ドルはレンジの下限割れなるか(週報6月第一週)

依然として、大局的にはレンジ内。今年3月後半から4月中旬にかけて揉み合った110-112円のボックス圏に引き続き留まっている。

ドルはレンジの下限割れなるか(週報6月第一週)

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドル安・円高。それも週末にかけて大きく値を崩す展開で、一時110.33円まで値を下げ5月18日安値に面合わせし、そのまま週間を通したドルの安値圏で大引け、越週している。

ここのところ週明け月曜日は早朝から荒っぽい展開が少なくない。先週も、前週末まで実施されていたG7首脳会議で、「保護主義と闘う」と明記した宣言を発表するも、一方で「パリ協定」では結束できずに、足並みの乱れが露呈された格好に。また、為替市場のオープンを前後して、「北朝鮮がミサイルを発射し、排他的経済水域に落下」と伝えられるなど、材料豊富で大荒れのスタートが懸念されたが、フタを空けると予想外とも言える小動きで始まった。

そんなドル/円は、週初111.15-20円で寄り付きいたのち乱高下を繰り返しつつ、週の半ばにかけ110円半ばまで下落したものの、そこから切り返すとドルはじり高推移。週末の5月米雇用統計発表前には111.71円の週間高値を記録した。しかし、発表された米雇用統計が予想外の悪い内容であったため、ドル売りが殺到、一気に110.33円までの「行って来い」。結局、そのまま110.40-45円というドル安値圏で、1週間の取引を終えている。

一方、材料的には前述した「北朝鮮情勢」や週末発表された米雇用統計のほか、「ロシアゲート」事件に絡む報道が多く、一例を挙げると米紙ワシントンポストが報じた「米大統領娘婿、露大使に秘密通信ルート提案か」とのニュースや「コミー前FBI長官が8日に上院情報委員会で証言へ」との発表などがマーケットでも一時話題に。
また、別にトランプ大統領から「米国はパリ協定を脱退する」との発表が聞かれたものの、事前にメディアで報じられていた内容と大きなかい離はなく、為替市場への目立った影響は見られなかった。

<< 今週の見通し >>

依然として、大局的にはレンジ内。今年3月後半から4月中旬にかけて揉み合った110-112円のボックス圏に引き続き留まっている。ただ、前述したように発表された米雇用統計の悪化もあり、週末にかけてドル安が進み、一時110.33円とレンジの下限を視野に入れた値動きで、敢えていえばリスクは下向きか。今週はまず、110円というレンジの下限をしっかりと下回り、次の方向性が示されることができるのかが注視されている。

テクニカルには、日足・一目均衡表で見た場合、111.80円レベルに位置し横ばい推移した先行帯の雲の上限が強い抵抗として寄与していた面を否めない。

反面、ドルの下値は同雲の下限にサポートされた格好だが、今週はどうなるかわからない。と言うのも、本日は110.15円レベルに位置しているが、今週末には110.95円レベルまで大きく上昇、さらには来週初には、いわゆる「雲の捻じれ」を発生させることが確実だからだ。つまり、日足・一目均衡表の観点からすると、今週末あるいは来週の早い段階で、足もとのボックス圏を放れ、新たなステージに入る可能性を否定できない気もしている。

一方、材料的には、週初や週末などに幾つか米経済指標が発表される予定となっており、それらの内容には取り敢えず要注意。来週に米FOMCを控えるなか、先週末の米雇用統計のような例もある。米経済指標の内容如何では、波乱もありそうだ。
しかし、今週は米経済指標以上に注目される要因が幾つかある。その最大のものは、8日に予定されている「英総選挙」と「コミー前FBI長官の議会証言」になるだろう。前者については、与党保守党の苦戦予想が目立ち始めており、結果次第ではリスク回避の円買いが強まっても不思議はないかもしれない。それに対して後者は、当初こそ円買いに反応し易そうだが、トランプ米大統領をめぐる疑惑が深刻化しなければ、アク抜けへと作用し、為替市場においては再びドル買いが優勢となる可能性もある。

そんな今週のドル/円予想レンジは、109.50-111.80円。ドル高・円安については、111.10円レベルに位置する週足・一目均衡表の先行帯の雲の上限がターゲットか。抜けても、111.30-50円には一目や移動平均の抵抗が多く、112円は近そうで遠い存在という気もしている。
対するドル安・円高方向は、先週末安値そして5月18日安値が位置する110.25-35円の攻防にまずは注視。割り込めば心理サポート110円や、下方向に依然として空けたままのギャップ(109.10-60円)などが意識されそうだ。(了)

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る