の手掛かりを探す動きが続きました。ECB理事会に加え、英国総選挙、ギリシャ支援問題の一段落、フランス国民議会選挙等年間を通しても大きなテーマであったイベントを終えて、一旦材料難に陥っています。
ユーロは先週明け対ドル1.1198で取引が始まり、主として米金利見通しを材料として週前半にドルが上昇したことにより20日火曜に1.1134の安値をつけましたが、その後は小動きの中徐々に上値下値を切り上げる底堅い動きとなり、1.1194と週明け取引開始時に近い水準で越週しました。
週明けのユーロは1.1201で取引を開始、1.1200を挟んでの動きとなっています。
ユーロ円もドル円がこう着状態であったことから基本的にはレンジ内の動きに終始、ほとんどの時間123円台後半から124円台前半での取引が続きました。

今週の見通し

米欧金利はほぼ消化済み?

市場に材料が無くなると金利相場に回帰していくかテクニカルに頼ることになるのがまあ一般的です。

金利はドルもユーロもこの一カ月に十分材料となり、ユーロはドイツの金融引き締めへの強い意向を阻んでECBは緩和継続姿勢を何度も確認、ドルに関してはFRB主要メンバーが景気への強気の姿勢を示しているのに対し、矛盾する内容の弱気の経済指標が散見されて市場はそれを信じず、主要経済指標に一喜一憂する状況との構図がほぼ固定化、米経済指標のブレが相場変動要因ですが、金利見通しに大きな変化はなさそうです。

テクニカル的にはまずは21日線等のある1.12をめぐる攻防

一方、チャート的には、ユーロドルは今年の5月からのユーロ上昇相場に大きな役割を果たした21日移動平均線が実勢相場に追いついてレジスタンスになっている状況です。
ただ、先週火曜以降ユーロは値幅の小さい中で日々の底値、上値を切り上げてきており、本日現在1.1203レベルの21日線は実勢とほぼ近い位置にあることもあり、今週これをしっかり超えて行くことができるか否かは第一のポイントとなりそうです。

そこを抜ければ、5月以降幾度もトライして抜けられない1.1300が次のターゲットになります。一か月以上もみ合った相場だけに1.12台後半を上値を抜けて行くのはかなりのパワーが必要と思われる半面、それまでの急激なユーロの上昇に対し時間的な調整が完了し再び上昇を開始するというのは十分ありそうなシナリオです。

ユーロの下落方向は米ドル材料次第なるも下値は限られるか

他方ユーロに材料がない以上、特にユーロ下落方向は米ドル次第。
こちらは前述の通り、FRBのスタンスへの懐疑的な見方がひろがっているため一旦ドル買いは収まっているものの、メインシナリオの米景気の順調な回復は今でも否定されておらずベースはドル買い基調ながら、トランプ政権のロシアゲート問題、遅れ気味の経済政策の伸展、北朝鮮をはじめとする地政学リスク等何が出てくるかは予想しにくい状況です。

ただ、ユーロ圏の政治情勢の不透明感が払拭されたことによるユーロの環境の相対的良化も揺るがないものと思われ、ユーロ急落も考えにくく、ドル買いとなった場合でもユーロは5月下旬の安値1.1110-1.1075あたりでは一旦サポートされるのではないかと考えます。

週間予想レンジ1.1075−1.1300

以上まとめると、今週のユーロドルは米ドル要因に左右されながらも、基本的には緩やかに上昇か。
下値は押しても1.1075-1.1110レベルまで、上方向は21日線を越えると1.12台半ばまでは上げそうですが、今週1.1300を上抜けるには材料難でやや力不足とのシナリオを予想。

オーダー/ポジション状況

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